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みじかい小説#161『朝』

 伸二しんじの朝は早い。

 朝5時には目が覚める。
 これは伸二の幼いころからの癖といってもよく、夜どんなに遅く寝たとしても、翌朝5時にはぱっちりと目が覚めるのである。

 伸二は起きるとまずコーヒーを入れる。
 コーヒーメーカーに粉を入れ、ぷつとボタンを押す。
 そうしている間に歯を磨く。

 歯を磨きながら今日の予定を頭の中で整理する。
 歯を磨き終わったら顔を洗い、ひげをそり、化粧水と乳液をつける。
 化粧水と乳液をつけはじめたのは20代になってからで、はじめはCMに踊らされてつけてみた。女性のようで気が引けたけれど、今となっては習慣になってしまい、かえってつけないほうがそわそわする。

 さっぱりしたところでコーヒーができる。
 伸二はコーヒーをとぽとぽとカップに注ぐと、それを持ってベランダへ出る。
 朝日を浴びながらのコーヒーは格別なのだ。

 心行くまでコーヒーを味わい朝の陽の光で体をあたためたら、カーテンを開けて軽く体操と筋トレをする。
 じゅうぶんに体をほぐしたらシャワーを浴び、髪を乾かす。

 だんだんと体が起きてきたら、胃に物を入れ体内から目覚めさせる。
 伸二の朝食は決まってトーストとマーガリンと牛乳だ。

 全身に熱が行きわたったところで昨夜アイロンをかけておいたシャツに袖を通す。
 洗面所の鏡の前に立って、髪の毛にワックスをつける。
 よし、今日も決まっている。
 ここで伸二は決まって、鏡の中の自分に笑いかける。
 今日も一日頑張るぞ、と。

 スマホを取り出し時間を確認、まだ余地があればスマホでニュースを確認したりする。

 6時。
 最後に伸二は靴を履き、全身鏡の前に立つ。
 よし、今日もいける。

 伸二の新たな一日がはじまる。


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