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手抜き介護 123 異常がない

「毎日暑くて体調が悪い」と母が言う。リウマチは、冷え込む季節だけでなく、湿度が高くても病むようだ。悪化しているに違いないと覚悟していた診察室で、しかしドクターは「炎症の反応は落ち着いていますね。痛みもあまりないでしょう」と言った。他の数値も問題ないとのこと。

「ここのところ、痛みが強くなってきて」
「強いですか。では痛み止めを多めに出しておきますね」
「めまいもするんです」
「それは近くの耳鼻科で一度診てもらってください」

母は、メニエール病ではないかと思っているらしい。でも近所の耳鼻科で検査したところ、加齢による衰え以外に異常は何もないという。「一般的なめまいの薬」と体を温める漢方薬(手足が冷えると言ったため)をどっさりもらって帰ってきた。そして「一般的な薬なんか要らない」と飲んでいない(!)。

目の見え方も悪くなっているというので、眼科にも行ってきた。「部屋が暗く見える」との訴えにも、診察室では「特に問題はなさそうですね。年齢に応じた変化の範囲で、何か治療が必要なことはありません」という回答。いつもの目薬が処方された。

帰ってきてお昼を食べながら、今度は「脳梗塞じゃないか」と言う。冷や麦がすすりにくく、オロナミンCのラッパ飲みが出来ないと。体が思うように動いた若い頃の残像を、ひたすら追っているようにも見える。老いなのか病気なのかを見極めることって、高齢者には難しいらしい。覚えておかないと。


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