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東京という言葉がつくる壁

「東京から来たとですか」「すごかですね」東京人に向けて、口を揃えて言う言葉である。東京人というのは私のことだ。東京というのは、地方からするとハイブランド化されていて全国の最高峰のような場所である印象を持っている人が多いのかもしれない。

確かに、人口もお店の数も圧倒的に多いし名だたる外資系の企業から大手日系企業のビル群も立つ街並みは都会ならではだろうけれど。ただ、「東京」という場所がそこまで美化されていることに対して違和感を拭えずにいる自分もいるのだった。

東京にいるからといって、年がら年中お洒落なカフェでランチをしたり芸能人と頻繁にすれ違ったり、ハイセンスなファッションで身を包んだりしているわけではない。そんな生活をしている人なんぞひと握り。生まれた時からお坊ちゃんお嬢ちゃんで私立の幼稚園から大学まで、親はエリートでみたいな生活圏内の人の話であって。薄メイクで外には出るし、冷凍食品だって食べる。たまに奮発して良い服を買う。その他大勢は地味ながらにも、なんとか東京という目まぐるしく変わる生き物のような場所で自分なりの暮らしを紡いでいるのだよ。

東京という場所を美化するあまりに、都会と地方の優劣関係を生んでしまうモヤモヤがネタではなく偏見や差別のような感じがして嫌なのだ。
「あなた、ホワイトカラーなのね。」みたいな。
とはいっても、言われすぎて自分の口から自然と「東京から来たんです」と
言い放っている瞬間もあって。まるでマウントを取っているような気がしてそんな自分を心底後悔する。

日本のような無神教国の小さな島だからこそ、都会vs地方の構図の物差しが妙に際立って感じられたのかもしれない。多様性の少ない国だからこその平和を喜ぶべきか否か。

そもそも人は多様なのだけれど。属性で括って仲間意識を持つことが同時に排他的になるのか。違っても仲間になれるよね....。