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組織運営の技術

組織運営の技術-契約
 
国家的なイベントにまつわる不祥事が報道されています。不祥事は契約がどのように執行されたかが問題になることが多いようです。
問題が発生した時に、契約書を見ればはっきりするのではないかと思いますが、契約書には表面的なことしか書かれておらず、契約業務はお互いの会話で進められており、記録がないので詳細がわからないということも多いようです。
契約は有形か無形にかかわらずモノの提供とその対価がバランスしたと当事者が思った時に対等の立場で結ばれます。契約者の一方が金銭を支払い、片方は金銭に見合う業務を提供する約束です。
当事者がお互いの目的と価値が同じだと理解しあったつもりで交わした契約ですが、時間が経過するにしたがって目的達成への道筋や目標に齟齬を生じてくることは少なくありません。お互いが都合のいいように解釈したまま署名を交わして、結果的に契約者間の利益が相反していたことが表面化してきてしまうのです。
もともと同床異夢であったのかもしれませんが、契約業務の執行中に双方の理解に違いがあることが明らかになってきて問題となってくるのです。当事者間の解釈に違いがあると感じられるような場合でも、突き詰めて違いを明確にすることを避けて、あいまい表現の契約書を作成して署名を交わしたからです。
将来の問題を避けるために契約書に金額と成果物を説明することは当然ですが、具体的な表現で金額と成果物が見合ったものであることが第三者にも理解できる書類であることが重要となります。契約書は契約内容をできる限り明確に表現したものでなければいけません。
明確に表現するということは、後日に問題が発生するかもしれないと想定できる項目を契約時点で分かる限り列記して、お互いが理解している内容を明確に文章化しておくということです。
 たとえば、次のような内容を契約書に記述しておくことが必要です。
1           契約者双方の名前(名称)、住所、連絡先
2           契約の目的
3           契約期間
4           契約終了後の契約有効期間
5           契約内容(具体的に書く)
6           契約に基づいて想定する契約執行の手法
7           契約執行時における進捗状況の把握方法とその記録
8           契約に基づいた契約執行で期待される成果物の姿
9           契約期間、執行手法や契約金などの契約内容の変更方法
10       契約執行のために必要な要員や資機材の供給と負担と責任
11       金銭の負担と支払い時期と方法
12       契約を終える場合の条件
13       秘密保持義務
14       契約を譲渡する場合の条件
15       契約に関わる保険
16       紛争の解決方法
17       契約日
18       契約責任者の署名(必要に応じて印鑑)など
契約に基づく業務執行中はすべての事実を具体的に記録して、第三者が理解できるものであることが求められています。口頭の報告や抽象的表現の説明書類は記録とは言えず、疑念を招くもとになりますから避けなければいけません。
契約行為において契約を結んだときの契約書が重要な書類であることはもちろんですが、契約後は定期的に契約業務の執行状況を確認することを忘れてはいけません。契約書は業務執行の品質を保証するもとになりますから、契約業務の執行者は執行状況をすべて記録しておく必要があります。業務執行時の記録は問題が発生した時、当事者間の紛争になることを避けるために必要です。業務執行記録は紛争を回避するための十分な条件とは言い切れませんが、契約の正当性を証明するためには必要な条件です。
紛争に長い時間と多くの人手を煩わしている現在の組織運営(ソフトの技術)を見直してはいかがでしょうか。問題解決手法の改善となることは間違いありません。

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