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2023.12.28→2024.1.4

2024.12.28 「宇都宮へ」


 今日中に実家に帰らなければいけないとわかっているのに、まったくその気にならなかった。パッキングも終わっていない。
 実家に帰るだけなのに、キャリーバッグを取り出して物を詰めていく。実家で過ごすのは今日を含めて4日間だ。4日間あれば、手を付けていない原稿のプロットを組むこともできるし、2023年の振り返りと2024年の予定組もできるだろうと思ってしまうのは欲張り過ぎだろうか? 可愛いシール。過去に使っていたノート。色とりどりのペン。そういったものをキャリーに詰めたらびっくりするほど重くなった。
 家を出る前に、ぬいぐるみたちに声をかけてハグをしていく。産まれたてのシャンシャン。少し大きくなったシャンシャン。だいぶ大きくなってきたシャンシャン。ハダカデバネズミ。ゴマアザラシ。がまくんとかえるくん。メカねこバス。ナナミンたち。ウミガメ。ぬいぐるみは、本当に可愛い。ふわふわしていて、私好みのいい匂いがする。離れるのが嫌だなぁ。ずっと囲まれてぬくぬくでふわふわのふとんのなかで暮らしたい。最後にいつも一緒に寝ている大きなムーミンのぬいぐるみをギュッとした。ムーミンからは仄かにGOUTALの「NUIT ET DONFIDENCES」の匂いがする。スパイシーさとその奥のバニラの甘い匂い。ムーミンに掛け布団をかけてから重いキャリーを引きずって部屋を出た。

 都心のデパ地下で祖母と可愛い末っ子用のお土産を買った。少女趣味の祖母のために、イモ洗いのようになっているデパ地下に潜りこんでオードリーのグレイシアを買うための列に並ぶ。大変だけれど、お祖母ちゃんが「東京にはこんなのがあるんだね。初めて見たよ。可愛いね。美味しいね」と言ってくれることを想像したら何のその! 無事、バニラとチョコの味を両方買えました。

 宇都宮駅は小学生が持っている匂い付きペンのような匂いがする。その人工的な甘い匂いは、駅の柱の下に置かれた人工イチゴから発せられている。おそらく、「おもてなし」だろう。独特だけど、面白いから私は好きだ。

2023.12.29 「お友達と会う。お友達はとても大切」

 高校のお友達と新しくできたLRTに乗って映画を観に行く。LRTは、近代的な様子。中釣り広告が少なくて、駅のホームは大谷石でできている。駅も車体もピカピカの新品だ。
 知っている道に駅名が付くのは面白い。そうだね、この道だとそこに駅をつくるね。その場所だと駅名はたしかにこれだわぁ。みたいな。
 運転席の後ろに張り付くようにして子どもたちが運転を見ていた。いちいち歓声が上がって面白い。おそらく、毎日こうなんだろうなと思った。動じない運転手さんはすごい。
 思っていたよりずっとLRTは速かった。あと安い。駅からショッピングモールまで150円で行けた! 安い!

 『窓ぎわのトットちゃん』を観た。2時間もない映画なのに、ものすごくエネルギーが必要な作品だった。つまり、すごくいい映画。
 観終わってまず思ったのが、戦争が起こると弱い人から死んでしまうということ。泰明ちゃんの死因に関しては詳しく書かれていなかったが、もし戦争が起こっていなければもっと長生きできたのではないかとはどうしても思ってしまった。だって、トットちゃんのお母さんのお洋服はどんどん質素になっていくし、犬はいなくなるし。街から男の人は消えていくし。
 『この世界の片隅で』と同じ類のリアルさを感じた。嫌だな。

 あと、大人になった今だから思う。私が先生の立場で、トットちゃんのような子どもがいたらとても怖い。泰明ちゃんと一緒に脚立で木登りをするシーン、泰明ちゃんをプールに入れるシーン、泰明ちゃんをリヤカーに載せて自転車で爆走するシーン。本当に怖かった。「やめてくれー!」と心のなかで叫んだ。大人の私は最悪な「もしも」を想像しちゃうからだ。ただ、こういう大人たちの影響もあって泰明ちゃんは、やりたいことを諦めるようになっちゃったんだろうなとも思う。こどもには、のびのびしてほしいけど、こどもをのびのびさせるのは大変だ。
 だから小林校長先生は偉大だ。

 一年ぶりに音信不通だった友達と連絡がついた。病気だったらしい。一緒に遊んでいた友達も数か月前に手術をしていた。私も健康診断の結果がよろしくない。そういう年齢か。うーん。ちょっと早くない? たくさん遊ぼうと思った。

2023.12.30 「きぶなどん

 宇都宮駅でソフビの「きぶなどん」ガチャを回した。出てきたのは黄緑色の「きぶなどん」だった。どうせなら、黄ぶなカラーの「きぶなどん」が欲しかった。黄ぶなとは、宇都宮に伝わる伝承に登場する魚だ。天然痘が流行った頃に不思議な黄金のフナを食べて治ったというお話だ。そのため、無病息災のシンボルとして、お土産屋さんで張り子などが売られている。きぶなどんは、そのきぶなの怪獣だ。
 私は、きぶなどんよりただの黄ぶなの方が好きだな。
 私は恐らくそういう「コアなソフビを持っている私」が欲しくてガチャガチャを回したのだろうなと分析する。見慣れると黄緑のきぶなどんも可愛らしい。

そうそう、帰りに学生の頃にバイトをしていたお店へ寄った。なんと、あの頃一緒にバイトをしていたフリーターのお兄さんがまだ働いていた。タイミングが合わなくて声はかけられなかったけど、私がレジを通している間に、お兄さんのレジは三人くらいお客さんをさばいていた。元気そうである。私がバイトをしていた頃は、夢を追いながらフリーターをしていた。なんとうなく今は社員で働いているような気がした。人生を感じた。

 夜、弟たちと兄弟麻雀をやって焼肉屋へ行く。兄弟そろって不良である。

2023.12.31 「気づき」

 今回のお正月は諸事情があり、兄弟だけで過ごしている。仲が悪いわけではないが、ベタベタと仲がいいというわけではない。お互いそこまで深く干渉し合わない性質なのだ。今回、久しぶりに長時間一緒に過ごしたことにより少し気づいたことがある。
 上の弟に末っ子ちゃんのチャームが効かなくなっている。
 小さい頃、末っ子ちゃんは、何をやっても可愛い可愛いで終わった。意にそぐわないことが起こると末っ子は可愛く拗ねる。それを私たちは「もう、はいはい」といなしてチャンチャンが一連の流れだった。
 しかし、現在。上の弟は、末っ子ちゃんが拗ねたら「は?」と言います。陰で私に「あいつが拗ねるとまじで面倒くさくてイラっとするんだよね」と言っていました。びっくり。上の弟は、大学進学を期に家を出てしばらく疎遠だった。その間に、すっかりその「お約束」を忘れてしまっていたのだ。あと、末っ子ちゃんのビジュアルも関係しているのかも。昔は、可愛かったけど、今は客観的に見ると巨体ムサイ男だ。私には可愛く見えているけどなぁ。この年になっても兄弟の関係性は微妙に変わるのだ。
 まぁ末っ子ちゃんがやりたがっている兄弟麻雀に付き合ってあげるくらいには、上の弟も末っ子ちゃんのことを可愛がってはいるけど。

2024.1.1 「お祖母ちゃんの家へ」

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 今日で長期のお休みは終わり。最終日は、お祖母ちゃんの家へ行きます。
 お祖母ちゃんの作る料理は、魔法みたいに美味しい。特にお汁粉は絶品だ。私たちがお汁粉を大好きだと知っているので、お祖母ちゃんは私たちが来るときには必ずお汁粉を作って待っていてくれる。大好き。
 私たち兄弟は、お腹いっぱいお祖母ちゃんの手料理を食べて、こたつのお部屋でゴウゴウと寝た。ここにきてやっとお正月休みらしさが出てきた。
 そうそう、お祖母ちゃんは私のお土産を喜んでくれました。しかし、弟の方が感触がよかった気がする。弟は、渋谷で買った期間限定のカヌレの詰め合わせでした。彼もまたおばあちゃんたちを喜ばせて「すごいね」と言われたいのだ。
 カヌレを食べている時に、天井の電灯が大きく揺れるほど大きな地震が起きた。

2024.1.2 「仕事始め」

 あーあ。始まってしまった。お仕事です。
 久しぶりのお仕事はとても疲れた。
 夜、ニュースで羽田空港の事故の件を知った。何も関係がないけど、末っ子ちゃんと両親に電話をかけた。みんな元気。よかった。
 しかし、北陸の地震、羽田の事故と2024年は幕開け早々嫌なことが続いている。
 ……少しいいことを。突然辞めてしまった後輩の子から年賀状が届いた。辞めて後初めて届いたメッセージだ。冒頭からどうやってこの年賀状を送ることができたか経緯が綴られていた。彼女らしい。私が「どうして私の住所がわかったんだろう?」と首をかしげることを予想したのだろう。こういう先回りのやさしさができる子だった。気持ちが元気になってほしいな。元気になったら会えたらいいなと思った。そういうことを年賀状に書いて送った。

2024.1.3 「残業」

 仕事始め二日目にして大幅な残業です。三時間くらいかな。個人的には仕方がない残業だと思って割り切っている。周りのみんなが具合を崩して倒れてしまったのだ。コロナ、インフル、アデノウイルス、慣性性胃腸炎。年末から年始にかけて、色んな病気が流行っている。
 なぜか私の身体はずっと元気。毎日食べている酢漬けの玉ねぎのおかげかな。

 おばあちゃんからもらったキンピラと芋きんとんが無くなってしまった。ショック。
 おばあちゃんがくれた干し芋が肉厚でとても美味しい。さつもいもの栽培から自家製だ。来年も食べたいなぁ。

2024.1.4 「魔法の白い粉」「呪術廻戦25巻の感想」

 KALDIで売っている「魔法の白い粉」を知っているだろうか。私は今日知りました。
 物のついでに寄ったKALDIで、店員さんがコーヒーを配っていたので頂いた。口をつけてびっくり。美味しい! ブラックコーヒーではない。ミルクと、砂糖ではない。これはハチミツだろうか? コーヒーに混ざっている物の正体が分からなかったので、勇気をだしてコーヒーを配っている店員さんに声をかけた。
「あぁ、これですよ。よく聞かれます。これがいい仕事をするんですよ」
 店員さんが自身の背後の商品を指さした。
クリーミーシュガーパウダー。これが、あの甘さの正体らしい。クリープが苦手だからどうしようかと思ったが、物は試しとコーヒー豆と一緒に買ってみた。自分でやっても美味しく淹れられるかしら。
 LUPICIAで、安くなっていた紅茶の詰め合わせを買って、自転車屋さんを冷やかしていたところで、職場から少し深刻な電話がかかってきたので、職場へ向かう。休日に職場。死にたくなるような響きだが結果的には行ってよかった。
 帰宅後に、呪術廻戦25巻のお供として、例の白い粉を使ってみたら、簡単にお店の味になった! すごい!

 呪術廻戦25巻。五条VS宿儺を観戦する人たちの様子がシュールで面白かった。戦闘シーンの勢いが削がれるから、ああいう実況をいちいち挟む判断をしたのは勇気があると一瞬思ったけど、これは頂上決戦なのだ。あの解説が入らないと、すごい戦いなのにそのすごさが分からないかもなぁと思う。
 乙骨のコメントがいちいち心臓に悪い。

 あと、七海の訃報を聞いた五条の「七海はなんやかんや生き残るタイプだと思ってたんだけどな」に、五条にとってどこまで生きていたら「生き残る」になるのだろうかと思った。自分より長生きをしたら? 老人になったら? 呪術師はずっと戦うのだ。死ぬまで終わりがない。
 あと、その後の伊地知さんの台詞が、サバイバーズ・ギルドのそれで辛い。伊地知さんはずっと周りの人が死ぬ度にそう思っていたのかなとか、故人の思い出話を聞く度に喉が詰まるような思いをしていたのかもしれないと思ってしまった。そして、伊地知さんのその台詞に対して五条が言った「……どんだけ僕のことを低く見積もっているの?」が見当違い過ぎて。これだから最強は。
 伊地知さんが心の底から笑える瞬間があったらいいな。五条の傍にずっといてくれた凡庸な彼に花束を。

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