シェア
(3,023文字) 眩しくて目を覚したら、燦々と降り注ぐ陽のもと、バス停のベンチで寝ていた…
(2,753文字) 妻が庭の芝に散水している。その傍らを三歳になる娘が走り回る。白いワンピ…
(3,714文字) 5 金沢街道を歩いて、鶴岡八幡宮に向かう。 明子は岡村の腕を取って歩く…
(4,156文字) 1 岡村にとって、この年の忘年会はあまり気乗りがしないものだった。ここ…
(4.698文字) おーい。お銚子の首を摘まんで掲げたところで、妻と目が合った。まだ寒さが…
(2,747文字) 「ねぇ、あの萌葱色のスカートの人、誰かに似てない?」 土曜日の午後、妻に…
(3,188文字) 「あのぅ、もし」 昼下がり。通りすがりに声を掛けられた気がした。立ち止まって振り返ると、初老の婦人が佇んでいる。見覚えは無い。 気のせいか。 立ち去ろうとする私を、婦人が今一度呼び止める。自分を指さして確認すると、小さく頷く。 「何か?」 「あの、見ず知らずの人に失礼とは存じましたが……」 「はいっ?」 「……今の曲名を教えて頂きたくて」 「曲名、ですか?」 「先ほど口ずさんでいらっしゃった……」 あーあっ。またやってしまった。 頭を掻きな