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手抜き介護 120 夏のバスレク

今朝ホテルを出て実家に向かうバスを待っていたら、知らないお婆ちゃんに話しかけられた。年の頃は、80過ぎくらいだろうか。最初は「暑いね」「いつもより人が少ないね」程度だったのが、だんだん身の上話に広がってきた。

「一人暮らしをしている。いつも朝バスに乗ってナントカ公園経由で乗り換え、駅前に戻ってきてこのバスを待つ。実家は尾岱沼にあり、父親は漁師だった…」。

尾岱沼は北海道の東はずれの、あまり知られない地名。でも私はたまたまその近くに勤務先があり、「住んでいたことがあってよく知っています」と言ったが「ああそう」と軽くスルーされた。会話を楽しみたい、ということではないようだ。

「実家には、今は弟が住んでいる。その2軒隣にもう一人弟がいて、その嫁が病気になった。自分の家は〇〇にあるが、近所のお婆ちゃんが勝手に入ってきて、モノを盗っていく。道を挟んだ向かいにセブンイレブンがあって…」。

このあたりでバスが来て、間に割り込んできた人のお陰で自然に席が離れた。75歳以上の市民を対象にした無料バスカードがあるから、それを使って毎日バスレクしているのだろう。飲み物程度用意したら、あとは座って涼しく景色の変化が楽しめる。おにぎりもあれば、公園でランチして一日過ごせるし。

その辺の人を捕まえてこんなにおしゃべりするんだから、ちょっとまだらが始まっているかもしれない。でも運動機能はしゃんとしていて、この暑い夏を乗り切る賢い方法にも思える。あのバス停はよく使うし、次に会ったらセブンイレブンの続きを聞かせてもらうつもり。


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