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非定型骨折の話 ⑨尿導管を外したくない

骨折部にプレートを渡す手術は、3時間近くかかった。開始時刻が予定より3時間ほど遅れていたので、終わったころにはもう外は真っ暗。外科医は体力勝負、なんて話を聞いたことがあったけど、疲労困憊なのではないかしら。休みはちゃんとあるのかななど、余計なことを考える。
 
前回は大部屋を望んだ母だったが、大部屋でも皆それぞれカーテンを閉め切っていて昔のようにおしゃべりできないと分かったためか、今回は移動したいと言わない。ここは急性期の病院だから、そう遠くないうちにリハビリ病院への転院の打診が来るだろう。数年前骨折した時の転院先はとてもイヤだったので、今回は別のところにしてほしいと言われている。

ところが、10日経っても病院からは何も連絡がない。そのまま診てくれることに越したことはないけど、どうしてかと思っていたら、看護師さんに訊いて理由が分かった。術後3日程度で外す予定だった尿導管を、本人が外さないでほしいというのでそのままにしているというのだ。外すと自分で後始末をしなければならなくなるので、まだ自信がないからつけておいてほしい、ということらしい。

つまり寝たきりと同じ状態なので、転院の相談などほど遠い段階にあるということ。「室内履きを替えてほしい」「お風呂に入るときの洗面器がない」「Tシャツを持ってきて」と連日連絡があったので経過は順調だと思っていたが、それらはそのうち必要になると思っての電話だったようだ。


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