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手抜き介護 ㊽事故物件

私が住んでいたマンスリーを含めた数件を兄に送信したとき、兄はまず、中に事故物件がないか調べたらしい。その筋では有名な「大島てる」サイトを利用したものだ。どうやってそんなに細かい情報を集めるのか分からないけど、全国のいわくつき物件を確かめることができる。〇〇年に火事があったとか、内容も簡単に書いてある。

それによると、私が過ごした部屋は何ともなかったが、最初に申し込んだところは事故物件だったようだ。申し込んだ場所ではない見積もりが届いて、何だこれと思ったのが管理人への不信感の始まりだったが、結論から言えばそれで良かったということか。

1軒目は全く問題なかったけど、その後移った部屋は、実はちょっとイヤな感じがした。部屋が古くて暗く、独特のにおいがついていて落ち着かない。お風呂に入るときもドアを少し開けていたし、眠るときも真っ暗には出来なかった。壁紙も床板も、いかにも何かの汚れを隠しています、というつぎはぎ素人張りだった。

でも昔、仕事で知り合った人の中に、あえて事故物件を買おうとしている人がいた。築浅や駅近の好物件が格安で手に入る、〇んだ人より生きてる人の方がよっぽどコワい、と。そんなのを積極的に探す人は珍しいから、不動産屋さんも親切に次々紹介してくれたらしい。そして程なく、好みの一軒を手に入れた。

お付き合いはそのあたりで途切れたのだけど、当時シングルマザーだった彼女が、その後結婚したと人づてに聞いた。お相手は、フリーで仕事しているアメリカ人だという。とらわれない生き方を、貫いている。


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