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伝統芸能の魅力は「生きる力が動く」こと

私は今「企画メシ」というものに参加している。
コピーライターの阿部広太郎さんが主催する全8回半年間の連続講座。阿部さんをはじめとした様々な講師の方からの課題や講義を通して「企画」と向き合い、学んでいくというものだ。

今回はその第2回目の講座について書きたいと思う。(1回目についてやなぜ参加したかなども後日noteに書きたいと思います)

講師はライター/編集者の九龍ジョーさん。

九龍さんから出された課題は

「伝統芸能」を調べて、あなたが見つけた魅力を説明してください。

というものだった。

その課題に対する自分の答えや九龍さんの講義を通して感じて考えたことをまとめていきたい。

○まず

九龍さんについて調べ、著書である「伝統芸能の革命児たち」を読んだ。
そしてそれを通して私がまず気になったのは講談師の神田伯山さんだった。テレビで何度か見たことはあったものの、そもそも講談が何かもよく分かっていなかった。
そのためまずは講談を観よう!と思い、YouTubeで「中村仲蔵」を観た。

初めて観た講談。
あっという間の41分だった。
まるでタイムスリップしたように目の前に浮かぶ情景。伯山さんの目の奥にその時代が、人物が映っているようにすら思えた。
そして中村仲蔵の工夫を怠らない姿勢とそれが報われる瞬間に、心が温かくなった。そっと背中を押された気がした。
体温が上がる。心が動く。そんな感覚で時間が満たされていた。

一気に引き込まれていった。

そして伯山さんについて調べる中でもう一人気になったのが、落語家の立川談志さん。
伯山さんは談志さんの「らくだ」を観たのをきっかけに講談師になったという。

立川談志さんについて調べYouTubeで「らくだ」を観た。

ここでもまた、驚いた。
やはり「見える」。
酒の一滴、涙の筋までもが見える。
その圧倒的な表現。
そして「らくだ」を通して描かれる死や人の情に目頭が熱くなった。
落語を観て泣く日が来るとは、と自分で自分に少し驚いた。

○そこから

調べて、観て、感じて、考えて。
伝統芸能を調べて私が見つけた魅力は「生きる」ということだった。

神田伯山さんは立川談志さんの「らくだ」を観て「私が求めていたもの。全てが表現されていた」と思ったという。

立川談志さんの「落語とは、人間の業の肯定」という言葉。

やっぱり人は弱くて時に愚かで、きっとずっと正しい訳ではない。嫌うことも嫌われることもある。傷つくことも傷つけることもある。
でもそれが人間だと、知っているからこそ最後まで人を憎めないのではないか。恨めないのではないか。
私はそう解釈した。

「しょうがねぇなぁ」
そんな声が自分の心に差し出されるような感覚。
それは、生きる力を動かす。明日を見る目に力を宿す。
伝統芸能の中でも落語の魅力とは、そういうところにあるのではないかと思った。

○そして

これが私の出した答えだった。


前回の課題の反省も踏まえて自分の「手」と「届けるためのインパクト」を意識した。

これを作るにあたって「生きる」の文字は絶対に習字にしようと考えていた。
それは上記のポイントを実現する手段として有効だと思ったから。
が、小学生ぶりの習字だったので一体どんなことになるのかかなり緊張したが何度か書いて納得する字にすることができて安心した。(母親に何枚か写真を送って「もっと力強く!」とLINEでアドバイスをもらいながら書くのがとても楽しかった)

○迎えた

講義当日。
九龍さんのこれまで歩んできた道のりや課題に対するフィードバックを通して私が特に心に残ったのは
「直感に見せかけて全部技術」
「自分という演算機を通す」
ということだった。

九龍さん自身、映画に関する仕事や築地市場、ITの広告代理店や編集など様々な経験を経ていた。
そしてその過程にあったのは「直感に見せかけて全部技術」だったという。

自由に見えている人は自由に生きているのではなくて技術がある人で、だからこそどこにでも行けるフットワークがあるのだと自分の中での認識が変わった。
自分もそうありたいと強く思った。

また「自分という演算機を通す」ということ。今回の課題であれば、まずは自分に伝統芸能をぶつけて、通す。それで自分の体がどう反応するか、出てきたものは何か、演算をする。難しく考える必要も知識も必要ない。

そして自分で自分の書いたものを真に受ける。
ということだった。

九龍さんのこのことばは多くの企画生の中にも強く残ったのではないかと思う。
それだけすごいコピーだと思った。

与えられた課題に対してどうしても考えそうになってしまう「正解」。自分らしく素直にありのまま、と言われても自分で自分を肯定するのは簡単なことではない。
でもこの「演算機」ということばで、純粋に自分を通して自分から出たものをしっかりと認識できるようになると思った。
感情ではなく論理だからこそ、納得する。実践できる。
今後企画をする上で大切にしたいことばだと思った。

○最後に

今回の伝統の企画を通して、もっと自分や自分の温度が伝わる文章を書きたいと思った。
難しく考えそうになる自分には何度も九龍さんのことばを添えたい。

ごちゃごちゃ考えずにまず自分を通す。その結果を素直に見つめる。そうした素直なことばはきっと読む人の心に入りやすい。

これからは自分の手と足をもっともっとたくさん使いながら企画に取り組んでいきたい。
私はまだまだ調べる量も実際に触れる量も足りないなと痛感した。
行動は人を動かす。
もっと、行動の人でありたいと思った。

そして、企画生や講師の方の受け止め切れないほどの熱と力と想い、考えが溢れた企画メシが本当に楽しくて仕方がない。

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