【アパレル人の本心⑫】パンツの仕上げは恐ろしく重要

40歳以上のおじさんにお伝えしたい。

あなたのパンツの仕上げは長すぎる!

仕事柄、街歩く人のファッションは常にチェックすることが習慣となっているのは業界人あるあるですが、習慣を通り越して病気じゃないかと思うぐらいいつも自然と目がいってしまいます。

大体、足元から見ていることが多いでしょうか。長年のルーティンのひとつでもあるので、足元を見ればその人の性格や生活だけでなく経済力や洋服へのこだわりまである程度の想像ができ、自分で言うのもなんですがなかなかの確率で的中しているように思います。

さて常日頃ずっと思っていることがあります。それはパンツの長さのことです。

ほぼ半分以上の人は裾が長すぎるパンツをはいているので、なんとかならないものかと思うと同時になぜだろうとも考えてしまいます。

その傾向は40歳以上の男性に多く靴の上にワンクッションどころかツーいやスリークッションして履いている人が目につきます。通勤する姿を見るとたっぷりと余った生地が尖った靴の上に乗っている人がこんなにいるのかと残念に思います。と同時に、洋服屋としての力のなさを感じてしまうほどです。

恐らく一時期の裾幅が広かったタック入のパンツの名残りでそうなっているというのが私の見立てです。裾幅が広いパンツは長めに合わせることが一般的。

靴を包み込むように仕上げることがほとんどでバブル時代のアルマーニなどのイタリアンなスーツスタイルを思い出してみると一目瞭然です。靴を脱いだ状態で床に着く位置にすることが多かった時代の習慣をいまだに続けている人がまだまだ大勢いるのではないでしょうか。

また、販売する側も採寸する時に短く切ったものを伸ばし直すことは難しいので、迷った時は長めにするケースが多いのも事実で、その影響もあると思います。

最近はパンツのシルエット自体細身になり、裾幅が20㎝以下のものまで出回るようになりました。昔の名残りで長めに仕上げると靴の上でかなり生地がもたつきます。裾幅が細いパンツの場合は、思い切ってくるぶしがやや隠れるぐらい=つまり、ノークションで仕上げることを覚えておくといいでしょう。

はじめての時はなにかしっくりこないように感じますが、そこは人生トライ&エラー。新しいものでなく、今所有している細身のパンツを再加工することもありだと思います。是非一度お試しを。

以前にもお伝えしたことがありますが「首、手首、足首」は人間の体の中で最も目立つ場所です。よって、体型、年齢関係なくパンツの長さを裾幅に応じて適切に仕上げることはとても重要なのです。

全く同じものでも長さを変えて2本所有するケースがあってもおかしくありません。かなり印象が変わることに驚くと思います。

日本人は概ね小柄で胴長短足だと言われています。自分自身の体型を知りベストスタイルを確立することには気を配らなければなりません。洋服の選び方や着方を考える前に、自分自身の体型を熟知して一番キレイに見えるサイズ感やシルエットを見つけることを優先しましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?