無垢な地球儀

黒い箱に真っ赤なリボンをかけて
箱を開けたら真っ赤なバラの中にエドワードゴーリーの「おぞましい二人」が入っている。

「君はきっと、僕とおんなじだ」

彼が発する狂気に私は身震いしたけど、同時に激しく欲情した。

悪人は独りでいいの。

そう言ってその美しい絵本を箱ごと突き返した。そばにあった地球儀にそっと触れる。この店にしてみればかなり浮いて見える安物だけど、あたしはきっとこんな感じだ。
分かる人にはわかってしまう。ここにいてはいけないことが。
彼はそっとウイスキーに口を近づけていた。
横目でちらりとその憂いた表情を覗いた

人は首を絞められてはじめてちゃんと生きれるのだ。

それをそのままの意味に捉えてしまう人なんてつまらないな。

帰る家に灯りがともっている人にはきっとわからない。
彼と私は繋がれない。

「どうして、簡単に手に入るものに人は執着しないんだろう」

夜の終わりがみえない。

明日の朝をどう過ごすのか、今の私にはわからない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?