【取材】コロナ禍で世界一周の夢を叶える理由
新型コロナウイルスにより、以前のように自由に行動できない日々が続いていますね。
自由な行動が制限されているせいで閉塞感を覚え、やりたいことを延期せざるを得ないケースも少なくないと思います。特に、海外旅行が好きな方は、海外を恋しく思っているのではないでしょうか。
そんな中、私の友人の大麻茜さんは、今年9月から新婚旅行として世界一周の旅に出ます。
今回は、コロナ禍でも世界一周を決めた理由や、出発直前の率直な気持ちをお伺いしました。
【プロフィール】
大麻茜
1993年生まれ、兵庫県出身。
都内の大学に進学し、某テーマパークで一流のホスピタリティを身につけた明るい性格の持ち主。
また、在学中には株式会社TABIPPOの学生サポーターとしてイベントの運営に携わる。
社会人5年目、現在はSP会社においてブランドの法人営業職に従事する。
趣味は、旅行、キャンプ、スポーツ全般。
▲モロッコ、サハラ砂漠での茜さん
旅直前の率直な気持ち
ーー世界一周へ、まもなく出発ですね。今はどんな気持ちですか。
出発の時期を1年延期したこともあり、とにかく楽しみです。不安なことはあまりありませんが、家族や友人に1年間会えないのは人生初なので、その点は少し寂しいです。
ーーこれまでの旅と比べて、心境の違いはありますか。
以前の旅よりもずっと心が自由です。旅の期間は1年と決めていますが、あくまでも目安ですし、行く場所もスタート地点のトルコ以外は決めていないので、気の向くままに楽しみたいと考えています。
また、自由になるために時間をかけて準備をしてきたので、責任の重みが全く違います。準備不足のせいで帰国せざるを得ない状況には陥りたくないので、貯金、各種ワクチンの接種、保険やカード選びなどは入念に行ってきました。
じっくり準備できたので、出発時期の1年延期も無駄ではなかったと思います。
▲メキシコにて
ーー学生時代から活動的に人生を楽しんでいる印象がありますが、日頃から大切にしていることはありますか。
基本的に、楽しそうだと思うことに全力を注ぎ、迷ったらワクワクする方に進むようにしてきたと思います。
社会人になってからは学生時代と比べて時間の制約があるので、本当にやりたいことを厳選するようになりました。今回の旅に向けても、これまでのフットワークの軽さを少し封印して節約を心掛けてきました。
世界一周の夢を抱いたきっかけ
ーー世界一周の旅に出たいと思ったきっかけを教えてください。
TABIPPOの活動で、バックパッカーと交流したことから大きな影響を受けました。彼らは、常識や世間体に囚われず、自分のやりたいことを大事にしている人ばかり。純粋に素敵だなと思ったのです。
私も彼らのように世界の景色を自分の目で見てみたいと思い、世界一周をいつかは叶えようと決意しました。
ーー観光を目的とした旅と比較して、バックパッカーの魅力はどのようなものですか。
バックパッカーは身軽なので、気ままに過ごせることが魅力だと思います。訪れる場所や滞在期間を厳密に決めないので、現地で仲良くなった人と存分に交流できるのが醍醐味です。
もちろん、観光中心の旅行も好きなので、それぞれ異なる良さがあると思います。
ーー旅先で出会った人で、印象的に残っている人はいますか。
キューバで出会ったタクシーの運転手さんが印象的です。
彼のバックグラウンドを聞いてみたところ、医師から運転手に転身した経歴を持っていました。医師のキャリアを手放すのは珍しいなと思ったので理由を聞いてみると、運転手の仕事の方が彼自身の性格に合っているから、とのこと。社会主義ならではの考え方に直接触れた経験でした。
その他にも、現地の人から「日本に行ってみたい」と言われたことや、日本の習慣を褒めてもらうことが多かったので、外から見た日本の良さを再発見する機会がたくさんありました。
▲モロッコにて(左から2人目)
旅を通じて希望を与えられる存在になれたら。
ーーコロナ禍のタイミングで、なぜ世界一周を決意したのでしょうか。
環境破壊が問題となっている中で、今の世界を見ておきたいと思ったのが1つ目の理由です。そのためには、体力的に余裕のある今がベストだと思っています。
2つ目の理由は、将来子どもができたときに、世界の広さを自分の言葉で語れるようになりたいと思うからです。子どもの頃は、学校のコミュニティが全てだと考えがちですよね。しかし、外の世界には素晴らしい景色や日本とは違った文化があり、価値観の異なる人がいることをきちんと伝えられたらと思います。
そして、一番大きな理由は、旅を通じて、他の人に希望を与えられる存在になりたいという気持ちが芽生えたからです。
実は、ステイホームを強いられる中で、新婚旅行での世界一周はいったん諦め、老後まで延期しようかと考えていました。しかし、もし延期したら、大好きな旅ができないこの世界を恨む人間になってしまうと感じ、自身の中で葛藤していた時期がありました。
そんなときにSNSで情報収集をしていたら、意外なことに、国によっては海外からの旅行者がいることを知りました。「コロナでも旅ができる」という事実は私にとって衝撃的で、同時に希望の光のように感じられました。
もちろん、この情勢で海外に行くことへの賛否両論があることは承知しています。でも、本気を出せば旅ができることを私自信が証明したい。コロナによって何かを諦めてしまう人に、少しでも希望を与えられる存在になれたら、と考えています。
ーー本当に大きな決断だと思いますが、ご両親からは反対されなかったのでしょうか。
反対は全くされず、むしろ1年延期したことに対して同情されました。世界一周の夢については学生時代から言い続けてきましたし、社会人になってからも十分に貯金もしてきたので、世界一周を叶える本気度を行動で示せたと自負しています。
また、両親が心配していたのは帰国後のキャリアでしたが、夫は旅をしながらも仕事を続ける予定ですし、私は営業実績を残してきたこともあって、戻ろうと思えば現職に復帰できるので、将来のキャリアに関しても不安はありません。
ーーコロナの影響で、行ける国や地域に一定の制約があると思いますが、旅の中で妥協したくないことはありますか。
現地の人や海外からの旅行者との交流です。現在旅行している人の情報によると、人と交流することは可能だそうなので、感染予防しながら楽しみたいです。
また、行きたい場所はたくさんありますが、特にボリビア多民族国にあるウユニ塩湖には行ってみたいです。ただ、今回の旅で訪れられない国や施設があるのは仕方のないことので、「また今度来よう」というマインドで臨むつもりです。
ーー世界一周後にしたいことはありますか。
旅の素晴らしさを形にできる仕事ができたら楽しいだろうな、という気持ちはあります。
一方で、子どものいる賑やかな家庭を築きたいとも思っているので、旅を優先させるのはいったんは今回まで、と考えています。だからこそ、24時間365日を夫婦で一緒に過ごせる世界一周を、貴重な時間だと思って大切にしていきたいです。
▲ウガンダにて
「自分にとって最も大切なこと」を自問する。
ーー最後に、 何かに挑戦する際の秘訣やアドバイスをお願いします。
後悔しない人生を歩む上で、自分にとって最も大切なことは何か、と自問することが重要だと思います。
コロナの影響で以前のような自由がないことは確かです。しかし、自分の人生の1秒1秒を無駄にしないように、「今が一番若いこと」を心にとめておけば、少しずつでも前に進めると信じています。
▲ルワンダにて
まとめ
長年温めてきた世界一周の夢を叶える茜さん。
旅を楽しむだけではなく、周りの人や将来の家族に広い世界を見せようとしてくれる茜さんの優しさに触れられた取材でした。
▶茜さんの「夢を叶える方法」
・自分にとって最も大切なことを自問すること
・困難な状況であっても、現状を受け入れ、夢に向けてできることを続けること
・やりたいことの優先順位をつけること
コロナの影響で、夢を諦めざるを得なかったり、将来に希望を見出せなかったりする方もいると思います。
しかし、今の時間を夢に向けた準備期間と考え、今できることに全力で取り組む。そうすることで、茜さんの仰るように「今が一番若い」この瞬間も決して無駄せずに過ごしていきたいと感じました。
文:萩原ひかる 写真提供:大麻茜さん