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手抜き介護 129 晩夏のバスレク

実家に行くためにバスに乗ったら、後ろの席に座った高齢の女性が身を乗り出して「今日6時からあそこで何かやるんだって」と話しかけてきた。見ると、駅前広場にテントを組み立てたり椅子を運び込んだりしている人たちがいる。

「何かイベントがあるんですか」
「食べ物屋さんとか、出るんだって。何してるのって訊いたら、6時から始めるからぜひ来てくださいって」

「へえ」と返しただけなんだけど、コイツは話を聞きそうだと思ったらしく、そこから延々身の上話が始まった。あれ?これってもしかして…。とりとめのない話の続きに、近所の泥棒おばちゃんのエピソードが出てきて、「私、尾岱沼の出身なんだけどね」ときた。間違いない、あのときの人だ。この記事↓

思いつくまま目につくまま、おしゃべりは続く。

「いつもここで降りる女の人がいるんだけど、今日は乗ってないね。そこのホテルで、孫が結婚式を挙げたの。あの人、足悪いんだね、どうしたんだろう。娘のダンナは中卒でお菓子屋に勤めてね。あ、今あのおじさん、運転手さんに頭下げたね」

相手にお構いなくいつまでも話し続けること以外は、特に不自然な感じもない。昨日は駅前で1人でバスを待つ男の子に話しかけたら、「こっちに来るな!」と返されたそう。「何で」と訊くと「うつるから」と言われたとか。子ども相手に「近所に泥棒がいる」とか「インゲンが生りすぎて困ってる」とか話すのかな。私が降りるまでの20分ほどずっとしゃべり続けて、少しはストレス解消になっていたら良いのだけど。

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