第二の脳

【腸は第二の脳!?腸管神経のすごいネットワークとは!?】


近年、さまざまな研究で注目されている「腸」には、約一億個の神経細胞が存在し、ヒトにおいては「脳」の次に多いことがわかっています。

腸管神経(ちょうかんしんけい)は、自律的制御や中枢神経系に類似する機能に加え、構成するニューロンの数が脊髄に匹敵することから「第二の脳」と言われています。

【腸管神経(ちょうかんしんけい)って何!?】

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腸管の組織は、多重構造になっていて、腸壁の粘膜下には「粘膜下マイスナー神経叢」があり、主にホルモン分泌などを支配しています。

その外側の層には「筋層管神経叢(アウエルバッハ神経叢)」があり、腸の蠕動運動をコントロールしています。

これらの腸管神経は、迷走神経を通じて脳と繋がっています。

迷走神経は、主に腸の働きを活発にする副交感神経の機能を持ち、逆に腸の動きを抑える交感神経は、脊髄の中枢神経と繋がっています。

粘膜下神経叢(マイスナー神経叢)筋層管神経叢(アウエルバッハ神経叢)には、それぞれ神経が網目のように張り巡らされており、腸内の状況に応じてこれらが反応し、腸の働きをコントロールしています。

【迷走(めいそう)神経って何!?】

自律神経系

迷走神経は、12対ある脳神経の一つで、リラックスしている時に優位な副交感神経の代表的な神経です。

迷走神経は、脳神経の中で唯一腹部にまで到達する神経です。

首から腹(消化器における下端は、横行結腸右3分の1まで)の内臓の運動神経と副交感性の知覚神経が迷走神経の支配になっています。

<迷走神経の役割>

 胃腸の蠕動運動
 心拍の調整
 発話
 発汗
 外耳道の体性感覚
 大動脈小体における血中ガス分圧の感知

等があります。

【腸管神経のネットワークで注目されている脳腸相関とは!?】

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ヒトは脳から全身に命令を出して体が動いているような気がしますが、実は、脳と腸の情報交換は、脳からの一方通行ではなく、腸からもメッセージを発信しています。

つまり、腸内の状態によって、その情報が、脳へと伝えられて、カラダのあちこちに影響を及ぼすことになります。

脳からの指令がなくても独立して活動することができるため、まさに!「第二の脳」ですね。

<脳腸相関の例>

 ストレス→腹痛→便意
 自律神経→腸にストレス
 腸に病原菌→脳で不安が増す
 脳で感じる食欲→消化管から放出されるホルモン

これらのことから、腸の状態は脳の機能にも影響を及ぼす事を意味しています。

このように密接に関連している腸と脳ですが、最近では、病原菌だけでなく、いつも腸内にいる腸内細菌も脳の機能に影響を及ぼすという研究が注目を浴びています。

例えば過敏性腸症候群(IBS)は、腸内フローラの異常や短鎖脂肪酸などの腸内環境の異常により、腸から脳への信号伝達に異常が生じていると考えられています。

また、検査では異常が見つからないのにも関わらず、胃痛、胃もたれ、腹痛、便秘、膨満感などの自覚症状がある「機能性消化管疾患」は、お腹だけではなく、以下のような神経症状も併発していることも少なくありません。

 落ち着かない
 眠れない
 食欲がない
 頭痛など

脳のせいで腸に悪影響なのか、腸のせいで脳に悪影響なのかという悪循環にならない為にも腸内環境を整えておくということは、健康への近道になります。


【腸はいろんな臓器とコミュニケーションをとっている!?顔が広いカリスマ的存在】

腸のネットワーク


腸は神経系のネットワークを通じて、腸と脳が深い関りがある事を既にご紹介しました。

しかし、腸は脳とだけ密接にコミュニケーションをとっている訳ではなく、多くの臓器と複雑にコミュニケーションをとりながら連携して活動しています。

【腸とコミュニケーションをとっている臓器】

「肝臓」

消化液である胆汁をつくり、空腹時は、十二指腸の弁が閉じているのでそれを胆のうで蓄えさせています。

また、小腸で吸収された栄養素は、いったん肝臓に送られ、そこから全身へと送られる為、腸にとっては、大切な貯蔵庫です。

腸内で悪玉菌が増えると、毒素を取り込んで癌などの原因となります。

「胆のう」

腸内に食物が送られてくると、胃酸を中和したり、消化を助けたりする胆汁を分泌します。

悪玉菌が増えると胆汁は有害な二次胆汁酸に変化します。

「膵臓」

腸内に消化物が送られると栄養素を分解する消化酵素を含んだ膵液を分泌します。

「心臓」

腸とはあまり関係なさそうな心臓ですが、腸内に不調があれば、その信号が自律神経を通じて伝えられ、心拍数を上げ下げして、腸の働きと連動して血流をコントロールしています。

交感神経や副交感神経の働きで腸内血流も変化します。腸内細菌のバランスにも影響を受けることがわかっています。

「肺」

自律神経と密につながっており、腸に問題が起こると呼吸が浅くなったり早くなったり、呼吸を整えることで、腸の蠕動運動をサポートしたり、密接な連携をとっています。

深い呼吸による横隔膜の動きが、腸の蠕動運動をサポートしています。

「脾臓」

体内の免疫システムを管理。腸管免疫システムからも間接的に影響を受けています。

「副腎」

ストレス反応を緩和するホルモン「コルチゾール」を分泌します。

腸内で炎症が起こると大量に分泌されるが、副腎の機能低下を招いて慢性疲労の原因になります。

このようにカラダの「スイッチングハブ(コンピュータネットワークにおいて複数の装置同士が相互に通信できるように接続し、通信の中継を行う集線装置の一種)」である腸は、各臓器と互いにコミュニケーションをとりながら体内機能のバランス維持に日夜努めています。

さて、様々なアプローチから『腸は第二の脳!?腸管神経のすごいネットワークとは!?』をご紹介しました。

「第二の脳」と言われている腸の機能は本当に凄いですよね。そんな腸は、ストレスや不摂生により、腸内環境が悪くなります

食生活で改善することも大切ですが、心身の健康の為にも荒れた生活を長く続けたりせずに、暴飲暴食以外にも楽しくリフレッシュできる趣味や友人を持つ事が一番の健康維持の秘訣かもしれません。

あなたも腸内環境を良くする為に、好きな事をしてストレス発散してみませんか?


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