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現代語メール句会 6月 最終回 結果


現代語メール句会と題して、
メールによる句会を開催しています。

今回は7名のみなさんに全35句をお寄せいただきました。

以下その結果発表です。




現代語メール句会
2021年 6月

ご参加のみなさんの選と講評です
選句到着順


《 悠凜さん選 》

◎ 特選句 ◎

夏の星いのち巡ってまばたきよ
笹塚心琴

この季節、星、巡る、と来ると、お盆や天の川が浮かびます。

『星』と『命』の巡るさま、『まばたき』と『またたき』が、同じ間隔でリンクする感覚もあり、夏の夜空を見上げた時のことを思い出します。

早く、またあの光景を眺められる日が来るといい……そう願いながら、選ばせて戴きました。

◯ 入選句 ◯

うたた寝に風鈴の音のしあわせよ
吉田翠

軽やかに人生ままよ夏雲よ
晴田そわか

夏祭り千年の世のかけ声よ
吉田翠

若竹や 曲がるを知らぬ その青さ
あたみん



《 with HAIKU_潤之介さん選 》

◎ 特選句 ◎

湯けむりにタオル一本夏の空
吉田翠

清々しく、その情景が思い浮かびました。

◯ 入選句 ◯

入道にひと呟きかガマガエル
吉田翠

笹舟に託す吾子の灯ほたるとぶ
笹塚心琴

打ち水の先にきらめくネイルかな
悠凜

公園に休符遊ぶか夏祭り
笹塚心琴



《 晴田そわかさん選 》

◎ 特選句 ◎

うそひとつふたつみっつと蟻地獄
草笛

嘘を重ねるごとに、抜け出せない蟻地獄に嵌まっていくという情景を見事に言い表している句だと思います。

ひとつふたつみっつという言い回しで、じわじわと堕ちていく人間の様子と蟻地獄が重なりました。

◯ 入選句 ◯

湯けむりにタオル一本夏の空
吉田翠

若竹や 曲がるを知らぬ その青さ
あたみん

形代よ担っておくれ友の荷を
悠凜

入道にひと呟きかガマガエル
吉田翠



《 吉田翠さん選 》

◎ 特選句 ◎

形代よ担っておくれ友の荷を
悠凜

夏という季節の中で、煌めきと対になる情景。

この国の豊かな水は、どれほどの祈りを受け入れてくれたのだろうかと、しみじみ感じさせる句だと思いました。

◯ 入選句 ◯

金魚玉梳かれる髪のきらめきよ 
笹塚心琴

手水舎のみずへ隈なく若楓
晴田そわか

不可逆か月を睨んでアゲハ蝶
笹塚心琴

公園に休符遊ぶか夏祭り
笹塚心琴



《 笹塚心琴さん選 》

◎ 特選句 

軽やかに人生ままよ夏雲よ
晴田そわか

夏の空にぽっかりと浮かぶ雲。ああ、私の歩みもそうありたいなあとしみじみ感じた一句です。なるようになる、軽やかに歌うように生きていけたら。そんなことを考えました。

◯ 入選句 ◯

雲海を掴みにゆくか富士道者
吉田翠

はるばるとまたちかぢかと蛍とぶ
草笛

夏祭り千年の世のかけ声よ
吉田翠

うそひとつふたつみっつと蟻地獄
草笛



《 あたみんさん選 》

◎ 特選句 ◎

打ち水の先にきらめくネイルかな
悠凜

うち水とネイルに共通する「潤い」の描写が心情としても上手く掛け合わせられて、よく伝わってきました。爽やかな気持ちにさせてくれるとても夏らしい一句だと思いました。

◯ 入選句 ◯

雲海を掴みにゆくか富士道者
吉田翠

五月雨の中を駆け抜け野良の猫
with_HAIKU 潤之介

金魚玉梳かれる髪のきらめきよ
笹塚心琴

うそひとつふたつみっつと蟻地獄
草笛



《 Kusabue選 》

◎ 特選句 ◎

夏祭り千年の世のかけ声よ
吉田翠

千年ほどものあいだ、代々とりおこなわれてきた祭り。かけ声がいきいきと軽く、またはるばると重く、読む人の心に響いてくるのではないかと思います。「夏」の語の選択も的確で、奥行きのある勢いを感じる作品だと感じました。

◯ 入選句 ◯

どんどんと 言えればいいのに 遠花火
あたみん

形代よ担っておくれ友の荷を
悠凜

祖父の影残して裸地よ旱星
晴田そわか

贈り酒家で楽しむ父の日ぞ
悠凜



【得点票】

◯ 3点句 ◯

夏祭り千年の世のかけ声よ
吉田翠

形代よ担っておくれ友の荷を
悠凜

うそひとつふたつみっつと蟻地獄
草笛


◯ 2点句 ◯

軽やかに人生ままよ夏雲よ
晴田そわか

若竹や 曲がるを知らぬ その青さ
あたみん

湯けむりにタオル一本夏の空
吉田翠

笹舟に託す吾子の灯ほたるとぶ
笹塚心琴

打ち水の先にきらめくネイルかな
悠凜

公園に休符遊ぶか夏祭り
笹塚心琴

金魚玉梳かれる髪のきらめきよ 
笹塚心琴

雲海を掴みにゆくか富士道者
吉田翠


◯ 1点句 ◯

夏の星いのち巡ってまばたきよ
笹塚心琴

うたた寝に風鈴の音のしあわせよ
吉田翠

入道にひと呟きかガマガエル
吉田翠

手水舎のみずへ隈なく若楓
晴田そわか

不可逆か月を睨んでアゲハ蝶
笹塚心琴

五月雨の中を駆け抜け野良の猫
with_HAIKU 潤之介

どんどんと 言えればいいのに 遠花火
あたみん

祖父の影残して裸地よ旱星
晴田そわか

贈り酒家で楽しむ父の日ぞ
悠凜

はるばるとまたちかぢかと蛍とぶ
草笛

敬称略
失礼いたします




【ご投句いただいたみなさんの全作品です】

◇句会 ご投稿順◇

○ with_HAIKU 潤之介さんの作品 ○

水無月に入りて初めて飲む珈琲

梔子にお帰りなさいと包まれる

一年と一月ぶりのサウナ汗

五月雨の中を駆け抜け野良の猫

商談の弾むや梅雨の決算期



○ 吉田翠さんの作品 ○

入道にひと呟きかガマガエル

うたた寝に風鈴の音のしあわせよ

夏祭り千年の世のかけ声よ

湯けむりにタオル一本夏の空

雲海を掴みにゆくか富士道者



○ 晴田そわかさんの作品 ○

手水舎のみずへ隈なく若楓

五月闇老犬皿をカチカチカチ

軽やかに人生ままよ夏雲よ

祖父の影残して裸地よ旱星

何色に染まっても良し七変化



○ 笹塚心琴さんの作品 ○

金魚玉梳かれる髪のきらめきよ

公園に休符遊ぶか夏祭り

夏の星いのち巡ってまばたきよ

不可逆か月を睨んでアゲハ蝶

笹舟に託す吾子の灯ほたるとぶ



○ あたみんさんの作品 ○

ホバリング 初夏の木陰に 私と君と

悩む程 夏夜は長し 蚊帳の中

どんどんと 言えればいいのに 遠花火

若竹や 曲がるを知らぬ その青さ

旅先の 朝へと誘う 時鳥



◯ 悠凜さんの作品 ◯

贈り酒家で楽しむ父の日ぞ

吹くほどに難しさ増し草の笛

甘酒やその滋味にこそ酔いしれる

形代よ担っておくれ友の荷を

打ち水の先にきらめくネイルかな



◯ Kusabueの作品 ◯

火の歴史山河の歴史キャンプの夜

ほととぎすまたほととぎす湧ヶ淵

うそひとつふたつみっつと蟻地獄

さまざまな声すれ違うボート湖よ

はるばるとまたちかぢかと蛍とぶ


みなさま、ご投句・ご参加
ありがとうごさいました




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