見出し画像

[一語一会 #3] 廃棄弁当

母は近所のコンビ二のパートとして働いている.身近な人ではそれくらいだが,やはり廃棄がすごくたくさん出てしまうということは聞いている(定量的でないのは申し訳ない).地域密着型で愛されてきた店舗ですらこうなのだ.いわんや都市中心部をやである(データを見ていないので邪推でしかないが,需要予測・需供マッチングがより難しいと考えられるため).

1年ちょっと前のあるチームメンバーは,コンビニバイトとはいえ夜勤で入ることで(健康は置いておいて)効率よく稼いでいた上に,そこでは廃棄弁当などをもらって食費を浮かせていたと,誇らしげに語っていた.もちろん衛生上の問題において保証ができないという理由で,店員による廃棄食品の持ち帰りを許可していないコンビニは多いだろうが,一部ではそのような経済が回っているということもあるのだなと考えるだけでも,複雑なトピックだ.

最近では,値引きないしポイントサービスで消費期限切れ間近の弁当をできるだけ売りさばけるようにする等の工夫がされている例もちらほら見かけるようになったし,何年か前には節分の恵方巻の廃棄が世論で問題視され,そのような毎年恒例のイベントモノは当日分をできるだけ減らしたりほぼ完全予約制にしたりするなどの対策が行われて,おそらくこのルートの食品廃棄量は多少なりとも減少したのではないだろうか.

安宅和人先生の本を拝読していると,今後当面はAI的なシステムを使うなどして,さらにマッチングの最適化を進めることが,課題になっていくのだろうと思えてくる.AIでも現実的に難しいという方もいるだろうが,技術革新はきっと可能にしてくれるのではないだろうか(むしろそれを邪魔するのは人間の集合的なイデオロギーである,とは,かのハラリも議論している話だ).それにこれはおそらく日本人のもったいない精神にも共鳴するところがあるはずだ.

ただ,個人的には人々の品切れに対する捉え方ももうちょっと穏やかにしていいんじゃないかなと,思わなくもない.自民党の平代議士がYouTubeの動画で,食品の旬と経済の話について語っていたときにおっしゃっていたのが,そのような趣旨のことで,今が旬であるとかそのタイミングで安く提供できるとか,そういうインセンティブは実は生産者にとっても消費者にとってもベネフィットの大きい選択肢なはずなのだ(例えば,旬のものはおいしい栄養価も高い安いまして必要なエネルギー量も減る!).

こういった知恵(?)も昔の日本人では自然に実践されていたと聞いたことがある.そのように思うと,ここまで見てきたことを鑑みても,日本人というのは実はもともと「先進的」なマインドセットをもっていた可能性があるし,そこから類推するにまだまだ発揮できる役割があるんじゃないかと勝手に想像している.私自身は割と個人主義とか,ウェスタナー的な考え方が染みついている方だと自覚しているけれど,そんなこんなで最近改めて日本人の考え方や思想を学んで,自分の出自に思いをはせてみたいなと,そして活かしていけたらなと思っている.

廃棄が廃棄でなくなる社会がきっとやってくると信じて筆をおきたいと思う.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?