ずっと

れむ

いつまでもかわいい女性でいてね、と大好きな先生に言われた。わたしはあの頃のまま
ずっとかわいいままでいられてるかなあ。
ジェットコースターみたいだもんな〜ってちょっと呆れて笑われてた。感情移入しやすくてすぐ涙ぐんでしまう、先生のことはあだ名で呼んでいたから先生って堅苦しい感じではなかったけど。

もう亡くなってから10年らしい。こわいなあ、10年なんだ。大好きだったなあ　
思い出す時間の方が長くなってるってことだ。
過ごした時間の倍以上時間が経ってしまっているのにな。
先生を最後に見た生徒はわたしかもしれないな。さよならをちゃんと言えないまま　図書室から職員室に向かう後ろ姿だけ覚えてる。

太宰治の斜陽、読んでも良くわかんなかったからネットの解説見てそのままわたしの感想として話したの後悔してる。
そうか！すごいなあ、よくわかったなと笑ってくれたのちょっと後悔したの思い出した。

梶井基次郎の檸檬が好きだった。いなくなってからすぐに買ったけど短編集で、どの話が好きだったのか聞けばよかったと思った。
今調べてたら私が買ったのは短編集だったから檸檬そのものが好きだったんだな。知れてよかった
わたしもあの話がすごく好き、たくさん想像するようになったのも檸檬の影響だと思う。

何度会いたいと思ったか正直数えきれない。
私の学校では日記のようなもので毎日会話してて、先生はずっとコメントしてくれてたから。
わたしが書いてる内容が恥ずかしすぎて読めていないけど実家にあると思う。

卒アルぐらいか。携帯持っていかないくらい真面目だったし。
エヴァもぼくらのも先生が見てたからわたし一日で全部見て鬱アニメすぎてちょっと引いたよ(ぼくらの)
あー先生の子ども、先生に似てるのかなあ
会って話したいなあ、今更って感じだろうけど。

最後に制服を着たのは卒業式じゃなくてお通夜だった気がする。ずっとそばにいてくれたのに、いっぱい勉強も勉強じゃないことも教えてくれたのに受験の結果も知らないままいなくなっちゃったね。

あのあと、やっぱり進学した高校は楽しくなかったけど学校つまんないんですってやめるようなやつにはなるなって言われてたからやめなかったよ。
親友と大好きな人ができたし、あの学校でよかったってなんだかんだ思ってるよ。
美容師になりたいって言ったら切りに行こうかなって言ってくれたけど美容師にはならなかったよ。
先生ずっと大好きだよ　迷ったとき、こまったとき、笑顔を思い出して　なんでも笑ってくれたのを思い出すよ

先生に会う一年前に、わたしは親友だと思ってた友達から傷つけられて　当時の担任とも合わなくて死ぬか迷ってた。
人生で辛かったことトップ2か1ってかんじだった。毎日学校に行くのが辛くて、大好きだったファッション雑誌を買って　ドラえもんの映画の告知を見ながら指折り数えていた。
３月になれば卒業で担任から離れられる…今のクラスからも変われる…って。

結局自滅して友達を庇って、自分じゃないことまで怒られて、大人は信用できないと本気で思ってた。内緒ね、秘密ねとあの子にだけ信用して言ったことも陰で笑われてたんだろうな。
わたしが女の子のことを完全に信用できないのもこの事件が関係してると思う。

当時の担任が家まで来て土下座したり、多分教育委員会とかにも話がいったから先生はこのこと知ってたんだろうね。
だから問題の友達は一回もクラスにならなかったし、コミュニティも違った。
でも一年前よりずっとずっと楽しかった。わたしの覚えが悪いせいでいいのが悪いのかわからないけど、嫌だったことはあんまり覚えてない。
泣き疲れてめまいがして起きたら担任が来たって話をされて、もう関わることはなくなっただけ。

そのあと覚えてるのは卒業式で最後に和解のために写真を撮ろうと言われて渋りながら撮って、すぐ消したことくらいしか覚えてない。

１０代前半に戻りたいかと言われればむずかしい。今よりも苦痛がたくさんあったような気がするから。でも先生にはやっぱり会いたいな。
数学何回やってもやっぱわかんなかったけど、次の学校でもいい先生に出会ってなんとか赤点は取らなかったよ。

10年経って、やっぱわたしはずっとガキのままだよって言おうとしたけど仕事も毎日頑張っててお客様に褒められたりしちゃって、あの頃一緒にいてくれたともだちとはずっと一緒で
恋をして泣いたり笑ったりしながら
なんだかんだ楽しくやってるよ。
元気でいてくれたらいいな、それかもう生まれ変わってるのかなあ
わたしもまだまだ頑張らなきゃいけないなって桜を見るたびに思い出すよ

1番愛された生徒、みたいなふうに言われてさ、たぶんわたしすごく嫌なやつだっただろうな〜笑
でも実際にわたしも大好きだったし、先生も大好きだったんだからしょうがないよね。
恋とか愛とかより、人として大好きだった。
画家は誰が好きだったんだろう、また会った時教えてね。