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ダイバーシティへの取り組み

何かを決めたり作ったりする時に、障害を持っている人に試してもらったり意見を聞いたりする動きが少しずつだが広まっています。
それは素晴らしいことです。しかし、罠もあります。

福祉について勉強をしてその場に臨んでいる方は別ですが、障害当事者ということで参画している方もいます。その場合、障害者は自分にとっての使い勝手については述べることができますが、他の障害者について語ることはできません。

車椅子ユーザーでも、自分一人で出かけられる人、少しなら立つこともできる人と、常に介助者に押してもらう人、不随意運動があり、体が車椅子の幅では収まらない人など、様々な人がいます。一人の車椅子ユーザーが使えたから、ほかの車椅子ユーザーが同じように使えるという訳でもありません。
当事者の意見を聞いた方がいいというのは間違いありませんが、意見を聞いたから間違いないという訳ではないのです。

そして、ある障害者にとっての利便性が、別の障害者にとっては障害となることもあります。

先日、新幹線のニュースを見ました。新幹線に車椅子スペースを6台分作るというものです。真ん中の通路を挟んで、左右3台ずつの縦列駐車の形でスペースがとられています。その3台分の通路には歩行者がつかまる所がありません。つまり歩行者の転倒リスクが高くなります。

もともと新幹線は独特の横揺れがあります。私も新幹線では、シートにつかまりながら歩くようにしています。車椅子1席を150cmとして、3台で450cm。横揺れの中、どこにもつかまらずに歩くには距離が長すぎると感じています。

杖歩行やバランスのとりにくい方が転倒する、その時に慌てて車椅子をつかんで一緒に転倒する、あるいは車椅子ユーザーの上に転倒した歩行者が倒れ込んでくる、これらは、やってみなくてもわかるリスクといえます。

新幹線など公共の場に車椅子スペースを作るときに本当に配慮すべきは、その他の障害者なのです。車椅子スペースを車椅子ユーザーが使えるというのは、最低レベルに過ぎません。

当事者参画は、これからも進んで欲しいと思っています。だからこそ参画した企業が、がっかりしない結果になることを望んでいます。参画しても、障害者からのクレームが減らない、あるいはかえって事故が増えるなどの残念な結果を生んでしまうと参画そのものが意味のないものとして、しぼんでしまう可能性があるからです。
そして一番いいのは、参画の立場にある障害者自身が知識を身につけプロフェッショナルとして活躍することではないかと考えています。

今週の車椅子セミナーの日程です。8月5日に車椅子セミナー①危険な使い方していませんか? を開催します。車椅子ユーザー、家族、支援者など、車椅子に興味のある方にご参加いただけます。zoomでの開催となりますので、全国どこからでもご参加いただけます。下記より事前登録をお願いいたします。登録後、ミーティング参加に関する情報の確認メールが届きます。

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