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無形の連鎖

人間関係の不良が生み出す、非効率問題。

鍵を忘れた


 きょうは失敗した。

 鍵を仕事場に忘れてしまったのだ。


 まぁ、一年に10回くらいこういうことがあるので、もはや慣れっこではあるのだが…、事後が面倒くさいという事実は変わらない。


 経緯はこんな感じだ。

 ① 休日だが仕事へ。② 後で上司が来る。③ 上司より早く帰る。④ 帰宅時に鍵がないことに気づく。

 まぁ、なんにせよ、よくある話だ。

 上司が来なければ、自分で施錠をして帰ることになるので、忘れて帰ることもなかったかもしれない。と、そんなことを思えば、もったいないことだ。


 それはさておき、その後の行動を振り返って、「あぁ、やっぱり我々にはいろいろと問題がある」と思ったことを、記す。

連絡は…、しない


 帰宅時に鍵がないことに気づいて、取りに行くことにした。やはり手元に鍵がない、というのは気持ちが悪いからだ。

 実際のところ、自宅には妻がいて、家に入ることはできたので、翌朝に同僚が出勤した頃合いをみて自分も仕事場にいけば、何の問題もない。しかし、鍵がないという状況は微妙にストレスなので、やはり鍵を取りに戻るのが、最良の選択肢なのだ。


 いまならまだ、上司も仕事場にいるかもしれないし。


 と、ここで問題A が発生する。

 問「上司に電話して、鍵の存在を確認してもらうか、否か」

 …。

 答「…。否。 なぜなら、必要最低限以上の会話が面倒だから」


 その答えにたどり着いてから、気づく。

 (やはり、我々には、問題がある。)


連鎖は続く


 電話確認をしないまま、職場に戻るわたし。

 そこで待ち受けていたのは、不運な事実。

 上司、外出。


 つまり、締め出された状態ってことだ。


 しまった…。(面倒くさがっている場合ではなかったか…。)


 とはいえ、まだ、問題解決の可能性は残されていた。

 そういえば…、と、職場近所に住む、我々の御大の存在を思い出す。

 御大は、職場敷地の地主にして、我々の職場の創設初代で、先代だ。頭が上がらない存在ということだ。

 彼なら、もしかすると、合鍵をもっているかもしれない!


 そう思って、御大に電話してみた。

 プルルルル。

 (あっ、すみません。こうこうこういう状況で…、鍵持ってませんか?)


 「すまんなぁ。

  また、面倒に巻き込まれたくないから、

  鍵を預かるのは、断ったんじゃ…。」



 (また、面倒に云々…。)


 これは、数年前のトラブル。物品の所在が不明になった際のいざこざだ。鍵をもっているだけで、疑われるのは辛いことだ。


 上司と、御大の間の溝が。

 こうして、わたしの状況を据え置くことになる。


 そして、改めて気づく。

 (やはり、我々には、問題がある。)

 

負の連鎖が生み出し続ける非効率


 いまさらながら、思うのは。

 人間関係って、良質な状態を構築しておく方が、生産性高いよね。ってことだ。


 今回も、上司とのコミュニケーションが円滑にとれる環境をわたしが作っていれば、そもそも最小限の労力で問題を解決できただろう。上司の自宅は自分の家の近所なので、上司に頼んでわたしの鍵を持ち帰ってもらえば、自分で職場に鍵を取りに行く必要さえなかったかもしれない。


 また、上司と御大の間のトラブルが、円満に解決していれば…。ほかの道もあっただろう。


 たかだか、”鍵を職場に忘れて帰った” それだけの一件だったが。なかなかそれだけというには、重い現実を知った気がした。


良質な人間関係を求めて。


 人間関係の良しあしによって、生活の質は大きく左右される。

 バランスのよい食生活を心がけ、適度な運動を行う規則正しい生活を送るよりも、よい人間関係が保たれた生活を送るほうが、2倍も寿命が長くなり、心身も健康でいられることがわかっているらしい。また、幸福度も高くなるとのこと。


 それでは、良質な人間関係って、どうやって作られるのか。

 「相手のメリットを考えられる

 ここに帰結していくと思う。実際に、スティーブン・コビー氏の「7つの習慣」に語られていることに、これがある。

 第4の習慣「Win-Winを考える」

 まずは、”すべての人が満足できるという発想” これが大事だ、と書かれている。


 今回の鍵の一件からも、それをうかがうことができる。

 自分にとって、相手にとって、満足できる環境を、互いに作ってこなかったから、妙な状況になっているのだ。


 まったくもって、ため息が出る話だ。

 相手のことを考えられない、利己集団。ってことか。

 これではダメだな。




 まずは、自分からだ!

 もっと、良好な人間関係の中で仕事がしたい。それでこそ、もっと人生を楽しめるはずだ。


 そんなことを、思いながら。

 閉ざされた職場のドアの前で立ちすくんでいた。




 しばらくあとになって、遠くの方から。

 上司の車が近づいてくるのが。

 目に入った。



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