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君がいるからぼくは強くなれる


 

 オランダの歌手マーチン・ハーケン(Martin Hurkens)さんが、小雪が舞い散る路上で歌っている。この人は日本ではまったく知られていないが、オランダでも彼は57歳になるまで無名の存在だった。彼の夢は音楽大学に入り、本格的なトレーニングを受け、やがてオペラ歌手になることだった。しかし経済的な事情がそれを許さず三十二年間、パン職人として生きていた。その職を失ったとき、二人の娘がこっそりとオランダのテレビ番組「タレント発掘ショー」に応募するのだ。そして娘たちはしぶる父親をこう説得した。
「私たちはお父さんを子供のころからパヴァロッティって呼んでいるけれど、ほんとうにお父さんはパヴァロッティみたいに歌えるからよ。お父さんはそれをみんなの前で証明するときがきたの、ここにもう一人のパヴァロッティがいるってことを」
 娘にそう励まされてステージに立った彼は、パヴァロッティが歌う代表曲である「トゥーランドット」の「誰も寝てはならぬ」を歌った。彼が歌いはじめると、もう観客は総立ちの熱狂だった。彼はそのショウで見事に優勝して、世界にデビューしたのだった。そんな彼が歌う「you raise me up」には、人の魂を揺さぶる力がある。

You Raise Me Up                        When I am down and oh my soul so weary
When trouble come and me heart burdened be
Then I am still and sit a while with me
You raise me up, so I can stand on mountains
You raise me up, to walk on stormy seas
I am strong, when I am on your shoulders
You raise me up to more than I can be
There is no life – no life
Without its hunger
Each restless heart beats so imperfectly
But when you come and I am filled with wonder
Sometimes, I think I glimpse eternity
You raise me up, so I can stand on mountains
You raise me up, to walk on stormy seas
I am strong, when I am on your shoulders
You raise me up to more than I can be

「日本英語の小さな塾」に入校してきた中学生たちは、この英語をどのような日本語にするのだろう。ある生徒はこの英語をこう訳した。

とても苦しくつかれ果て
心が痛く、心が折れそうになる
しかしぼくはじっと待っている
君が来て、ここに座ってくれるのを
君はぼくに勇気をくれる
だから山頂にだって立てるんだ
君はぼくを励ましてくれる
だから荒波をのりこえられるんだ
ぼくは強くなっていく

またある生徒はこう訳した。

打ちのめされて心がなえて
苦しみに胸が痛むとき
そっとここで待ちましょう
あなたが私のところにやって来るのを
あなたが力づけてくれるから
山の頂上に立てる
あなたが勇気をくれるから
嵐の海だって越えられる
あなたに支えられて私は強くなる


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