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フィクションヘルパー 第3話

フィクションヘルパー

これから連載する物語は、あくまでもフィクションである。
ある介護職が遭遇する、どこにでもあるかもしれない、場面場面である。
衝撃?現実?偶然?当然? 受け取り方は様々。
あくまでも、フィクションである。

第三話
ニンチショーという勿れ
大昔、映画で、じーさんがジャーの内釜抱えて、手掴みで白飯を食べる姿を見て、嫁?がびっくり! みたいなシーンを覚えてる。そん時は、まだ『呆け』って言われてた。
お笑いコントなんかでも、ネタとして楽しく表現されてた。まだ、笑える時代だったのかなぁ。
段々と高齢者問題が笑えなくなってきたら、その手の番組や内容も減ってきた気がする。
記憶に残ったニンチショーな方々その1
「おしっこ」ばーちゃん
最初は、トイレ多い人だと思うくらいだった。
でも、この業界の合言葉⁉︎
『さっき行ったでしょ』
この言葉が始まると、トイレに行くのが悪い事になってしまうのだ。
それからは、悲惨な一途。
本当に行きたい時も『さっき行ったでしょ』
その人のみならず、浮腫みある人が多く、利尿剤の類を処方されてる人が多い。
で、出し切れないもんだから、何度も行きたくなる。
職員さん達からしてみれば、そんな気持ちや状況はお構いなし!
さっき行った!この事実以外ないのだ!
『さっき行ったでしょ』をより正当化させる為に、車いすの背中側に(トイレ回数)と書いた紙をぶら下げさせられて、正の字を書かれる。
おしっこばーちゃんは、手当たり次第に、会う人会う人に「おしっこ」って言うようになってしまった。
挙げ句の果てには、傾聴ボランティアで来た可愛い女子学生が、
「お名前はなんですか?」と伺うと、
『おしっこ』
こうなってしまうのです。
記憶に残ったニンチショーな方々その2
「パンパン」ばーちゃん
「すみません」「お願いします」が多いばーちゃん。
これくらいだったら、どこにでもいるばーちゃん。
でもこのばーちゃん、ちょっと違った。
「パンパン」ばーちゃんなんです!
「すみません」「お願いします」プラス
「パンパン」手を叩くんです!
人が来るまでずっとパンパン叩き続けます!
職員はわかるが、他利用者は、なんなの?って感じになる。
そう、気の毒な人から、なんなの?あの人になるのだ!
そして、このばーちゃん、みんなが得意の昼夜逆転に変身!
夜中じゅう、パンパン。部屋で寝たままパンパン、ナースステーション前に連れてこられてパンパン。
家族が手袋を持ってきた笑笑
手袋してると、パンパンが響かない笑
ばーちゃん考えた、職員がいなくなったら、手袋外してパンパン。
職員も考えた、手袋の上から、ピチっとしたゴム手袋を付ける。
ばーちゃん、ゴム手袋が外せない、泣き叫ぶ、職員してやったりの顔。
記憶に残ったニンチショーな方々その3
「てめーら、みんなぶっとばすぞ!」じーちゃん
そのじーちゃんは、元警察官。なんちゃら部長だったそうです。だから、いっつも威張ってる笑笑。他人と俺とは、違うんだと。特に、相手が女の時は、強い強い笑笑。
介護拒否・入浴拒否
良くあるパターンだが、拒否の時に暴力を振るうから、やっかい
まぁ、今考えたら理由の深掘りが大事なんだね。
そんなじーちゃんを、介護するのは当然、男性が選ばれる笑笑
動きは遅いが、叩いてくる為、どうしても両手首を掴んで、お風呂場まで連れて行く。
後ろから、ゾロゾロと、他職員や看護師が着いて来る。
脱衣所に入ったら、一斉に掛かる!
このじーちゃん、現役時代なにやったんだか、性病のオンパレード。
口癖が
「てめーら、みんなぶっとばすぞ!」


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