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花粉症の症状を抑える服薬のコツ

花粉が飛び始める時期が近づき、段々と抗ヒスタミン薬や点鼻薬、点眼薬が処方され始めてきました。
そんな中、よく質問に上がる内容があります。
「まだ症状が無いのですが、薬は飲んだほうが良いですか?」
症状がないのに薬を飲む必要はないなーと思いつつ、
一方では花粉症の薬は早めに飲んだほうが良いとの情報もあり、返答に困る質問の一つです。
また自分でも確かな知識は持ち合わせていなかったので、改めて調べてみたいと思います。

花粉症の初期療法

花粉症の人は早めに薬を飲むことを初期療法というそうです。
通常お薬は症状が出たときに緩和するために服用しますが、花粉症の初期療法では症状が出る前に服用します。
そうする事で、花粉症の症状が緩和され花粉飛散期間でも比較的症状を抑えながら生活ができると言われています。

これらの効果は抗ヒスタミン薬の持つインバースアゴニストと呼ばれる効果を期待しての使い方です。
イメージ的には、早めに抗ヒスタミン薬を服用する事で体がコーティングされ、花粉が粘膜に触れる事をある程度抑える事ができるようになります。

ただし、インバースアゴニストはすべての抗ヒスタミン薬が持っているわけではありません。抗ヒスタミン薬の中でも第二世代と言われている抗ヒスタミン薬が持つ特性です。抗ヒスタミン薬ならなんでも使えばいいというものではないので注意してください。

また、以前は花粉が飛散する1-2週間前には服用しましょうと言わていました。最近では、症状が少しでも出たら服用する事でも花粉症状の抑制効果が期待できると言われています。
飛散シーズン中の症状を抑えたい場合は花粉が飛ぶ前に服薬しましょう。

インバースアゴニストとは?

では次にインバースアゴニストとは何なのかについてです。
インバースアゴニストとは「逆活性化」とも言われます。

花粉症が起きるメカニズムを簡単にいうと、
花粉が体内に入る事でヒスタミンが体中に放出されます。
それを目や鼻にある受容体で受け取る事で、かゆみやくしゃみなどの症状を起こします。
抗ヒスタミン薬はヒスタミンが目や鼻の受容体につかないように蓋をする効果を持ちます。
第一世代と言われる抗ヒスタミン薬は蓋をする作用がメインとなります。
第二世代と言われる抗ヒスタミン薬は蓋をする作用と、受容体の数を減らす作用(すごく簡単に言うと)の二つを持っています。
この受容体を減らす事をインバースアゴニスト作用と言います。

インバースアゴニスト作用を持つ薬を事前に服用していると
花粉が体に入っても反応する受容体が少ない為、症状を低く抑える事ができます。
また、少量の花粉では反応しずらくなるので、症状が本格化する時期も遅らせることができます。
少し難しくなりましたが、私は良く「予防効果」としてお伝えする事が多いです。
「症状をおさえる効果と、服用する事で予防的に花粉症の症状を起きにくくする事ができます。症状が無くても服用したほうが良いお薬です。」
といった具合です。
咳止めや解熱剤などはほとんどが症状が無ければ服用しなくても問題ないと考えますが、花粉症に関する第二世代の抗ヒスタミン薬は、こういった理由から症状が無い時も服用を継続した方がいいと考えています。

いつから服用するのがいいのか?

毎年花粉症に悩んでいる人は花粉が飛散する数日前に第二世代の抗ヒスタミン薬を服用するようにしましょう。
注意点としては、第一世代にはインバースアゴニストの効果はほぼ無いと言われているので症状が出てから服用するようにしましょう。
自分がどの世代の抗ヒスタミン薬を使っているのかわからない時は専門家に相談をしてください。

2023年は九州では2月ごろから飛び始めるようです。ほかの地域でも2月の後半には本格的に花粉の飛散が始まるそうです。
花粉が飛散する1-2週間前に服用を開始した方がお薬の効果を安定して発揮できます。
2023年は例年の2倍以上の花粉が飛散すると言われていますので、症状が辛い人は早めのケアを行っていきましょう。
すでに症状が出ている人も大丈夫です。症状が軽い段階で服用できれば、その後の症状は抑制できるようなので、ちょっと症状が出始めたな…と感じたらすぐ服用を開始しましょう。

少しでもQOLの向上に役立てたのであれば幸いです。
皆様のお役に立てるよう、これからも情報の追加・修正をしていきたいと思います。

【参考】

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