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手抜き介護 59 がん検診

昨年、市の無料がん検診で、父が前立腺がんの再検査を勧められた。「お父さん、前立腺がんだって」と母が怖い顔で言う。いや、誰もそこまで言ってない。採血でPSA値というのを測るのだけど、基準4.0ng/ml以下のところ、4.5ng/mlだったとか。

いつも行っている病院の泌尿器科を受診したら、触診などもした上で「経過観察」と言われた。状態が進んでいれば数値は4桁くらいになったりするそうだ。医師は、「でも90超えてがん検診なんか、よくしますね」と私にだけ聞こえるくらいの小さな声でつぶやいた。「がんが見つかったところで、手術は、どうなんでしょう」と。90を境に検診は不要とは言えないにしても、確かにそこは考えどころだ。

とりあえず緊急事態ではなかったので「良かったね」と父に言ったら、「保険組合の基準値では、平常範囲内なんだ」という。前に組合の基準値を見たら、4.5ng/ml以下だったとのこと。つまり本人も、問題ないんだろうなと思いながら受診している。そうだったの!

そして先週血液内科の医師に、今服用中の薬にがんにつながる可能性があるものが含まれているので、検診を受けるようにと言われた。でも飲んでいる薬の中には、目的は違うけど抗がん剤も入っている。心臓も腎臓も悪く、内分泌系の薬も飲んでいる。まさに、がんが分かったところで手術に耐えられる状態なのか、そっちのリスクの方が気になる。

でも本人に、「今更がん検診したって」とも言いにくい。ちょっと失礼くさい気もするし。早期発見早期治療が信条なのなら、そんな判断もひっくるめて父の人生なんだろうと思う。

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