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異星の人

 金髪碧眼に鮮やかな身のこなし、絵に描いたように見目麗しき彼は自称異星人としても名高い。
はなから信じてなどいないが、じっさい世間知らずではあった。知識ばかりが豊富なわりに、どうも経験に乏しいのである。
 思えば出会いから腹の立つ男だった。名を問えばどこの王族かと耳を疑う長さ、書いてみろと迫れば白々しく首を傾げる。僕の名を書いてみせると感じ入ったように頷き、書くとは文字をもつ種族だけの興味深い行為だなどと語りだす念の入りよう。なるほどこれは筋金入りだと諦めることにしたのだ。
 なんだかんだと親しく付き合い、今度は故郷に招かれている。パスポートは用意したが、詳細は何も聞いていない。さあて、どうなることやら。

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