アイナ・ジ・エンドがカッコいい件

巷ではアイドルが人気らしい。

テレビの歌番組では普通の歌手を押しのけるぐらいアイドルが出てるし、バラエティ番組でもよく見る。そんな時世で、僕はアイドルに殆ど興味を持たずに生きてきた。いや別に嫌いでもないけど、ハマったことは無かった。

そんな僕が今、あるアイドルに興味津々になっている。

発端は、今年のお正月休みにウェブで見られる動画を延々と見続けていたとき。アイドル事務所「WACK」のライブ映像を見た。

WACKの看板アイドルが「BiSH」だということは知っていたので、とりあえずBiSHに注目してみた。

BiSHのパートが始まると、ライブは急激に盛り上がりを見せた。BiSHメンバーは煽りが上手く、エモーショナルで、場慣れもしている。すごい。

そうしてるうちに、徐々に僕は画面に釘付けになっていった。というのも歌の実力が群を抜いている人が度々、画面に現れては消えていくのだ。何だこの人……?と、画面上にその姿を追った。

彼女は他のメンバーと比較にならないぐらい歌が上手い。酷だけど、差は歴然だ。そして、ともかくカッコいい。独特な声、歌いながらの振り、声量と乱れないリズムキープ。激しい気迫に、ほんの少しの繊細さを忍ばせる雰囲気。声の強さに相反する身体の線の細さ。そういったものが総体として、ハンパないカッコよさを形成している。

なんなんだこの人、アイドルなのか?

そう、彼女こそ、BiSHのメインボーカルとして君臨するアイナ・ジ・エンドだった。

ライブを見終わった後、気がつけばYouTubeなどで「アイナ・ジ・エンド」と検索し情報収集を開始していた。どうやら、アイナはここ1年ぐらいで急激に歌の力をつけている(と僕は感じる)。ソロデビューもしており、最近ではジェニーハイの1shアルバムで客演もしている(ちなみにそのアルバムでのfeaturingはアイナだけだ。注目度が高い。)自身で作詞作曲もしていて、さらにはBiSHの振り付け担当でもあるらしい。すごい。多彩だ。

さて、本題はここから。長い前置きですみません。

アイナ・ジ・エンドは歌えばカッコよくて、さらに今後を期待されてるらしいと分かった。そこで僕は率直に「ソロが見たい」と思った。ところが、しばらくしてYouTubeである動画を見てその心境が変化する。ソロよりグループの方が面白いんじゃないか、と。

その動画とは、BiSHのメンバーが2020年の抱負を語るインタビュー番組の一幕だ。インタビューの一番手だったアイナは、おおむね以下の様なコメントをした。「目が猫みたいにキッとしているので、人に優しくして、たれ目になりたいです」と。

僕は驚愕した。こいつ……歌が上手くて、カッコよくて、表現性の高さも見せておきながら、さらに、こういうちょうど良い湯加減の可愛さも出すのか……ずるいぞ。

アイナが単体でメディアで注目されてることも含めて、このような動きは他のBiSHのメンバーに不満を抱かせてもおかしくはない。アイナ、欲しがり過ぎだ。グループはみんなで1つ。とりわけ全員でいる時は全体を見つつ自分色を出す、みたいな姿勢も大事ではないか。別にコメント自体が悪いという訳ではない。ただ、あまりにも自我を率直に出している。

インタビューの順番の最後で、リーダー格のセントチヒロ・チッチが「個性的なメンバーをまとめられるよう頑張ります」みたいなことを言っていた。本当に頑張っているのだろう。

この様子を見る限り、おそらくBiSHはメンバーの自意識がぶつかるグループなのではないかと思う。ロックバンドのメンバー間対立みたいに。自意識のぶつかり合いは摩擦となり、火花が散りつつも、自己と他者との差異を際立たせる。その際の熱が音楽を激しくする。

そういう摩擦熱の中で、アイドルが自意識を高めていく過程って面白いのかも、と思った。それは単なる「女子の戦い」的な対立ではなく、音楽や表現の切磋琢磨も伴うものだ。中でも図抜けた才気のあるアイナがそういう摩擦の中で今後、どういう自意識を持って個性を発揮するのか。

こうしてみるとソロ活動よりも、グループの活動のが面白いのかもしれない、と思うに至った。とはいえ、もともとアイドルをよく見ている人は「今さらかよ」という面白味なのかもしれないが……。

長々と書きましたが、一言でいうと、アイナ・ジ・エンド超カッコいい、これからも気になる、ということです。もっとカッコよくなるとしたら、と思うと今から身震いしています。しばらくはBiSHから目が離せません。

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