見出し画像

私にとって母親とは

今日、母方の2番目の伯母さんと母が電話で喧嘩をしていて、何事かと後から私が電話をかけた。

どうやら、一時期私の母親代わりをしてくれていた伯母さんの認知症が始まっているかもしれないとのことだった。
電話で話す限りはしっかりしていたが、実際に2番目の伯母さんが自宅を見にいったところ、トイレが汚い、部屋が汚い、風呂も毎日入っていない状態だとわかり、職業柄これはまずい状況だとすぐに理解をした。

伯母さんは独身でずっと公務員でバリバリ働いていた人間だった。美人で優しくて頭も良くて。岸和田高校というあの地区では一番頭の良い高校で首席だった。本当は京都大学か大阪大学に行きたかったんだが、家庭の事情や下に妹が二人いるから早く働かないとって事で気を遣って高卒で公務員になった。

私が母親から虐待されていた時もしばらく、伯母さんとおばあちゃんが岸和田で預かってくれて、養子縁組までしてくれようとした人だ。(せつこに全力拒否されて暴れたため東京に戻されることにはなってしまった…)それからも度々、私のことを気にかけてくれて公務員に受かったときも、結婚した時も、娘を生んだ時も凄く喜んでくれて、たくさんお祝いをしてくれた。

2番目の伯母さんに現在、私は母親の介護、妊婦、子持ち、フルタイムで仕事をしているから無理をしなくて良いと言われたが、私にとっては実母よりも自分を助けてくれた人で、自分に愛情を注いでくれた恩人であるから…。

一度大阪に様子を見に行こうとは思ってるし、前よりも伯母さんの事を気にかけようと思った。

母親に言いにくいことを何度も怒ってくれた。
草ちゃんのことを考えろ、草ちゃんが傷つくことを言うな。草ちゃんのことを否定するな。って自分のことのように泣きながら怒ってくれた。

母から「あんたは結婚しなくて、子どもがいないから指図する資格ない」ってひどい言葉を言われても、「私が傷つくことを言われても構わないけど、草ちゃんを傷つけるのは許さない」って言いかえしてくれた。

私にとって「母親」だと思うのは伯母だし
私の人格を作ってくれたのも伯母だと思う。
子育てをしたか、してないかとかではなく、私にとって自分の成長や実績を誰よりも喜んでくれて、誰よりも頑張ってる姿を評価してくれて、自分が辛くて悲しいときは誰よりも時間を割いて私と向き合ってくれた。私のことを「姪」ではなく「大切な娘」だと思ってるよって言ってくれた。

伯母さん自身も辛い人生だったと思う。
戦時中は妊娠している祖母を気遣いながら、防空壕に避難をしたり、家の用事も頑張っていた。父親からの虐待を耐えていたり、DVを受けていた祖母を庇って殴られた古傷もある。
頭がよくてしっかりしていた。法律に興味があり京都大学、大阪大学の法学部を志そうと思ったけど家庭のことに気を使って高卒で公務員に。
美人だから男性にはモテていたけど、責任感から仕事を優先してきた。そして手のかかる妹をなんとか改善しようと頑張ったけど、嫌われて暴言を吐かれた。そして、妹が姪を虐待するもんだから、引き取ってしばらく祖母と姪と暮らしながら仕事も頑張って。祖母が認知症になったら、祖母の介護を一人で頑張りながら仕事もして。
妹の夫が自殺し、かつ介護でうつ病になってしまったり。祖母が亡くなり、やっと仕事に専念して、再任用でも働いて。退職後に自分の時間を楽しく謳歌していたら、今度はコロナ禍になり…

本当にすごい人だったと思うし、尊敬してるけど、私の家族や私のことで苦労をかけてしまったのは申し訳ないと思ってる。コロナ禍でずっと会えなかったから、会いたいと思ってた時にこういう事実が発覚した。

こういう時、「実際の親か」ってよりも、「自分が辛い時に助けてくれた人」って、助けたいと思うかそうじゃないかで行動が変わると思った。

伯母さんは苦労した分、最後は穏やかに笑っていて欲しい。お世話になった私が「母親」だと思ってる人だから。