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親知らずの抜歯において人間の上下を感じた話



videobrother山田でございます。



皆様、季節の変わり目ですが風邪など引いてらっしゃいませんか?

心配で夜も眠れません。

さて、私が数年前に親知らずを抜いた時のお話をいたします。


誰もが親知らずを抜く時の痛みやエピソードは忘れがたいものであるが、私のエピソードもなかなかのものである。


抜歯をする前の随分長い間、違和感や痛みはあった。


ただ、私は普段からボンヤリしているため、この痛みを肩凝りによる痛みであると勘違いをし、肩に湿布を貼りながら日々が過ごしておりました。



すると主人に放任されたワンパクな親知らずはムクムクと更なる成長を見せ、私の頬は次第に大きく大きく腫れ上がりました。


当時眼鏡売りだった私はほっぺが腫れた状態で元気に店頭に立っていた。


心ある同僚から私の顔面の異変を告げられ、ようやく遅まきながら肩凝りの痛みであるとはないと気づいた私は職場の近くの歯医者に行きました。



診察室に案内された私は院長と思われる声の大きなDrに親知らずを放っておいたことを丹念にディスられ、その場ですぐに抜歯の手術をすることになりました。


抜歯にあたり、麻酔をすることになったのですが看護婦さんに誓約書のようなものにサインをさせられました。



内容は

「病院はお前に投薬や手術をするがもし失敗したりしても文句言うなよ?わかるな?」

的な大変物騒な内容が大変カジュアルな文言で記載してあった事を記憶している。



私のような貧民が歯医者様に文句など言えるはずもございません。



私は素早く誓約書にサインをし、だらしなく笑い、看護婦さんに渡しました。



麻酔はすぐに始まりました。


一本、二本、三本…


それはまるで大国ロシアのよう。


驚くほど大量の麻酔を打たれた私は誓約書によって高まった恐怖心が段々薄れていくのを感じた。




そして施術開始。





私の親知らずはまだ埋まった状態だった為、

・歯茎の切開

・粉砕

・抜歯

・縫合



を行うという。





すっかりシャブ漬けになっていた私は切開まで全く痛みを感じませんでした。





そして粉砕の工程。
どうやらむき出しになった親知らずに穴を開け、そこに何かをひっかけて粉砕する作業に入る様子。





年収の高い歯医者様は
「痛かったら左手をあげてねー!」
と強い語気で私に指示を出しました。





貧民の私は
「あ゛い!!」
と元気に答えました。





先生が私の歯を粉砕しようと力をいれた瞬間、頭を角材でぶん殴られたような激痛が走りました。





私は先生の指示に沿って左手を上げました。



汗が全身から吹き出る。



左手を奥ゆかしく挙げた貧民はどうやら歯医者様の機嫌をひどく損ねた様子。



「あー、はいはい!!」

と強い語気で声を発し、器具をトレーにガチャンと投げ、再び麻酔が注入されました。




どうやら左手は不機嫌スイッチとして使われていた様子。





これはいけません。





歯医者様の機嫌を損ねようものなら私のような下級国民がこの先どんなひどい目に合うかわかったものではございません。



私は二度と左手を挙げない決意を固めました。




その後の粉砕、抜歯はスムーズに行われ、歯は無事摘出されました。





先生はスムーズに抜歯を行った自身の手腕を私に自慢してきました。



私は先生の腕の良さを褒め称え、努めて感心した様に見せました。




この歯医者様の機嫌をこれ以上損ねたら大変です。



大げさに感嘆詞を発する下級国民にすっかり気を良くした歯医者様は

「縫合も僕がする!安心して!」

と言う。



私は
「はぇぇっ!(はい!)」
と元気よく答えました。





縫合の最後に先生は
「こうしておくと治りが早いからねー。」
と言い、座っていた椅子の上に立ちあがり、縫合したばかりの歯茎にぎゅーーーーっと体重をかけ始めました。










なんと言う鮮やかな痛みでしょうか。






多分、子供なら死んでいます。






しかし、先程左手を挙げる事の愚かさを体験した貧民は足をつねってどうにか気絶しないように耐えました。



先生は自身の手際のよさに満足し、
「抜糸も僕の時にやるから予約しておいてね!」
といい放ちました。





地獄はまだ続くそうです。





激痛とシャブによって消えそうな意識の中、貧民は金を払うように診察室から放り出されました。



会計において、私はもう会話もすることができなかった為、財布ごと事務の方に渡した。




あまりにも私がフラフラしていたためか、数人の看護婦さんが私を取り囲みました。




院長先生様の施術を皆心配してみていたようだ。





看護婦さんの一人が別の若い先生を連れてきた。




私を見るなりその若い先生は
「ちょっとこれ、大丈夫?
麻酔足りてないよ…
ちょと来てください!」
と私を再び診察室へ案内し、投薬が始まりました。



どうやら院長の凄惨な拷問を皆、見て見ぬふりをしていたようだった。




すっかりシャブづいた私はなんだかとっても気持ち良くなり、病院を後にしました。







「アタイ…また来ちゃおっかな?」


終わり。



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