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プロローグ

真っ直ぐに引いていたつもりの線が
振り返れば大きく曲がっていた。。

私はIT系企業に勤める38歳。
20代の頃からIT業界に飛び込み、激動のIT業界の中で夢中になって仕事をしてきました。周りの仲間もみな志高く切磋琢磨しながら仕事に夢中になっていたため、頑張ってるという感覚すらなく、ここまで走り抜けてきました。

仕事は順調(と思っていた)な傍ら、プライベート面は仕事のために捨てていた部分もあり良縁に恵まれませんでした。
時は流れて2019年良縁と思う出会いに恵まれます。
はじめて同棲を経験したのですが、価値観の違いや私の役不足で約1年で破局。お相手と同棲を解消するというタイミングでコロナ禍に入り、当時お相手が派遣切りにあうという同棲を解消するにはタイミング的に非常に厳しい状況となり、二人で対話を行い収入面が安定するまでシェアハウスを行うことにしました。
お相手の努力もあり大手に就職したのを機に2022年5月にシェアハウスを解消しました。
交際期間を含めて約3年という月日は長く、元カノへの感情は妹のような家族のような恋愛とは違う感情を持つようになっていました。

シェアハウスを解消した翌2022年6月に私はこれ以上の良縁はないと心から思う出会いを果たします。
お相手は同じ年でとても真っ直ぐで裏表もなく、とにかく笑顔が素敵な一緒にいて安心できる方でした。
更に運よく私はお付き合いさせていただくことになりました。
これが人生で最後の恋愛になり、彼女とこれからの人生を一緒に生きていきたいと心の底から思っていました。

ただ、、、一つだけ私が彼女に話していなかったことがありました。
それは元カノとの関係です。
3年間という長い年月を一緒にいたため、妹のような家族のような存在で普段から気軽に飲んだりする関係でした。
このことをいつ話すべきか考えていましたが、結局言い出せぬまま時が過ぎていきました。
同じく元カノにも新しく彼女ができたことを話さぬままでした。

彼女との交際が4か月を迎えたとき、この話していなかったことが大きな事件に発展してしまいます。

【彼女と元カノと私が自宅で鉢合わせ】

一瞬にして私の時間が止まりました。
いろいろなことが走馬灯のように駆け巡り、思い出せるのは「今の彼女とこれからの未来を一緒に生きていきたい」と元カノに宣言したことくらいです。
正直、元カノとは約3年という長い年月を過ごし、コロナ禍という厳しい時代も乗り越え、苦労苦悩をともに共有していたため、様々な感情がありました。ただ、元カノとは恋愛関係はないため、肉体関係もなく飲み友のような関係でした。
知りすぎているがゆえに「大丈夫かな」とか「元気にしてるかな」とか気にかけていた部分もあります。
元カノとは同棲する前は遠距離でしたので、私のために住み慣れた環境や仕事を捨てて、不安も多い中、住む場所も変えて一緒についてきてくれた人という思いがあり、自分が元カノの人生を変えてしまったという思いが強く、別れてからも彼女が幸せになるまでは見届けたいという思いもありました。

しかし、この中途半端な優しさがみんなを不幸にしてしまいました。

さらにその事件後、私は人生で最大のミスを犯してしまいます。

【彼女ときちんと対話をすることができなかった】

今思い返せば、私の勝手な判断で彼女は絶対的な味方だと思っていました。
事件後も彼女自身が一番傷ついているにも関わらず、何より私のことを気にかけ優しい言葉をかけてくれていました。
私は彼女の優しさに甘え本当に大切なことを見落とすことになります。

私は元カノとの話し合いを優先し、きちんと関係を整理することに奔走します。
ただ、やはり過去に縛られて思い切って関係を断つということがお互いになかなかできず、時間が流れてしまいました。

【中途半端な優しさを捨てきれずにいました】

そうしてようやく元カノとの話し合いに終わりが見えた日の前日に彼女に連絡をしました。事件から既に5日間も経っていました。

「話がしたい」

この言葉に対して彼女の返答は今までにないほど冷たいものでした。

「話は聞くよ。鍵も返さなきゃいけないから」

私はこの言葉ですべてを察しました…
ことの経緯や元カノとの関係など整理をして話をしましたが、そもそも対応が遅すぎて意味のないものになりました。
こうして私は彼女、元カノ、そしてその周りの方々、多くの方たちを深く傷つけ裏切ってしまいました。

仕事をするうえでも周りの人には素直に謙虚に優しくすることを心掛けて取り組んできました。プライベートも同様に接しようと思い生きてきたつもりでした。
しかし、結果的には中途半端な優しさで多くの人を傷つけて裏切ってしまいました。
自分にとって「優しさ」とはそのことすらわからなくなっていました。
38歳の秋の終わり。

私は暗闇へと転落していきました。心の炎も灯のような火になり、今にも消えそうでした。

「もうどうでもいいや……」

ただ、そのとき脳裏には私が傷つけ裏切ったにも関わらず、別れ際に

「あなたなら大丈夫だよ!」

と励ましアドバイスをしてくれた彼女の姿、また今でも私を信じてついてきてくれる仲間たちのことが浮かびました。

「この期に及んでまでも、俺はどこまで情けなくクソ人間なんだ……」

私は本当にどうしようもなく不甲斐ない自分自身に対して強烈な怒りがこみ上げてきました。

「傷つけ裏切った側なのに、涙を流す資格なんてない。泣いている時間があれば、できることをすべてやって大きく変化しろ!」

私は歯をくいしばり、今にも消えかけていた心の炎がメラメラと燃える感覚を取り戻していました。

自分の信念を貫いていると思い、線を引いていたつもりでしたが、振り返れば大きく曲がっていました。
これからは本当に後悔しない生き方を求めて、次章からクソ人間の奮闘記を書き綴ります。


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