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キャンプって、不便だからこそ気づけることがたくさんある、究極の自分探し。

いよいよ、過去3回でキャンプの賢人たちに聞いた話を心に留めながら、実際に日帰りキャンプに挑戦。賢人の1人であるこいしゆうかさん(記事はコチラ)にご紹介いただいたのは「キャンプ民泊NONIWA」。都心からのアクセスも良く、キャンプ体験の講習会なども開催している、初心者におすすめのキャンプ場です。

目標は、1人ですべて準備して、コーヒーを飲みながら本を読んでまったりすること。果たして初めての日帰りキャンプ挑戦は成功したのか? しなかったのか?


いきなり絶望したけど、助けてもらったらできた

まずはキャンプ場を散策。入り口付近には「母屋」と呼ばれる建物があり、1階はリビング、2階は民泊利用者のためのゲストルームになっています。1階にはレンタル用品が並ぶスペースがあり、それらを眺めるだけで心躍ります。台所を利用することもできます。

テントサイト(テントを張れる場所)は「NIWA」と「HANARE」の2つあります。

NIWAは民家の近くにありますが、母屋から近いサイトで初心者におすすめ。水場やトイレも母屋の施設を利用できます。今回はこちらで日帰りキャンプをしました。

HANAREは木々に囲まれ、川にすぐ降りられるサイトです。母屋からちょっと坂を下った近場にあるのに、周りの建物が視界に入らないので、森の中にいるような気分になれます。

住宅街の中にあるとは思えないほど閑静な空間が広がる【HANARE】
自然の川の冷たさを感じたのはいつぶりだろう?

散策が済んだら、さっそく本日準備した物たちと対面。調理器具など細かなギアは賢人・コグレマサトさんおすすめの100均グッズ(記事はコチラ)を購入、テントとチェアはキャンプ場で借りました。今は多くのキャンプ場でレンタル品を扱っているので、いきなり全て揃える必要がなく、初心者でも安心です。


用意したものを広げボーゼンとする筆者

いざ、キャンパーとしての第一歩。まずはテント張りです。でもどうしたら良いかわからない。いきなり絶望。広げたグッズたちを見下ろしボーゼンとする様子を見かねた編集長が、「しょうがない」とテントの張り方を教えてくれました(今回は自立がテーマなので、あえてキャンプ場の方にはサポートをお願いしておらず……)。


編集長と、キャンプ歴の長いカメラマンさんも手伝ってくださった。感謝

自力では到底不可能でしたが、皆さんのおかげで人生初テント張りを達成。うれしい!

こいしさんのおっしゃっていた「自立したキャンパー」にはほど遠いけど、とりあえず今回は良しとしよう(自分に甘い)。そして、賢人・ペコさん(記事はコチラ)に教わった通り、テントを張ったらすぐに写真を撮ってもらいました。SNS映えのコツは「汚れる前に撮る」ですから。

完成したテント。立派だー! 思ったよりも広い(テントでのくつろぎ方が分からず思わず正座)


ベーコンとケチャップとチーズがあれば調味料要らないじゃん

テントが張れたので、次は料理だ! コグレさんに教えていただいたキャンプ用トースターを使ってパンを焼き、ピザトーストを作ることに(なぜならそれが一番簡単そうだったから)。でも、教わっていなかったら、パンを焼く方法すら分からなかっただろうな(コンロの直火で焼いてたかも)。

時間はかかるが、じわじわ焼けてきた(※テントの外で調理しています)

焼き上がったトーストに、ケチャップを塗って、ピーマンは手で千切って載せて(用意した100均ナイフが全く切れず。あ、これはコグレさんにおすすめされたものではないですよ)、チーズを載せて……ってこれ、チーズどうやって溶かすの? トースターに立てると具材全部落ちるし。

チーズを溶かす術がない

うーん、初心者ゆえに方法が全く思いつかない。これがベテランキャンパーなら、じゃあこうしようとかすぐにアイデアが浮かぶのだろう。自分の不甲斐ふがいなさを実感。

なので、チーズを溶かす方法を考えるのは一旦やめて、コグレさんに「簡単でおいしい」と教えていただいたアヒージョを作ってみることに。

コグレさんおすすめの万能調理器具メスティンに、スーパーで買ってきた冷凍エビ・ホタテ、ベーコンと野菜(これは家で下ごしらえしてきました!)を入れて、オリーブオイルをドバドバっと注いで、あとはコンロの火にかけるだけ……あ、塩コショウ忘れた! さすがに調味料なしはマズいだろう。

カメラマン「とりあえずベーコン全部入れてみたら? それの塩味で何とかなるかも」

カメラマンさんナイス! さすがベテランキャンパーです。

ベーコンの塩味にすべてがかかっている


しばらく煮詰めて完成。見た目はGOODです。スタッフ全員で、いざ試食!


なんか物足りないや

うーん……なにか物足りない。だけど何が足りないか私には分からない。
そんな私の気持ちを、編集担当がズバリ代弁。

編集「ニンニクが入ってないから、パンチがないし、オリーブオイルと野菜を別々に食べてるって感じ。でも塩味はベーコンでどうにかなるもんだね」

編集さん、辛辣である。でも、とりあえずアヒージョはできたことにしよう。

問題は放置したままのピザトーストです。

編集長「ピザトースト、アヒージョの中に入れちゃえば?」

なんと! その手があったか。

普段だったら絶対許されない禁断の手法。でもキャンプなら許される。これがキャンプの自由さというやつかしら。そうだそうだ、入れてしまおう!

その結果、できたのがこれ。

度重なるミスと試行錯誤の結果、生み出されたアヒージョピザトースト

うまそう!

食べてみたら、チーズとケチャップの味が渾然一体となってかなりおいしい。不自由な中で頑張ったら新しい料理を発明しちゃいました。キャンプの不便さって面白いな。

でも、より本格的な料理が食べたいならコグレさんが言っていたように「一緒にキャンプに行ってくれる料理が上手な人」を見つけると良いかも。自分で作った謎料理がこんなにおいしいんだから、上手うまい人が作ったキャンプめしは格別に違いない。

コーヒーには紙フィルターが大切なんだね

食後は、FUJI ROYALの手回し式焙煎器「くるくるカンカン」で焙煎したコーヒーを飲んでみることに。

くるくるカンカンを設置

コーヒーの生豆をくるくるカンカンの焙煎缶に投入。くるくる回すと、カラカラと豆の転がる軽やかな音が響く。ふと、万華鏡をキラキラした気持ちで回していた子どもの頃を思い出しました。


1人でひたすら回す。ふと幼少期の記憶が脳裏に……(※テントの外で焙煎しています)


途中、ポップコーンが弾けるような「パチっ」という小気味の良い音が。これ、豆が熱によってはぜる音で、焙煎が進んでいる証拠。やがて、豆が焼ける香ばしい匂いも漂ってきました。

カフェオレにしたいので深めに煎ります(牛乳もちゃんと用意してきましたよ〜)。豆から脂が滲み出るまでじっくり時間をかけて回します。

かといって焦げるので手を止めることはできません。ひたすらハンドルを回し続ける……この作業、こいしさんやペコさんが言ってた「焚き火を見ながらぼーっとして、自分と向き合う」に近い気がするな。ただひたすら豆を煎っているだけの時間って、ある意味贅沢ぜいたく。頭の中がデトックスされていく感じ。


20分以上、同じリズムで回し続けてようやく完成

2度目のハゼ音が聞こえたのを合図に、火から下ろしました。後は焙煎が進みすぎないよう、急いでウチワであおいで冷まします。

急げ急げ! 火から下ろしたら時間との勝負

完成した焙煎コーヒー豆は、ツヤツヤしてとってもきれい!

編集「それだけで食べてみな、結構イケるよ」

え、そのまま食べられるの?──ほんとだ! 苦みのあるナッツって感じで、パリパリしてて、確かにイケる! チョコかけたらずっと食べられそう!

続いて、豆をいて粉にして、コーヒーをれます。道具はコグレさんおすすめのミルとドリッパーとカップが一つになった100均グッズ(価格は100円じゃないけど)。便利な道具があるものです。


自分で淹れたコーヒー、感慨深い

……あれ? オイル感がすごくて、粉っぽい。なんで?

編集長「ステンレスフィルターだけだからかな? 紙フィルターでやり直してみよう」

用意していた紙フィルターを使ってみると、一転、口当たりのなめらかな、スッキリとした味に。紙フィルターって偉大だ! キャンプでコーヒーを淹れたからこそ気づいた発見です。あと、オイル感が強かったのは使う前に洗わなかったからかも。ものぐさはダメですね……。


キャンプ場でコーヒーを飲みながら本を読んでまったりするという目標は達成

(あとがき)


失敗ばかりだったけど、それがいろいろな経験と気づきを私に与えてくれた初めてのキャンプ。本当は1人で全部やりとげる企画なのに、見るに見かねて手伝ってくれた編集長、担当編集、カメラマンの3人、そして賢人の皆さん、ありがとうございました! 

こんなふうに、助けてくれる人たちのおかげで、私はこうして生きているのだな。今までありがとう、そしてこれからもよろしくお願いします。でもいい大人なので、もう少し自立します。

最後に、大人同士でのんびり会話して笑い合うのって、すっごく幸せで贅沢なことかもしれない。キャンプだからこそ、気持ちがオープンになるのを体感できました。キャンプの魅力が、ちょっぴり分かった気がします。

(おわり)

Supported by くるくるカンカン

クレジット

文:巖朋江
編集:いからしひろき(きいてかく合同会社
撮影:橋口健志(合同会社ピノグリ)
取材協力:キャンプ民泊NONIWA
校正:月鈴子
制作協力:富士珈機

ライター・巖朋江(いわおともえ)
東京都在住。農学博士としてイチゴの研究に従事したのち、フリーライターに転身。農業のみならず、民間企業で営業・組織改革を担っていた経験を生かし、幅広いジャンルの記事作成に携わっている。


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