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僕の友達、ポッターくん

彼は見た目がハリーポッターみたいだった。

出会いは小学時代。
彼は転校生だった。

彼は運動神経抜群で、
持久走大会では
それまでずーっと1位だった子と
いきなり張り合った。

結果ベスト3位以内には入ってたと思う。

頭脳も明晰で、
いままで学年1位だった子と
これまた張り合った。

確かこの時1位の座を奪ってたと思う。

そしてなにより大人っぽい。
あんな大人っぽい小学生は
いないんじゃないかな。

ありがとうございます、
ごめんなさい、
礼儀、
常識、

全てがしっかり自然にできていた。

大人っぽい、
運動神経よし、
頭脳よし

漫画みたいな転校生だった。

そんな彼は、なんでだか僕と仲良くなった。

自由研究は
2人で合作を作ろうといい、
近くの森の調査をした。

彼は植物についてまとめ、
僕は鳥類についてまとめた。

僕は将棋にその時ハマっていて、
万能な彼はもちろん将棋も指せた。

だから、放課後は僕の家で対局した。

そしてなにより、

僕は彼の家が好きだった。

庭が広くて、色んな植物が育てられていて、
まるでジブリに出てきそうな世界だった。

彼にはおばあちゃんがいて、
″アトリエ″にいるらしく、
しかし、おばあちゃん本人を
僕は1度も見たことがなかった。

だから″アトリエ″は
憧れの部屋だったことを覚えている。

そして数年後、

僕と彼は違う中学校に通うことになった。

卒業式の日、
地元でも中学校でも会う機会がなくなるから、
これからはバラバラだね、
と話した気がする。

当時はまだスマホが普及しきる
ギリギリ前の時代。
連絡手段は家の電話か、
親の携帯番号だった。

中学入学後、
忙しいうえに、
連絡もあんまりとらず疎遠になっていた。

ふと、僕は彼を思い出し
母親に連絡して欲しいとお願いした。

そこからだった

彼の親の携帯番号にかけ、
繋がったのだが別の人だった。

もうその携帯は解約され、
別の人の電話番号になっていたのだ。

家の電話にかけた。
その番号も今は使われていなかった。

僕は彼の家に行った。が、

育てられた観葉植物たちは見る影もなく、
背の高い雑草に侵食されて、
家も″アトリエ″も廃墟になっていた。

彼とは全く連絡がつかなくなっていたのだ。

地元の友達も彼はどうなったか
よく知っている人はいなかった。


それから数年後、
かつての彼の家は
いつの間にか更地になっていた。
それからさらに数年して今に至る。

ポッターくんはいま何をしてるんだろう。
もしまた会えるのなら会ってみたい。
元気でいるといいな。

嵐のように
あっという間な思い出だった。

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