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仮歌依頼

こちらの続きです。 
普段は端的な伝達を心がけているのですが、腰を据えて書き出すと長くなってしまう性分。もしよろしければお付き合いくださいませ。

4分の午後のあと

twitterにて、「4分の午後」の動画をシェアさせていただいたところ、日頃交流させていただいてる方々からお褒めの言葉をいただいたり、シェアをきっかけに新たにフォローいただいたりしました。
長年の音楽仲間が制作した楽曲が好評で誇らしかったり。
ついでに私の唄も褒めていただいて嬉しかったり。らじばんだり。


あ、前回は、久保田さんのnote界で築いた輪に水を挿してはなんねえと、勝手にひとりごちってる風にしてみましたが、「である調」では続けられそうになく、noteが優しい世界と知り安心して、ここからは「ですます調」文体で失礼します。(人としての軸がぶれがち)

動画公開後にアップされたこちらの記事を読ませていただいて、邪推への感謝と、もしまた需要ありましたら是非お声がけくださいませ、のメッセージを久保田さんに送りましたら早速。

「仮歌」をお願いしてみたいのがありまして。
というのも、イメージする声質は「細い・透明・女性」という世界観の曲があるんですが、そこを歌ってもらったらどんな感じなのか、という「実験的」な当てなんですが。

nana

と、ここで、突然ですが、札幌を離れてからの今までの私の趣味的音楽活動について書かせていただきます。北関東に越してからしばらく、音楽活動とはほぼ無縁の生活を送っていたのですが、7年ほど前から「nana」という、音楽コラボアプリで唄うようになりました。

きっかけは息子が「『カラオケ』したいー」と言い出したことです。
まだ、ゆったりカラオケで順番に唄い合えるような感じじゃないしなー。そいや最近じゃそんなアプリあるのかな、と「カラオケ」というワードでヒットした「nana」をなんとなくダウンロードしてみたら、「これカラオケじゃないじゃないか!オンラインでバンドの多重録音できちゃうじゃないか!」となりまして。

はじめはロックな方々のかっこいい演奏に合わせて唄える楽しさ、ロック好きな方々とコメント欄で交流するのが楽しくて、ハマっていったnanaでした。しかし、不思議なことに趣向が合う人達というのは、ロックに括られないジャンルでも通じ合えることが多く。その方面の方々のアコースティックなしっとりアレンジ演奏に合わせ唄わせていただいたり。

逆にはじめおされなジャズギター演奏をあげられた方が、僕、学生時代はユニコーンが好きで、とおもむろにユニコーンの演奏コラボを始められて、ええーそうだったの!私高校のときユニコーンのコピバンしてました!と急に親近感が湧き、今までは敷居が高く、聴くだけと思いこんでいたジャズをその方の演奏に合わせて唄ってみよう!とジャズのスタンダードに挑戦してみたり。

最近はこの状況で残念ながらお預けですが、nanaで仲良くなった方々が企画する音楽イベントやセッションに参加させていただいて、リアルコラボという感慨深い体験も数多くさせていただいたり。

nanaによって音楽、そしてオンラインとオフラインにおいて、自分が勝手に作っていた壁が取り払われる体験を数多くさせていただき、今もその体験は継続中です。

というわけで、「細い・透明・女性」とは程遠い声質ですが(女性はかろうじてあてはまるか。)、加齢とnanaでの経験によっていかに自分の先入観がアテにならないかを悟っていた私は、面白がってお受けすることにしました。「仮歌」ってなんか業界ぽくてかっこいいし…(ミーハー)

夜標と書いて「やひょう」

久保田さんから届いた 「夜標-night sign-」デモ。
おお、これは、CDをいただいて聴いていた「O.W.L.」。この曲は私が20年前唄わせていただいた曲と一緒にアルバムに収録されていた曲でもありました。好きな曲だったので、唄わせてもらえるのは嬉しいことだな、と思いました。

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このとき「歌詞は別の人にお願いしている」と、どなたが作詞かは知らされていませんでした。
私は歌詞を書くとき、ある人が存在する、ある場面を切り取ることを心がけて書くことが多く、そういう歌詞の曲にも惹かれます。
なので、「夜標-night sign-」の主人公の視覚、聴覚、触覚、思考の流れがこちらの脳内で再生、再現されるような歌詞にとても惹かれ、作詞された方に「僭越ながらお揃いですね」とお話したくなりました。

久保田さんがnoteで知り合われた方なのかもなあ、と過りつつ、ともあれはじめましての方に失礼があってはいけない、まずは漢字の読みは間違わないようにしなきゃ…読みや意味が曖昧なところはきちんと調べよう、と初歩的なことも肝に命じました。まずは タイトルの読み、意味からw
(4分の午後のときは一語間違えた。すいません。久保田さんなら失礼してもいいと思ったわけではありませんw)

完成後、久保田さんがnoteで知り合われた小川千紗さんという方だと知りました。私の予想は当たった(ドヤ顔)

制作過程と歌詞全文を記事に書かれています。

記事を拝見すると、タイトルは久保田さん発案だったようですが、歌詞中でも「うたかた」や「耀 (かがよ)う」など、日常では使わないけど、小説や詩文を読んでいると出会うような、響きや字面に心惹かれる言葉をさりげなく遣われるところがまた私的にツボで。たいへん唆られてしまいました。

目指せ「P○○○○○○」

キーは例によって任せていただいたのですが、

「美しく」「儚く」「透明」な感じで
「張らない」「ビブラート等なしで伸ばす」
ことを意識してキーを探して欲しい

とのこと。
「美しく」あたりで失礼しましたと撤収したくなりますが、なんつったって「仮」ですのでここは気楽に前向きに。

ちょうど「nana」でそのような唄い方が当てはまりそうなコラボをさせていただいたところだったので、この曲と同じくらいのキーで行こうと思いますが、どうですか?

(クリックいただくと再生ページに飛べます)

とお聴きしたところ、イメージに近いとOKをいただいたので、そうさせていただきました。こうやって認識を合わせられる。便利な時代だ。
(ちなみに、このコラボでクラシックギターを弾かれている方は、BLANKEY JET CITYのベンジーばりにロカビリーなバンドでギターボーカルをされていた方です。)

もうひとつ久保田さんの指示の中に「やさしい無感情」というキーワードもありました。そのアプローチならば、この素敵な歌詞が浮かびあがるんだろうな、と想像でき、とても納得しました。

決して真似するというわけでなく、その楽曲における自分の役割を定義するために既存のアーティストを思い浮かべて唄う、ということをよくするのですが、久保田さんの指示から浮かんだアーティストが

「Perfume 」でした 笑
昔、SNSで久保田さんが中田ヤスタカさんに心酔していたのを見かけたせいもあるかもしれませんw
ポリリズムを貼るあたり、私のPerfumeに対する知識の浅さが現れております。でも観るのすごく好きですPerfume。

今思うといただいたデモはそうではなかったのですが、久保田さんはあとでかなりボーカルにエフェクトをかけると謎の確信がありました。

唄いまわしのクセの強い私ですが、極力、クセは抑えて、指示どおりまっすぐを心がけ、ハモりやかけあいがあるので、自分の声が重なったとき、ぶつからぬように、息を多めに唄いました。エフェクトをかけるときもそのほうが扱いやすいだろうし。
そういえばハモりは息多めにっていうのは20年前久保田さんに教えていただいたテク。そして主旋律の音しかとれずハモり音痴だった私ですが、nanaで素敵な歌い手さんたちにハモりたくて、だんだんハモれるようになれたんだっけなあ、nanaでボーカルエフェクトの使い方を自分なりに研究したなあ、と録音を進めていく中で、散らばっていた自分の音楽体験たちが繋がっていきました。

かけあい部分については

「『耀う』はこの譜割りだと、母音重なりの関係が崩れてしまうので、このような譜割りでここだけ唄い直して送って貰えますか」

という久保田さんからの戻しで並々ならぬものを感じ取っておりました。きっと作詞の方は緻密に考えられただろうところを崩して大変申し訳なかった!と即録り直して送りましたw

小川千紗さんの記事で「地獄の母音合わせ」いうパワーワードを発見し、やはり…!となっております。

コスメのCMではないけれど

OKをいただいた数日後。
「まだラフですが」と私のボーカルも含めミキシングされた音源が久保田さんから届きました。

聴いてみる。

1分30秒あたりのリフレインのところでで私はこ、これは…!となりました。

全部聴き終えて取り急ぎこれだけ返信しました。

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きっとなんだこいつ。と思ったことでしょう。
しかし、前述のような経緯があったため、思わず。

誰が歌っているのかわからないくらいにしてもらってもいい、と思っていたので、「私」を残してくれているのだなあと思いつつ、久保田さんのオケに溶け込んだ、自分の声の重なりをヘッドフォンでわくわくと繰り返し聴いておりました。

そういえば、スピーカーで聴いてみるとどう聴こえるのかな、と車の運転中かけてみたら。

「…!私の声に透明感を感じるだと…?」

久保田さんのミキシングの力により、私の声に失われたというか、今まで感じたこともなかった透明感が感じられたのでありました。効果の高い美容液をつけたときのような感動 笑 衝撃の瞬間でした。

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ここまでが、3月上旬の話でした。

「にしても、ラフとはいえ、ここまで仕上げたということは、本採用されたのかしら。もし、動画も4分の午後のときのようにと言われたら、楽曲のイメージが台無しになると全速力で断って代替案を提示しよう。」

 「てか、仮歌依頼だったんだし、実験的にオケにあてはめてみたのかも。真の透明感を持ち合わせたうら若きボーカリストに練習用に渡すのかもなあ。
 正式版が完成したら、記念にラフ版を私のYouTubeチャンネルで公開していいかお伺いたててみようかな。」

 「新しい経験をまたさせてもらったなあ。悔しいけどなんだかんだ昔から世話になっているぜ久保田くんには(同級生ならではの張り合い精神)」

などと、時折つらつら思いつつ、気忙しい年度終わり、始まりを過ごしておりました。

…お、終わらない…!続く。
(お付き合いいただいた挙句…すいません。)

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