なぜ、あなたの言うことは伝わらないのか? ~だれも聞いてくれない原因は〇〇だ!!~

あなたの話は誰も聞かない?

 皆さんはこういった悩みを持ったことないですか?
 例えば職場で仕事をしていて

「何でこの人、自分の言うこと分かってくれないんだろう?」

と思ったこと。
 私は、たくさんありました。どうして、これが伝わらないんだろう、なんでこれが必要だといったのに分かってくれないんだろう。これやってくださいと言ってるのに何でやってくれないんだろう、どうして皆に伝わらないんだろう……そうやって憤っていたときがありました。
 これは誰しも思っていることだと思います。仕事だけでなく、プライベートでも。
 分かってくれないということは、つらいものです。あの感覚は、あまり味わいたいものではないと思いますが、ではなぜ人は自分の話を聞いてくれないのでしょう?
 これ、きちんと答えられる人いるでしょうか。

孤独への道


 これは、私が集中治療室から精神科に仕事場を変えたときの話です。
 集中治療室は、言うまでもなく、厳密な薬の管理と患者の状態・全身管理をしながら患者さんの命を救う、病院の中で一番重症な方が集まる場所です。どんな人も受け入れなければいけない状況だったので、そこでは一つのミスが本当に命につながるのです。患者さんが死んでしまうかもしれないと、どきどきしながら手を汗でにじませながら仕事をしたことは何度もあります。
 そんな場所から精神科に移ったとき──精神科というのは、心に病を持つ人です。これはやはり、本人はすごくつらいのですが、全部ではないにしても命に危険がないこととか、体に病気がない場合が多いです。もちろん、心の病から命をなくす方だったり、薬の副作用で命の危機に瀕する方はたくさんいますけれども、多くの場合は、今すぐ何かをしないと死んでしまうという人はいないのです。
 そういったところに行ったときの話です。
 私は精神科の病棟に配属になり、色々なオリエンテーションを受けました。私は昔から精神科に興味があり、ずっと精神科でやっていきたいと思っていたので、とても期待をしながら精神科に来ました。ただ、期待をしていた分、肩に力がすごく入っていました。

 ──すぐにでも精神科の仕事を覚えて即戦力として頑張らないといけない。周りも、ICUから来たのだから、何でもできるでしょ!といった雰囲気でした。精神科の患者さんを見たことがないにもかかわらず、そういった雰囲気のなかで仕事を始めるのです。

 最初から目につくことがたくさんあります。
 薬の副作用で動けなくなってしまう患者さんがたまにいるのですが、そういった方は、動けないからもちろんご飯も食べられなかったり、唾が肺に垂れ込んで肺炎を起こしてしまったりということが多いのです。
 そういうふうに動けなくなった人を普通はどうやって管理するかというと、上半身を上げるんです。ベッドアップといいますが、上半身を起こしてあげて、管理することが多いです。そうすると、唾液の垂れ込みの量が減ったりとか、肺が重力で潰されずに肺の状態を良く保ったりしてより肺炎を防げるという、そういうケアの方法があるのですが。
 ……精神科ではベタ寝かせでした。まっすぐ、普通の人が寝るみたいに寝ていました。私はそれを見て、こう言います。

「何で肺炎の人を寝かせているのですか?」

 そうすると、私の指導についていた主任さんは上司だったのですが

 「あっ、そうよね。きちんと身体を起こさないと駄目よね」
 「ほんとそうですよ。これでどんどん肺炎悪化して言ったら治らないですからね」

と言うわけです。
 例えば他にも、クリニカルパスというのがあるのですが、手順通りにやっていくと、最低限の看護が提供できて、皆高いレベルで看護ができるといった表のようなものがあったりするのですが、そのクリニカルパスには、私が教わった事と違うことが書いてあるのです。
 普通はそういうことはあり得ません。クリニカルパス通りにやればいいのに、それに書かれていないこととか、違うことが正解というのはあってはならないことなのです。ですから私は言いました。

「クリニカルパスにこれはこう書かれていますけど、どうしてこうやらなきゃいけないんですか?」

 そう言うと、

「そうした方がみんな楽じゃない?」
「そうしたらクリニカルパスは意味ないじゃないですか」
「でもそれ変えるの結構大変なんだよね~。こっちの方が楽だから、これでやってくれないかな?」
 
そこで私は「ん?」と思うわけです。なぜこの人はクリニカルパス通りにやらないで、しかも全員に周知しないでやろうとしているんだろう……などと思いながら悶々とするわけです。

「そしたらクリニカルパスを変えるべきですよね?どうして変えないんですか?」

 と来たばかりの私が言うのです。それで他にも、目につくことをたくさん言うわけです。これは?これは?これは……?

 私は許せなかったんです。ICUで働いていて、一個のミスが命取りになる状況で、パスの小さな項目でさえ私の中では業務を阻害する要因でした。皆が同じことをばっと何も考えずにできる状況でないと、何があったときに対応が遅れるから。それだけ日々効率とか、クオリティを求めて仕事をしていた分、「何となく」とか、「楽だから」とか、そういったことで色々変えてしまっているその状況が、私には許せなかった。
 あるとき、自宅で呼吸器管理をしていた方が入ってきたことがありました。もちろん私は、集中治療室で呼吸器を散々見てきています。散々見てきているので、そこの病棟のだれよりも呼吸器に関して知識がありました。私は呼吸療法認定士の資格認定も持っているので、呼吸のことなら聞いてくれ、むしろ得意分野だと思っていました。呼吸器をみたことがない後輩がたくさんいるのです。ほとんどの人は精神科にしかいないので、見たことがない。そして呼吸器のことを聞いてくるんです……
 
 私にではなく、他の先輩に。

前提の違い


「○○先輩~! 呼吸器見たことないんですよ」
「そうなんだね。私も前の病棟でちょっと見ただけだから一緒に調べてやろっか」
「はい!」

そんなやり取りが隣で行われていて。
それを横目でみている私の反対側では、呼吸ケアについて、こういうケアはどうなんだろうという話を横でしているのです。これはこうなんじゃないかな、という議論をしています。
 どっちのことも、私はこうすればいいという答えを持っているのです。
 ──持っているのですが、誰も私の方に聞いてこない! それはそうでしょう。来たばかりで自分がいる病棟に文句を垂れている奴に、どうして聞かないといけないのか。普通は聞きたくなると思いま……せん!
 私でもきっと聞かないと思います。来てずっとずっと文句を言って指摘ばっかりして……、普通に考えてそんな人の言うことは聞きたくなりません。それは私が精神科に行ったときの大失敗の一つです。
 そうなってくると、私の言っていることは皆に伝わらないし、やってくれないし、誰も私には相談してくれないし……
 私はだんだん孤独になっていきます。だから仕事から帰ると家で愚痴ります。

「何なんだよ皆……きちんと身体管理もできねぇし、勉強しようともしないし、俺の話も聞かねぇし、何なんだよ……」

とブツブツ言って。
 そしてそれを毎日聞かされるうちの家族も嫌だったのでしょう、まぁまぁ、とか言いながらなだめられるわけですが、この状況をどうにかしないとと私は思っているのです。でも、どうにもできない……どうしたらいい?そうやってこぼしたときのことです。うちの妻がこう言ってくれました。

「ねぇ……、あなたが気にしてるそれって、本当に気にしなきゃいけないこと?」

と。うちの妻は同じ看護師なので、ある程度医療知識も持っています。それでそう言ってくるのです。私はとっさに言い返します。

「いや、気にしなきゃダメでしょ!それやった方が絶対正しいんだもん。肺に関しても、クリニカルパスに関しても。俺なんか間違ったこと言ってる?」

と言うと、妻がもう一度言います。ゆっくり。

「じゃあさ、考えてみて。それをやらなかったら、患者さん死んじゃうの?」

……私は何も言えませんでした。今までは何かミスをすると患者さんは死んでしまっていたのです。ミスしたら死ぬ。イコールだったのです。でも、精神科では、ミスと言ったら変な話ですが、ちょっとくらい、例えばクリニカルパスで書かれていることと、やっていることが違ってまごついても誰も困らないのです。
 肺ケアも、誰かやっていない人がいたら「しっかり肺ケアしようね」と一言、言ってあげればいいはずだったのです。それで間に合う方だったのです。薬の副作用というのは薬が抜けてきたらだんだんなくなっていって、動ける方になるのです。だから死ぬか死なないかで言えば、私が言っていたことを何もやらなくても、死なないのです。
 今までそれでずっと精神科のナースたちはやってきたわけで、何ら問題はなかったのです。

──私の中で何かがふっと落ちました。腑に落ちたのです。あぁ、そういうことか。

 実はずっと上司に言われてきたのです。「精神科って、グレーだからね。黒でも白でもないよ。グレーが大事なんだ」と。全然ピンと来ていなかったのですが、

「あぁ、こういうことか」と思いました。

 どういうことかというと、例えば患者さんに薬を飲ませるということは看護師の大事な仕事なのですが、精神科においてはその薬がその患者さんにとって必要なものだったとしても、薬を無理やり飲ませることがいいことではないときもあります。なぜかというと、例えば患者さんが薬に対して、ひどい恐怖心を持っています。
 それでそのときに無理やり飲ませた――例えば――この薬は絶対必要なので絶対に飲んでくださいとひどく強い言い方をして、無理やり飲んでもらったとします。そうすると患者さんは私たちに不信感しか抱かないわけです。不信感を抱かせることで、より薬を飲みたくなくなるし、医療者に対しての不信感が増していくので信頼関係というのは全く築けないのです。そうするとどんどん患者さんは薬が飲めない人になっていく。
 でも、飲ませるのが絶対に正しい。ですが、精神科では、飲まさないことが正解になるときもあったのです。それがグレーが大事ということなのだと思いました。
 きっと私が見ていた側面というのは、身体と命だけだったのです。でも、きっと他の精神科のナースが見ていたことは、違うところだった。本当にやるべきところはやって、やらない方がいいことはやらないで……そう、やらない方がいいこともあったのです。私の価値観にはなかったことだったのですが、そういうことに気づいたのです。

私がそれからやったこと


 その時から私は指摘することを止めました。
 何か目についても一回立ち止まって、

「これを今言わなくても、やらなくても患者さんに不利益は起こらないよな、じゃあ言うのは止めよう」

 というふうに待つことにしました。誰かが気付くとか、誰かに聞かれてアドバイスするタイミングを待つことにしたのです。それから私は何か目についても、何か違うだろうと思ったことに対しても、ひとまずぐっと相手の話を聞くようにしました。
 相手がどう思っていてこれをやっているのか、この病棟が何をもってこれをやっているのかというのを聞くようにしました。すると新しい発見がたくさんありました。

「あっ、そういう側面で看護をしているんだ!」

 ということにどんどん気付くようになりました。私は今までずっと肩肘を張って、自分の正しさを押し付けていたのです。でも、それはその場所では正しくなかった──。そうやって過ごしていて、新しい発見に日々学びを深めていたさなか、だんだん私に聞いてくる人が増えたのです。色々なことについて、身体のことについて。

「くるまじさん、○○ってどういうことなんですかね?先生が言ってたけどよくわからなくて……」

とか

「くるまじさん、呼吸器のこの設定って、こういうことですか?」

 とか、聞いてくれるようになりました。聞いてくれたことに対して、私は丁寧に教えました。それからだんだん私は、精神科という看護も少しずつ学び、わかってきて、逆に自分の持ってる体のこととか、集中医療のリソースを皆に分け与えることができました。皆に与えることができてきたのです。皆の話を聞くことで私はようやく初めて自分の話を聞いてもらえるようになったのです。

本当に大事だったこと


 ──これは何が大事かというと、話を聞いてもらうためには、相手の話をまず聞きましょうということです。
 変に聞こえるかもしれませんが、人というのは正しさで動くわけではないのです。正しいと思っていても、誰に言われるかで、変わります。皆さんも例えば学校の先生から正しいことを言われて、その通りに

「正しいなぁ、やろう!」

 と思った人はいますか?そんな人はいませんよね。全く同じことを言っている人でも、例えば嫌いな先生、いやな先生に

「おい、○○しろよ、なんでやんねぇんだよ!」

 と言われても、やりたくならないでしょう。

「はぁ?うるせーよ○○!」

 というふうになりますよね。逆にとても信頼している人に

「ねぇ、くるまじくん、あなたのその態度は良くないと思う。きちんと、こうした方がいいと思う」

 というように、尊敬している人や、自分が好きな人に言われたらどうですか?きっと聞きますよね。「そうか、俺そこがダメだったんだ」と、素直に聞けるのです。つまり、私たちが何かを聞くときに重要なのは正しさではなく、感情なのです。誰に言われたか、なのです。それに私は全然気づいていなかった。だからまず、話を聞いてもらう土台を作るためには、きちんと話を聞かないといけなかったのです。

傾聴力とは


 ──傾聴力。
 傾聴力を持って相手と接しなければ、私たちは誰にも何も伝えられないのです……ということに私はその時はじめて気づきました。
 皆さんも経験ないですか?
 誰も何も聞いてくれなくて、それでも必死になって言えば言うほど人が離れていく……という体験はないですか?
 もう一回立ち止まって考えてみてください。あなたは、相手の話をきちんと聞いていますか?最初から最後まで、相手が何を考えてそのことをやっているのか、何を考えてそのことを言っているのか。きちんと聞いていますか?

 話を聞きたくない筆頭の私達おじさんは、誰も聞きたくない自慢話を話し、価値観を押し付け、そして説教を垂れる。そんなものは誰も聞きたくないわけです。
 でも、自分の話を分かってくれて共感してくれて、本当に自分の目線に立って考えてくれる人が目の前にいたら、素直にその人の話を聞こう!と思いませんか?

 看護師をやっていて指導をしている指導者さん。
 指導者さんだったら新人さんが間違ったことをやったとき、どうしてそれをやったのか、頭ごなしに叱りつけてないですか?
 きちんと聞いてますか?

 ──きちんと聞いてあげないと、自分の言葉は相手には決して届きません。私はそれを精神科の人たちに教わりました。これは頭で分かって、何となくそうだなぁと思っても、体験しないと結構分からないことなのですが、振り返ってみてください。
 人生で必ず一回、あなたの傾聴力が試される場面があったと思います。

 きちんと、話を聞いてますか。

 きちんと話を聞いてあげると、皆に「私」の言うことがきちんと届きます。大事なのは傾聴力です。
 何かを伝えるために必要なことは、傾聴力なのです。

傾聴力を持つために意識するべきたった一つのこと

 「傾聴って、そんなの当たり前でしょ?」
 そうやって思う人多いと思いますが、心を学んで改めて考えてみると、傾聴できている人って本当に少ない。
 看護師でも、1割に届かない。
 皆さんやってないですか?

「〇〇がつらくて、こんなこと考える私って、本当にダメなやつなんです」
「そんなことないよ! Aさんはとっても頑張り屋だから大丈夫だよ!」

 これはアウトだと思っています。
 なぜかって?
 なぜなら、〇〇がつらいという気持ちや、なぜ自分をダメだと思うかをこっちの推測で決めつけて、頑張り屋だから大丈夫!と断言しているからです。
 もしかしたら、〇〇がつらいという言葉の裏には◎◎が嫌、という本心が隠されているかもしれない。
 自分をダメだって思っているのは本当は建前で反省しているフリかもしれないし、はたまたダメだと思っているポイントが話し手と聞き手で違うかもしれない。
 ちゃんと聞かないとわからないことだらけなんです。そのことに、多くの人が気づいていない。

 では、どうすればいいのか。それは、

「答えを持たずに話を聞く」

 これにつきます。
 聞き覚えのある話や自分が体験したような話でも、それでもゼロから聞くんです。
 この人は本当は何を言いたいんだろう?と自分に問いかけながら聞くんです。そしたら、きっと、相手は「聞いてくれている」「わかろうとしてくれている」と感じます。つまり、話を聞いてくれる人、になるわけですね。

 もし、あなたが傾聴できていないのなら。
 何かを聞いた時、即座に自分の中に答えを作り出しているのなら。

 もう一度、傾聴について考えてみてください。

最後に

 最後に、ポイントのまとめです
①人に話を聞いてもらうためには、正しさを持つのではなく、話を聞きたいと思ってもらえる人になる
②話を聞きたいと思ってもらえる人は、話を聞けるひと
③傾聴力とは、答えを決めずわかろうとすること

ここを抑えることができれば、あなたの話は明日から誰かに届きます。誰もが、あなたの話を聞いてくれます!

ぜひ、試してみて、あなたの気持ちや考えを周囲に伝えて、大きく変化を起こしていきましょう!!

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 看護師、小説家、カウンセラー、コーチ。
 
 看護学生時代から心に興味を持ち、看護師を続ける傍ら精神看護、認知行動療法、カウンセリングを学んでいく。
 1200人の精神疾患患者からの学び、セルフカウンセリング、コーチング理論を用いて、人間関係、仕事、そしてプロの小説家という夢をかなえていく。

 自分を好きになることが人生を作り変えること、自分を好きになった人は周囲の人間をも幸せにしていることに気付き、その方法を発信しようと考え、コーチとして活動を始める。
 
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