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手抜き介護 87 タラの芽

今日は母がデイサービスの日なので、いつもより遅く実家に行った。台所を片付け、洗濯を終え買い物も済ませて帰ってきたら、父がいなくなっていた。でも10分ほどで帰ってきた父、小さな袋をぶら下げている。

どこかでタラの芽を摘んできたらしい。台所で湯がき始めた。その辺から採ってきたのなら、猫のおしっことかかかってるかもね。去年はそこまで考えず天ぷらにしたけど、おしっこを考えると、ちょっとためらいが出る。私に食べさせたいと思って摘んできたかな。勧められたら一つくらい食べないと、がっかりするかな。

お昼時間が近くなり、ふと父に「お母さんはどうした」と訊かれた。

「デイサービス」
「ん?」
「デイサービスに行ってるよ」
「ああ、そうか」

え? 出かけてからもう3時間は経っている。いないことに今気づいた? 母はしゃべるからボロが出て怪しいことが分かるけど、父はしゃべらないからしっかりしてると勘違いしちゃう。これは気が抜けない。「あそこ(デイサービス先)は人が多いから、帰りは昼過ぎるんだ」なんて言い足してごまかす父。

12時になり、父が自分の昼食の用意を始めた。さっき湯がいたタラの芽をマイ皿に取り、特に私に勧めることはなかった。ただ自分で食べたくて、摘んできただけらしい。一つくらい食べないと悪いかななんて、要らない心配だった。

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