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本当の「健康」って何?

日本の医療制度は1961年に施行された国民皆保険がもととなるため、国民の病気を予防し、医療費を削減するメリットは、政府の側には存在しても、民間企業のビジネスチャンスには直結しない。このため日本にはDMがアメリカのようには浸透しない。
日本では保険に入っていれば、保険の種類がどれであっても医療費は自己負担率3割で変わらない。
このため、日本では予防医療は軽視されている。

ただ近年では、国の医療費財政が悪化しており、公的保険の適用範囲を見直す動きも始まっている。例えば加入者の命に関わるような病気には保険の限度額いっぱい適応し、通常の風邪やちょっとした怪我くらいなら保険適用時の自己負担を5割まで下げるといった内容も近い将来に実現するかもしれない。

予防医療のインセンティブが高まることが想定される。病気が見つかってから、これまでの人生を反省する意味はなく、予防医療の最大の意義は、今後の長期の健康戦略を見直すことである。では、長期的な健康戦略とは何か?

1.やはり運動は重要

運動はゆるく、ちんたらやる。過度な運動で体をすり減らさず、継続してやることが重要。
肘や膝、足首などの「運動器」は、骨の関節面の方軟骨を確立にすり減らす。肺などの呼吸器、心臓に代表される「循環器」も同様に運動により消耗する。特に心臓は、酸素需要に応じようと血流を増やし、循環ペースを早めるうちに「スポーツ心臓」と呼ばれる肥大化、拡大化した心臓になってしまう。
また、上記とは別に日頃から筋トレなどで筋肉をつけておくことが重要。筋肉が衰える「サルコペニア」が老後の質に影響する。
高齢者が自転車から落ちる、階段を踏み外すなどの事故で足の骨を折り、1ヶ月程度ベッドの上での生活を強いられて筋肉量が急激に落ちてしまい、骨折が治った後も起き上がれなくなった、というパターンがかなり頻繁に見られる。
直接の原因はもちろん骨折だが、事故が起きた時点の高齢者自身の筋肉量がベッドで過ごした1ヵ月ほどの期間で歩けなくなるほどにに少なくなっていたということが隠れた大きな原因である。

2.やせる or 太る?

厚生労働省がメタボ検診実施しているのは、メタボリックシンドローム該当者・予備群の人が高血圧や糖尿病などの生活習慣病発症リスクが通常よりも高いからである。生活習慣病は、ある日突然発症するのではなく、体重の増加、血糖値や血圧の異常等のわずかな変化から静かに進行し、気がついたら狭心症や心筋梗塞などに羅患し、後戻りのできない状態になってしまうことである。
50代までは「サルコペニア肥満」を防止するため、内臓脂肪が適正な値になるように維持するよう心がける。60代は体重維持、筋肉を落とさないように心がける。

3.歯を守る

新型コロナ渦で自粛期間中に家に閉じこもる生活をした人は改めて実感したかもしれないが、食事は自宅で大半の時間を過ごす生活にリズムをもたらす重要なイベントである。
ここで、食べるための身体機能を喪失してしまうことは、寝たきりと同じくらいの身体的・精神的なリスクになる。
厚労省と日本歯科医師会が推進する「8020運動」にあるように、80歳まで20本以上の歯を持つことを当面の目標としてお口のケアをすべきである。歯周病の管理はとても重要で、ケアが不十分だと、肺炎、気管支炎、腸炎のリスクがある。
歯の健康を維持するには、定期的な検診と毎日の歯磨き等のセルフケアが重要である。
セルフケアでは、デンタルミラーやプラークチェッカーで磨き残しをモニタリングし、電動歯ブラシで歯磨きの癖を知る。デンタルフロスと歯間ブラシ、ワンタフトブラシを適切に使い分ける。お口のケアは継続しておこなう必要がある。面倒くさいが覚悟を決めてやる。今後便利なデンタルツールやアプリの開発が期待されるが、当面はケアは自分でやるしかない。

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