見出し画像

だから、ぼくはヒーローになれない episode 11 -職人美容師が考える「カッコいい」価値基準-

こんにちは、イイジマケンジ|kushamiです。

今日、自粛期間で2ヶ月以上髪を伸ばして我慢の限界がきたので、いつも通っている美容室へいってきた。(ソーシャルディスタンスのため代々木上原から渋谷まで往復して足がパンパンになった)

今日は美容師さんとWithコロナ時代の美容室のあり方から、少しだけ本質的な話になった。

緊急事態宣言でストップした美容室

僕が普段通っているヘアサロンは、渋谷にあるBRAND NEW DAYS.である。
店長の井上さんは前の前のサロンからずっと担当してもらい、もう7,8年(もっと長いかも)ずっと髪を切ってもらっている。

美容室は全国で25万店舗存在し、東京においても2万店以上ある。
厚生労働省「平成29年度衛生行政報告例の概況」より)

4月に出された緊急事態宣言で国と東京都との見解の差で最も踊ろされたのが美容室・理容室であった。自粛要請の対象となるかどうかで意見が割れたのだ。
理美容業界はこの状況で大変だろう。濃厚接触せざるを得ない職業である。Withコロナ時代を迎えるにあたり、美容室・ヘアサロンは大きな転換点となるだろう。

ボサボサになった髪を職人技でカッコよくしてもらいながら、「これからの美容師」についての話題となった。

Withコロナ時代でも求められ続ける美容師の三要素

BND井上:
今回の自粛はある意味、本当によいキッカケとなる気がするんです。
本当に必要とされる美容師・美容室が選ばれるようになりますよね。 

  美容師は「技術」「人柄」「センス」の三角形なんです。技術で勝負している人、人柄によってお客さんを集めている人、センスで人気な人。色んな人がいる。

お客さんによって求めているものも違うんです。同じお客さんでもどんどん求めるものも変わっていく。だから、「技術」「人柄」「センス」すべてとても大事なんです。

僕自身がなぜずっと井上さんに担当してもらっているのか。今日の話でなんとなく言語化できる気がする。
井上さんは、おそらく、「技術」「人柄」「センス」の三角形がバランスを保っていて、なおかつ、どんどん大きくなってアップデートされているのだ。職人でありながら、その時代の流れと僕の求めているカッコよさを瞬時に判断してくれる。

この「技術」「人柄」「センス」はPRの仕事にも同じことが言える。というか全ての職業人に言えることではないか。僕が憧れるプロフェッショナルは、「技術」「人柄」「センス」3つのバランスが整っている人である。

画像1

価値基準は”カッコいい”かどうか

井上さんの自粛対応に関する判断基準はとても参考になった。

BND井上:
今回の自粛要請で第一に考えないといけないのはお客さんの健康と安全。ただ、自分はオーナーであり、仲間を守る、仲間の家族を守る立場なんです。みんなの生活がかかっている。自粛要請によってお店をどうすればいいか悩みに悩みました。

最終的に決めた判断基準は「カッコいい」かどうか。ダサいことはしない。

自分がカッコいいと思えること、それは、お客さんの健康を守ること。そして、仲間も守ること。だから、お店を一定期間休みにする。そしてスタッフの給料も確保する。

お金はどうにか、なんとかすればいいかなと思って(笑)

お客さんの健康を守り、仲間の生活を守る。そしてお店を守る。すべてを成り立たせることが、井上さんにとっての「カッコいい」だった。井上さんの「カッコいい」かどうかって、「自分と関わる人がすべて幸せになるかどうか」で判断しているのではないか。自分の判断によって、誰かが苦しんだり悩むことが「ダサい」のだろう。

理美容店をめぐる現実はとても厳しい。ものすごく厳しい。国や都の休業補償も微妙だし、実際にBRAND NEW DAYS.も4月の売上はとても厳しかったことを聞いた。井上さん自身が一番苦しい。ただ、そんなことでは負けない人である。どんな状況でも這い上がっていきそうなのだ。

今回、「カッコいい」判断をしてくれたことによって、お店や仲間、そしてお客さんはさらに井上さん、BRAND NEW DAYS.のことがさらに好きになるはずだ。

画像2

美容師の仕事はあくまでも”受注生産”

これからのヘアサロンの在り方がどうなるのか。この質問は職業人である全ての人に問われるものだ。Withコロナ時代を生き延びていくために、自分はどうなるか。どう進むべきか。

僕は井上さんに「みんなにとってBRAND NEW DAYS.はどんなお店、どんな居場所なんですかね?」と聞いてみた。

BND井上:
BRAND NEW DAYS.がお客さんにとってどんな居場所なのかーー。
これって本当に深いところまで話さないといけなくて。

美容師という仕事はあくまでも”受注生産”の仕事
なんです。

お客さんの考えや求めるものはそれぞれ違う。カッコよくなりたい人もいるし、仕事のために清潔にするための人もいる。同じ人でも状況によって求めるものも変わってくるし、カッコいいの定義も変化する。

 美容師は、お客さんの気持ちや状況の変化を会話の中から瞬時に読み取り(引き出し)、技術とセンスで形にしていく。だから、お客さんがどうしたいかを形にするという意味では、美容師の仕事は”受注生産”です。

井上さんから”受注生産”というワードがでたのは意外だった。だけど話を聞いていると井上さんらしいな、と思った。

なんとなく頭の中で”ああ、美容師もやはり壁打ちなんだなあ”と思い描いていた。
美容師自身がやりたいヘアスタイルにするのではなく、あくまでもお客さんがイメージしている・イメージできないけどふわっと考えているスタイルを形にする。だから、自らがお客さんの”壁”となり、お客さんの理想の形を”見える化”しているのだ。

僕らのPRもコンサルテーション要素の強い職業である。あくまでも主役は当事者であり、それを形にするよう聞き上手にならないといけない。そして、それを具現化していく。聞き上手な職人というべきか。うーむ、うまい言葉が見つからない。(うまい言葉が見つかったらしれっと書き直そう)

自分は黒子役。ヒーローではない。

このnote「だから、ぼくはヒーローになれない」は、PRパーソンである僕が、様々なフィールドで活躍する”ヒーロー”を紹介し、仕事への向き合い方や生き方、考えのヒントを”見える化”したいと思って書き始めた。

僕にとって井上さんはヒーローである。だからヒーローである井上さんを紹介したいと伝えた。だが、本人は否定する。

BND井上:
僕はヒーローなんかじゃない。美容師はお客さんが望んでいることを形にするための黒子役であるべきなんです。主役はお客さんなんです。

 お客さんによってお店に来る目的は様々。だけど、誰しもが何かのキッカケで髪を切りにくる。だから、僕たちはそんな人たちを気持ちよく新しい日常を迎えてもらうために存在しているんです。みんなを新しい日常に送り出すために、僕たちは全力を尽くす。

お店の名前は、BRAND NEW DAYS. 
名前がサロンのビジョンそのものであるところが好きだ。

井上さんは、自分はヒーローではなく黒子役だという。いやいや、それを言い切れる人がかっこいいヒーローなんです。職人だからリスペクトしてるんです。

美容師の中でも職人肌である井上さんは、本質的な技術と、ナイスな人柄、そして絶え間なく磨き上げるセンスで、今日も誰かの新しい輝かしい一日を提供している。


サロン店舗情報
BRAND NEW DAYS.(ブランニューデイズ)
ACCESS:東京都渋谷区渋谷2-5-7 本間ビル101
    (渋谷駅から徒歩8分、表参道駅から徒歩10分)
TEL:03-6427-4299
WEB: https://www.brand-new-days.com/
INSTAGRAM: https://www.instagram.com/brandnewdays_tokyo/



蛇足な話。靴下だけに。
BRAND NEW SOCKS.も白黒セットで販売してます。カッコいいです。
スーツのときの外しとしてキメてます。

画像3



いただいたサポートは、年間でまとめて報告してどう使うか考えて記事にします!(500円までは、自分の甘やかしのためにコーヒー代に消えるかもしれませんがそこは許してください…)