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手抜き介護 108 冷や麦ひと箱

実家がお中元やお歳暮、年賀状といったお付き合いをやめて、もう10年以上経つ。なのに今でもお中元を贈ってくれる親戚が1軒あり、ありがたいけど悩みのタネになっている。

もちろんいただきっぱなしという訳にはいかないから、ここ数年は両親の意向を聞きながら私がお返しの手配をしている。「日持ちするゼリーはどう」「飲み物なら喜ばれるかも」とその時々で贈るものは変わるのだけど、先方からいただくのは一貫して冷や麦。20袋入りの化粧箱が、この40年以上続いている。

贈られるものが決まっていれば予定が立つだろうという気遣いかもしれないが、人が集う賑やかな実家とは違うので、何せ量が多すぎる。糖尿病に、精製された炭水化物はよろしくないと言われるし、それでなくても食が細くなった老夫婦は、1回ひと袋すら持て余している。かといって、「もうやめましょう」とか「違うものにしてくれませんか」とか言えるような間柄でもない。

前回、実家から自宅に帰る日、「アンタ、冷や麦持って行かないかい」と言われて見に行ったら、去年の箱はまだ開けてもいなかった。一昨年のが6つ残っている。フードバンクという方法があるけれど、そこまではちょっと踏み切れないようだ。期限は多少過ぎても、乾麺なら問題ないだろうという意識で2人は一致している。私自身もそんなに要らないし、本音を言えば素麺の方が好き。こんなことを考えているうちに、もう次のひと箱が届く季節がやってくる。


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