[一語一会 #27] 秘密警察
例えば,ゲシュタポはこれに当たるらしい.ロシアのプーチン大統領が過去に所属していたというKGBもそうだ.
その時々,国々によって,組織によって違うのだろうが,一般には反体制分子と呼ばれる人たちや,スパイの監視・摘発を行っているようだ.
日本にあるのかどうかはあまり知らないが,公安警察が近しいのではないだろうか(秘密といえるのかはわからないが).
現代では極左・極右などが対象になるのだろうが,それは今のところ私とは全く関係がないので,言論の自由の問題がある可能性がある(おそらく憲法上で言えば,公共の福祉という概念によって制限しているということなのだろう)とはいえ,むしろ歓迎しているところであるのだ.しかし,戦時の日本での国家総動員法に付随するような,国家への隷属を強制するような仕組みとしての秘密警察のような組織は非常に怖いものだ.
近年のロシアにはそれほどではないかもしれないが,権威主義的な雰囲気が立ち込めていたことは間違いない.個人的に身に迫ってきたのは,クリミア侵攻のあたりだったと記憶しているが,その後,ナワリヌイ氏の毒殺未遂やデモの統制の仕方を見ていると,どうも不安を覚えざるを得ないところだ.
ウクライナへの侵攻があってから,ロシアやウクライナの体制や簡単な歴史などの情報を得る機会が増えた.その中でよく問題にされているのが,言い方が正しいのかはわからないが,ジェネレーションギャップだ.つまり,これはある程度日本でもそうだ(もしくはそうだった)と思うが,年配の方の情報源はテレビが基本であるのに対して,若者の情報源はインターネットが主流となっているということだ.ここで,ロシアのテレビは政府に抑えられていて,基本的に現政権のプロパガンダだけを拡散し,反対の意見は出てこないよう統制されているため,年配の方はいわば洗脳されてしまって現政権を肯定する割合が高いのに対して,若者ではより幅広い情報をSNSなどからも得ているため,否定的な人の割合が高くなっている,というのだ.(これが事実であるかどうかはご自身で確かめていただきたいところであるが.)
しかも,現政権に反対する思想を持ったら,ないし発信したら,目を付けられるということを述べているロシア人もしばしば見られる.こうしてみていると非常に怖い世界がすぐそこにあったのだなと,プーチン氏の意向で戦争を始められてしまったことも,ある種納得できてしまう.
しかし,このようなことが単に他人事であるということを思っていては,自分たちも同じ問題に引っかかる可能性がある.特に,ハラリ大先生の指摘にもあるように,今後のAI技術や生命科学の発展に従って,人々を観察・コントロールするだけの技術が開発されるのも時間の問題であることを考えると(隣国を見れば,すでにその兆候が見られなくもない),いかに私たち自身をそのような権力の横暴から守っていくか,ということも喫緊の課題となっていることは間違いない.”秘密”警察が,大っぴらに私たちを抑圧するというようなことにはならないようにせねばなるまい.
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