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過去と向き合い児童養護施設で音楽を教えるヴァイオリニストの名刺


変えたい未来の理由は自分のルーツにある。

僕にも思い当たるフシが沢山ある。
市役所で最初に配属された職場では目の前のルーティンワークばかりで退屈した経験から、中堅になって以降は若い職員にクリエイティブな仕事を体験してもらえるような場づくりに注力した。

過去に自分が感じた不自由や不満を次世代に体験させたくないという動機で社会がより良いものになっていくケースはあちこちで生まれている。

音楽との関係性に苦しんだ彼女

今回依頼してくれた彼女は音大出身の社会人だ。優雅にヴィオリンを演奏する20代前半の彼女の音楽との関係性は苦難との闘いだったそう。

小さな頃から音楽に触れてきたが演奏にあたっては常にプレッシャーとの隣り合わせで、失敗した際にはストイックなお母さんに厳しい言葉を投げかけられ、その経験は彼女のトラウマになっている。

辛い体験をした。それで終わらないのが人の強さだ。彼女は自身の経験をもとに、次世代の子どもたちには楽しく音楽に触れてもらいたいと考えている。

演奏が上手い・上手くないよりことよりも楽しく、自分らしく音楽に触れてもらうための活動を始めたいとのことだ。すでに彼女は児童養護施設で子どもたちに演奏を教えている。そのエピソードや行動力に感情移入した。

音大を出る方の多くはその道のプロを目指していると推測するが、当初描いた理想的な道と異なる道に進んでいても、胸を張って音楽と向き合って社会に良い影響を与えている。生き方はさまざまで本当に素晴らしいし、尊敬する。

デザインについて

オモテ

全体の方向性として、可愛らしさと心の奥にある強い想いを表現したかった。

僕が名刺を作る場合、表面には言葉以上に本人を語る「目を引く要素」を入れるが、彼女は写真を入れることは望まないと思い、ご本人の姿をイメージした線画をメインに据えた。このイラストは彼女がヴァイオリンを演奏している姿を僕がスマホで撮影していた写真をベースに描いた。

フォントは可愛らしく柔らかなものを選択。

ウラ

裏面には、名刺全体の雰囲気以上に強い意志や大きなスケールを感じさせるコピーを添えた。彼女がどんな想いで行動しているかが伝わるよう意志を落とし込んだ。

両面に添えた光の模様は、「人を輝かせる人は自分自身も輝いている」というメッセージを込めた。彼女の行動を見て僕が直感的に思ったことだ。これからの彼女の活動がすごく楽しみだし刺激を受けると思う。社会のために行動を起こす若い世代の方に触れる機会が多いが、未来は明るいと思う。

※お名前は変えています。

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