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手抜き介護 69 食べたいもの

実家には、いつも何かしら果物がある。2人とも「仏壇に供えるため」と言いながら、食後の楽しみにしている。私にも「リンゴあるよ」と勧めてくれるので、「アレルギーがあってリンゴは食べられない」と言ったら「そんなはずはない」と返された。そんなはずってどんなはず?

母が店頭に並ぶ大きな桃を見て、値段をちょっと気にしながら「桃、食べる?」と私に訊いてきたことがある。私が「うん」と答えて、私のために買うという想定だったんだろうと思う。

「いや、私はアレルギーだから要らない。食べたいんならどうぞ」
「いやあ!」(面倒くさいな、アンタ、という感じ)

でもその桃はとても気になったようで、スーパーをひと通り見た後、また戻って来てカゴに入れていた。多分年代的なものがあるんだろうと思うけど、自分のためにちょっと高いものを買うのは贅沢に感じるみたい。「仏さまに供える」「人が来る」ことを理由にして、自分たちはご相伴にあずかる立場が落ち着くような。

「ウナギ食べたいけど、高くて」なんて言ってないで買ったらいいのに、と思う。でもそれで私が買ってくると、「金持ちは良いね」みたいなことを言われるから頻繁には出来ない。特別裕福な訳ではないけど、すごい貧乏でもないから、もう少し自分たちの楽しみ(今はもっぱら食べること)にお金を使ってくれたらいいのにと思う。

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