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非定型骨折の話 ⑬動かない

父の趣味は、将棋とPCのフリーセル。あとはゆっくり何度も新聞を読み、テレビを見たり、たまにお昼寝したり、ごくたまにスーパーに行ったりする。もともと無口で自己完結型な人なので、こちらから話しかけないと単なるシェアハウスになりかねない。
 
今朝は6時くらいに居間に行ったら、5時から起きていた父がソファに横になっていた。「おはよう」と言っても反応がない。まさか、〇んでる? そうっと近くによって胸のあたりを見たら、小さく上下していた。良かった、あーびっくりした。
 
朝食の用意がほぼ出来て台所から出てきても、さっきと同じ体制だった。呼吸の音が、全然聞こえない。え?これ、緊急事態じゃないよね。苦しそうじゃないし。テレビをつけてみたら、その音で目を開けた。ただの二度寝だった。
 
でも冗談じゃなく、ある朝突然―ということもあるのだろう。6月が来たら、父も90だ。今回の母の入院時には医師から「骨折に関係なく、突然心臓に異常を来してもおかしくない年齢ですが、入院中心臓が止まったときは管を入れますか?」なんて訊かれた。
 
私が今実家にいるのも、一人で緊急事態を迎えさせたくないということに尽きる。でも、そんな場面にはあいたくない。できればずっと元気でいてほしい。

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