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手抜き介護 101 よたよた歩く

母の眼科定期検診に行ってきた。私くらいのおばちゃんに介助されて、ゆっくり歩く母くらいのお婆ちゃんが、ちょうど同じタイミングで検査と診察待ちになった。足取りは心もとないけれど、何とか自力で歩いている。

診察を終えて家に帰って来ると、「よたよたしている人がいたね」と母が言った。

私「ああ、すぐ前に」
母「私も、あんな感じじゃないかな」
私「あんな感じ?」
母「あんな風に、よたよたするんじゃないかな」

よたよたするって、あなた、車いすでんがな。
でも母の実感としては、「車いすは世を忍ぶ仮の姿」らしい。リハビリしたら元のように歩けるはず、でももしかしたらあの人みたいによたよた程度にしかならない可能性も、という風に。

母は今、靴の脱ぎ履きも自身ではできない。車いすから自家用車への移乗も、かなり時間がかかる。でも「今日は寒いから体が動かなくて」「昨日のお風呂疲れがまだ残ってるから」と、一時的な不調を強調する。これって大事なことかもしれない。私は今から筋力がよみがえるなんて思わないが、歩ける自分を思い描くことは大きなモチベーションになる。思い込みの激しい性格と気の強さが、ぎりぎり外出できる状態を保っているのではないかと思う。


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