旅行なんて、お高くとまった5%の上流階級だけが味わうことのできる贅沢だ。 45%の労働者、50%の失業者にそんなことを思いつく脳みその空き容量なんて残ってない。みんなみんな、その日を凌ぐので精いっぱい。 だからその代わり、わたしたちは旅をする。 一番ヤバいやつは注射で。 そこそこのやつは錠剤ガブ飲み。 わたしみたいなパンピーはスイーツだ。 そう、スイーツ。チカチカ眩しいモニターのブルーライトに照らされて、キーボードの上に鎮座ましますはブルーベリーショート
昔から、空を見上げるのが好きだった。 暑い時も寒い時も、歩いてる時も立ち止まっている時も。ガキの頃は暇さえあれば、私は空を見つめていた。何を見ているのか、と大人によく聞かれたが、あまりはっきりと答えたことはない。自分でもよく分からないからだ。鳥とか雲とか星とか、その場で目についたものを何となく見つめているだけで、特に目的なんてないのだ。 「またぼーっとしてる」 おかしそうに笑う声で指摘され、私は視線を地表に戻した。腰掛けているボロボロのベンチから数歩先、ちんまり