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手抜き介護 79 イベント手巻きずし

昨日「手巻きにしようか」と母が言ったのは、本気だった。近くのスーパーですしネタとすし酢を買ってきて、用意することに。

私が中学生くらいのころ、お祝いや何かのお疲れさん会といえば手巻きずしだった。豪華で簡単で後片付けが楽と、母の先導が大きい。もちろん私も、好きなものが好きなだけ食べられて嬉しかった記憶がある。でもあれは、たくさん食べる人が4人もいたから良かっただけで、今はどうだろう。

すっかり食が細くなった高齢者3人(私も含む!)だから、ちらしとか握りとか、パックで買った方が良いんじゃないかと思ったが、手巻きは、両親の間ではまだイベントのようだ。母はずいぶん早くからお米をといで、「4時になったら火をつける」と何度も時計を見上げている。

母がすし桶を出そうとするのを止めて、大きめの深皿に1合ほどのご飯を盛り酢を振り入れていたら、父が「(酢は)多めに」とつぶやいて通り過ぎた。戻って来た手には、うちわがある。すし飯を切り混ぜていると、上からあおいでくれた。何だこの、無言の連係プレー。

母が「おいしいね」と言い、父のご飯もいつもより進んでいる。そうなのかー。よく買う握りパックとの違いは、のり率がやたら多いこととネタはむしろ小さいことくらいだと思うけど、2人とも楽しそう。いつも「〇〇でいい」という言い方で盛り付けもまったく気にしていないように見えたが、どうでも良いわけではないみたい。やっぱり食は、ささやかな楽しみなんだなあ。改めて、ちょっと勉強になった。


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