冬のダイヤモンド
何も言わずに右手をとって
仏頂面で黙り込むあなた
人工的なネオンの針が
うなじの隙間にちくちく刺さる
青のリゲルに橙のポルックス
黄白色のプロキオン
はじめて話した冬の日に
指差し教えてくれた名前
他には何もいらないと
思い込ませて飛び立った
さみしい心を見下ろせば
瞬く冬のダイヤモンド
ビルを彩るLEDの礫が
まぶたの裏にころころ詰まる
送っていくよとわざわざ言って
くちびるの端で笑ったあなた
白のシリウスに黄色のカペラ
オレンジ色のアルデバラン
おわりを告げた冬の日も
変わらず廻り続けた名前
他には何もいらないと
想いを堪えて落ちてきた
つめたい空を見上げれば
瞬く涙のダイヤモンド
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