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ふたりなら

 影がさす。見上げたすぐそばに、細面の整った顔立ち。左目のほうが少し小さく、不思議と愛嬌がある。
 父の思惑は明らかだ。家の繁栄、すぐれた世継ぎ。一人娘に悪い虫などもってのほか。そうしてやってきたのが「彼」だった。見え透いたやり口に、憎しみすら覚える。
 世継ぎなど残さない。こんな家終わればいい。言うなりになるくらいなら、私は一生ひとりでいい。
 そう思っていたのに。
 首筋に手を添えて、促すように横たわる。熱い息、淡く湿った皮膚、その下の躍動。これが、アンドロイドだなんて。
「ずっと一緒にいてくれる?」
 口移しで与えたコードで、コマンドを書き換えた。あとは世界を欺くだけ。一人と一体を主演に迎えて、幕が上がる。

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