見出し画像

だから、ぼくはヒーローになれない episode 21 -みんな読んでない「未来の東京」戦略ビジョンから考える2030年代の東京改造計画(前編)-

こんにちは、イイジマケンジ|kushamiです。

前回のnoteでPR会社からの独立をご報告してから色々な方から励ましの声をかけていただき、本当にありがとうございました…!

これから本格的に独立して自分のやりたいことをやっていくにあたり、大切なことって「自分は何者で、普段どんなことを考えているのか」を少しずつでも発信していかないといけないことを痛感している。
どういう人間か・普段何を考えているかがわかればわかるほど、まわりとの距離が近くになり、「みんなで」アクション起こせることができるようになるはず。

今日は前々回のnoteの続きをまとめてみようと思う。
前々回のnoteはこちら。本題に入る前の小噺で終わってしまった。

2030年代の東京が目指す姿は自分たちで決める

ちょうどこのnoteを書いている最中に、東京都知事選の小池百合子氏の再選が決まった。大方の想定通りであるが、僕は正直東京都知事が変わるだけですべてががらっと変わるとは思わない

とても大切なことは今回の都知事選がゴールではなく、ここからがスタートであるということなのだ。だから、これからの東京の未来をつくるのは、まさしくこれを読んでいるみなさんの役割であるということだけは改めて伝えたい。

「僕は東京都知事が変わるだけですべてががらっと変わるとは思わない」と言ったのは、理由がある。
これまでのキャリアで、地方自治体向けのSIerやPRで携わった経験から言えるが、やはり東京都の具体的な施策を企画を進めるのは、「東京都で働く各主管課(主担当職員)の力」が大きく影響していることが実体験として経験しているから、である。

任期4年しかない都知事より、(ほとんど)新卒からずっっっっと東京の未来について仕事をしている職員のほうが東京の未来について考えに考えていることをわかってほしい。

「未来の東京」戦略ビジョンをすぐに読むべき

東京都は昨年2019年末に「未来の東京」戦略ビジョンを発表している。
概要版でも85スライド、完全版だと310スライドもある超大作。
(東京都のみなさん、お疲れさまです…)

「未来の東京」戦略ビジョン(概要版)(PDF:7,735KB)

「未来の東京」戦略ビジョン(PDF: 15,737KB)

(↑本当に読ませたいならちゃんとOGPとか設定しようよ、と地味に考えてしまう)

当然のことながら、2019年12月にリリースしているので、この時点では新型コロナによるパラダイムシフトは「想定外」である。
ただ、この新型コロナによる社会環境の変化は(言い方は慎重にする必要があるが)2019年に東京が描いた未来へグイッと進んでいったのも確かである。

東京都政策企画局計画部計画課のみなさん、せっかくこんな渾身の資料をもっと世の中に広めて議論していきませんか?未来の東京をもっとディスカッションして、ブラッシュアップしていくことが、本書内に出てくるアジャイル型の戦略ビジョンになると思います。
「世の中に問いをたてる」ことこそPRのやるべきことなので、そのお手伝いさせていただきますよ。(宣伝です)

「未来の東京」戦略ビジョンを要約してみる

300を超えるスライドをエクストリームに要約してみたいと思う。
「未来の東京」戦略ビジョンの構成はまとめるとこんな感じ。

1. 戦略ビジョンが貫くもの・長期戦略を貫く基本戦略
 歴史的な転換点に東京も変わらないといけない
 変わるための長期戦略のための4つの基本戦略
2. 2040年代の東京ビジョン
 2040年代の東京に向けた20の「ビジョン」
3. 2030年に向けた戦略
 2030年に向けた20の「戦略」
4.戦略実行のための「推進プロジェクト」
 120の「推進プロジェクト」

まず、最初に長期戦略を描くための前提論と大方針(考え方)が提示されている。いわゆる自治体の基本計画のなかに”バックキャスト”とか”アジャイル”というカタカナワードが書かれているのは意外だった。カタカナ好きな小池都知事の影響なのだろうか。

0625noteネタ

まずは、バックキャスティングするために、長期的なビジョンを提示している。それが20項目ある。
スライドにまとめると結構抽象的で解像度は粗めに見えるが、実際の資料のなかでは、具体的なシーンが想像できる書き方がされている。たとえば「05 誰もが自分らしくポジティブに働き、活躍できる東京」の中では「テレワークが一般的でオフィス勤めの人の出社は週1日」など。(みんな読んであげよう)
それぞれの主要項目(教育、医療、防災、経済、など)の局別に目指すべき姿が話し合われた形跡がある。

0625noteネタ1

次に、2030年に向けた「戦略」および戦略実行のための「推進プロジェクト」がまとめられている。
スライド構成としては、20ある戦略の方針(3〜5)を掲げた後に、2030年までの政策目標(具体的な数字)、推進プロジェクトの具体的な説明内容が1プロジェクトに対し約1スライドの内容でまとめられている。

フォーマットはすべて統一されていて読みやすい。内容の濃度はプロジェクトごとによってまちまちであるし、フィジビリティの観点からいって「本当にこれやるのかな」と思うのはいくつかあった。だけど、基本はわかりやすいし、ここから民間企業がどの仕事を受けたいのかがちょっと予想できる気がする。

0625noteネタ2

0625noteネタ3

0625noteネタ4

0625noteネタ5

0625noteネタ6

もちろん読みましたよ、300ページ。色々見えてくる。それぞれの担当局によって具体性の濃度も変わっているのもわかる。
おそらく、ここには小池都政の色も反映されていると思うが、少なくともほとんどの戦略やプロジェクトについて「絶対なしだろ」みたいなものはなかった印象である。

ぜひ、みなさんも投票にいったことで「これからの東京に注目する」ことが当たり前になっていくだろう。東京都民じゃない人でも、東京はなんだかんだ日本の首都であるので、注目するに越したことはないと思う。

20の戦略、120の推進プロジェクトを隅から隅までチェックする必要はないと思う。この中から自分が特に気になるジャンル・自分の仕事や生活に関わりそうなポイントを中心にチェックすればよいと思う。

PRパーソン的東京改造計画

まず、これを読んで思った第一印象は「しっかりやってるのに、なんでこんなに認識されてないんだろう」という”もったいない感”である。調べれば調べるほど、魅力的なプロジェクトばかりである。

色々批判を受けることが多いが、生活に直結する部分などのカイゼンが大きく記載されている。

こういった東京都の戦略と僕たち(都民かぎらず日本に住んでいる人・関わっている人全員)との距離がかなり遠いだろう。自分ゴトになってないといったらありきたりだけど、もう少しこの距離感を縮めたい。

東京都が取り組むプロジェクトは「社会づくり」のはずなのに、社会にそこまで認知されていないという矛盾が発生している。
昨年末に発表した「未来の東京」戦略ビジョンについても、日経+αくらいしか記事として取り上げられていなかった。たぶんPRとしてはもう少し見せ方あったんじゃないの?と思う。

いちおう言っておくけど、この戦略が作成されるまでの議論はほとんどチェックした。「未来の東京」への論点や、東京未来ビジョン懇談会などなど。
特に、東京未来ビジョン懇談会には多くの著名人も出ていたこともあり、もう少し情報の受け皿をメディアミックスさせて世の中と対話できる余地はあったんじゃないのかな。

ソーシャライジングな考え方のPRをもっと活用しよう

ここで大切なのが「ソーシャライジング」の考え方だと思う。

ヒト・モノ・コトが社会と”つながっていく” ーそれこそ、ソーシャライジング(社会と自分がつながる)だと思う。
そもそも、認知されていないと、評価されない。だから良いものなのか、悪いものなのかの判断ができない。よいものをつくっていくためには常に自己と他者との”対話”が必要である。いまの東京都の取り組みは僕たちとの”対話”がまだまだ足りない状況である。

ということで、話はまとまってないのだが、PRパーソン的にいうと、もっと市民に向けて対話する場をもつことが次の4年間で大切なんじゃないですかねってかんじです。

今日はここまで。
明日くらいに具体的な事業についての話をしようと思う。

いただいたサポートは、年間でまとめて報告してどう使うか考えて記事にします!(500円までは、自分の甘やかしのためにコーヒー代に消えるかもしれませんがそこは許してください…)