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市販のかぜ薬の危惧すべきこと

昨今、市販のかぜ薬 鎮咳薬の濫用・依存がクローズアップされています。以前より咳止め薬の目的外服用による濫用が問題になってはいましたが、最近は市販薬乱用による精神疾患が増加傾向にあるようです。この背景には規制緩和によりインターネットで簡単に市販薬が入手できるようになったことも大きな一因と思います。

問題になる薬の成分

市販のかぜ薬・鎮咳薬は殆どの商品が配合剤です。配合薬の成分で問題になる薬が、ジヒドロコデインとメチルエフェドリンです。この2つとも咳を抑える作用があり、ほとんどの総合感冒薬と鎮咳薬に含まれています。

そしてこの2成分は厚生労働大臣によって「濫用等のおそれのある医薬品(鎮咳去痰薬に限る)」と指定されています。

ジヒドロコデインは麻薬性・中枢性の鎮咳薬です。名前の通り麻薬の性質を持っています。強い鎮咳作用を持ち、鎮静 鎮痛作用があります。そして連用により薬物依存を生じることがあります。

メチルエフェドリンは中枢性の鎮咳作用と気管支拡張作用があります。交感神経を刺激するため、不眠 神経過敏作用があります。そして覚せい剤の原料となる薬です。

この2剤はセットで配合することでダブルの鎮咳作用を期待し、またお互いの副作用(ジヒドロコデインは中枢神経抑制 メチルエフェドリンは中枢神経興奮)を打ち消すことも目的になっています。メチルエフェドリン、ジヒドロコデイン含有の市販薬は一般用医薬品の分類で第2類医薬品となり薬剤師の対面販売は必須ではありません。薬物依存がある薬と覚せい剤原料にもなる薬がネットなどで簡単に入手できる現状は非常に憂慮すべきことだと思います。

何が問題なのか?

この2剤を含む薬物濫用で問題になることは、依存(精神依存、身体依存)耐性(通常の量では効果が得られなくなること)があります。

ジヒドロコデインは精神依存の他に身体依存もあるため、連用服用中に服用止めると禁断症状(不眠 震え せん妄 発汗など様々な不調症状)が起こりえます。禁断症状を起こさないために服用続けるという悪循環が生まれます。

メチルエフェドリンはエフェドリンの誘導体です。エフェドリンは短期間に連用すると耐性ができます。メチルエフェドリンはエフェドリンの薬効を抑えたものであるものの、同じように交感神経刺激薬であり中枢神経を興奮させる作用あるので耐性も起こりえます。耐性ができると効果得るためには服用量が増えてしまうことになります。

依存と耐性が重なると、薬をやめることができない 薬の量を減らすことができないといった悪循環に陥ります。 精神的な満足を得るためや禁断症状を避けるために過度な連用を続けた結果どうなるのでしょうか。ジヒドロコデインの重篤な副作用に呼吸抑制が、メチルエフェドリンの重篤な副作用に不整脈・心停止があります。つまり死につながりかねないということになります。

市販のかぜ薬・咳止め薬の目的外使用について

市販のかぜ薬や咳止め薬が適正な目的(症状の改善のため)のもと、決められた量で適正な服用期間で服用を中止するという想定内の使い方であれば問題になることは少ないでしょう。はじめから目的外の使用は論外ですが、ここで問題にしたいことは知らず知らずのうちに目的外使用になってしまっていることがありえるということです。

市販薬のアセトアミノフェン配合の総合感冒薬の場合、解熱鎮痛薬の用量は病院処方薬の用量と大差はないです。しかし咳止め薬のジヒドロコデインとメチルエフェドリンの用量は病院処方薬の2/3の用量です。咳止め薬に関しては病院処方薬と同等量のものもあれば少なめのものがあります。

たとえばかぜの症状があって総合感冒薬を飲んだとします。何日かしても咳が取れず、かといってもそれほどひどい咳でもないのでこのままかぜ薬を続けて症状を抑えようとします。そして服用していると、何となく気持ちも落ちついたり、逆に気分があがったり、夜眠れるようになったりすると、かぜの症状は改善してもその他の困っていた気分障害や睡眠障害が改善したりしたら、ひょっとしたらこのまま薬を適正な目的外で服用続けているケースもあるかもしれません。

今は大人も子供もなかなか生きづらい世の中です。精神的につらいことがあっても誰かに相談するとか、心療内科に受診するとかがハードルが高く、そんなとき簡単に手に入るかぜ薬や咳止め薬でラクになれるという気軽な情報を知ったとき、市販薬を手にするのは抵抗感は感じないかもしれません。

薬はリスク

現在のほとんどの市販の総合感冒薬・咳止め薬の成分は30年以上前のものと変わっていません。安全性が高いという理由で引き続き使用が続けられていますが、最近の問題は適正外に使用されることが容易にでき、適正外の使用した場合、深刻な健康被害をひきおこし社会問題にもなっているということです。昨今はスイッチOTC市販薬が増えてきています。かぜの症状を改善する咳止め薬 鼻水止め薬もスイッチされてきています。副作用がまったくない訳ではありませんが少なくとも依存性や耐性の問題はありません。かぜ薬を選ぶとき選択の一つに加えれます。

クスリはリスクです。どんな薬も副作用はあります。かぜ薬といえど使い方を誤れば重大な健康被害をもたらすこともあります。


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