見出し画像

俺と水上木製コースター レジーナⅡ@東武動物公園

関東圏で今一番キてるコースター

初乗車:2023年3月19日
好きなセクション:水平ループ

 2019年に突如として営業終了した東武公レジーナ。木製コースターは管理が難しいのか、走路に問題は無いものの車両に手の施しようがない不具合が見つかったという理由で約20年の運行に幕を閉じた。半ばオブジェ状態で東武公に横たわっていたのだが、2021年に突如として復活が予告され、この春、新車両とスチームパンク要素を引っ提げて帰ってきたのだった。

 ープン日は旧レジーナと同じく3月18日に設定され、抽選で当選した22名によるファーストライドイベントが計画されていた。もちろん俺も応募し、当日にインタビューを受けたときのイメージトレーニングを行っていたのだが、待てど暮らせど当選の通知が来なかった。これが捕らぬ狸の皮算用ってワケよ。ギャハハ。あとから聞いた話だが、東武公のスタッフ曰く、超高倍率のイベントだったようだ。(姫センのヴィーナスGPは締め切り日まで席余ってたけどな)

 えたオープン日、降水確率90%というかなり絶望的な天気だったが(※1)、一途の望みをかけ、藤沢から宮代町へと足を運んだ。

あっ…
園内の看板もスチームパンク仕様に
凝った看板

 案の定というか、やっぱりというか、現地は小雨がパラついており営業できる雰囲気ではなかった。が、東武側のご厚意で車両の撮影会を実施してくれたのだった。今回導入された車両は緑と赤の2台。撮影会場へ向かうと、アメリカGCI社製の色鮮やかな主力車両がホームへ停車していた。また、お披露目会ということで、通常営業ではまず不可能なアングルでの撮影も特別に許可して頂いた。ありがとう東武。

車両にレールが反射して映る

 のGCIというメーカーは、白鯨のRMCよろしく、古い木製コースターをリノベーションすることに定評がある。GCIが手掛けたリニューアル例で言うと一番有名なのはナッツベリーファームにあるGhost Riderだろうか。今回のレジーナⅡでは、レール部分の張り替え(※2)、ブレーキゾーンの再整備、車両の新規導入などを行ったようだ。

新品のブレーキ テカテカだ
張り替え作業はGoogleに激写されていた

 レジーナからのリニューアルに際し、GCIのMillennium Flyerが導入された(※3)。1両あたり2名乗りの12両編成で構成され、旧車両よりも1回あたりの最大輸送人数は減ってしまったが(28名⇒24名)、走りの面で強化が行われた。車両間の繋ぎ目が増えることで、初代レジーナよりもレールに沿った走行が可能となり、滑らかな乗り心地に直結するという算段だ。ただ、自分のようなペーペーのマニアより、GCI製コースターに関して一家言を持つ方が多いと思うので、ここでは基本的な情報のみ記す。

Millennium Flyerくん

 た、この車両にも存分に木材が使用されている。以下の画像からもわかると思うが、車両の意匠やステップ部分が拘りポイント。車両ごとに木目が異なっており、丁寧に制作された車両であることが伺える。レジーナⅡ乗車時には是非、足元にも注目してもらいたい。

側面のステップ部も木材というコダワリっぷり

 全装置はシートベルトとラップバー。特に特筆するようなことはないが、勿論U字ハーネスより開放感がある事は言うまでもない。

開放感のあるラップバー
かなりフカフカのクッション

 の日は閉園まで粘ってみたものの、最後まで車両が動くことは無かった。雨だというのに30人ほどのマニアが集まっていたこともあり、東武側も最善を尽くしてくれたようなのだが、やはり人間は自然に勝てないのだ。かなC。

雨に濡れたせいか、木の香りがホーム上に漂っていた
悲しみの終日運休

 のまま2時間半掛けて帰るのは、なんだかムカつくので強行軍で春日部の快活に宿泊。翌朝、降水確率0%の超快晴! 開園30分前には並んでいたのだが、昨日とは打って変わってバチクソに混んでいた。現に、この日のレジーナⅡの平均待ち時間が60分前後だったことを考えると、如何にこのリニューアルオープンの注目度が高かったかが伺える。

快晴の実質初日
大混雑

 園と同時にレジーナⅡの方へ人が雪崩れ込む。運が良かったのか通常営業の初回運行に乗ることが出来た。イベントには落選してしまったが、これがほんとのファーストライドだ。同行してくれた方と乗車したのは11両目で、ほぼ最後尾といっていい座席。否が応にも期待が高まる。

初回運行に飛び込み乗車 うおおおおおおお!!!

 論から言うと大満足だった。木製乗車歴としては、ホワイトサイクロンしかないのだが、正直スピード感やエアタイムの質はこのレジーナⅡの圧勝だと思う。この日は比較的先頭に近い2両目にも乗車することが出来たが、どちらも違った良さが有り、甲乙つけがたい。

 こからはレイアウトを各セクションに分け、簡単に乗車感を書いていこうと思う。発車するとほんの少し降下しすぐさま巻き上げに入る。レジーナⅡの最高部は37mと、園内にあるカワセミよりも高い。巻き上げペースはカワセミよりも遅いので、ゆっくりと長閑な田園風景を満喫できる。

ホームから望む巻き上げ
ここの雰囲気だけはアメリカの木製コースターみたい(海外未体験だけど)

 き上げが終わると送電線を避けるようにファーストドロップ。旧レジーナでは、頂上付近でスピード調整が入りゆっくりとした滑り出しだったようだが、レジーナⅡでは巻き上げスピードを保ったままシームレスにドロップするため、車両全体のスピードアップに繋がる。肝心の落下感は、最後尾付近だとかなりググっと引きずり込まれる感じでグー。また先頭付近でもモタツキなく落ちていくので、腰が一瞬浮くフワッとしたエアタイムを感じられる。イイネ

50度の傾斜を一気に急降下!
浮遊感◎

 ッキに水面すれすれまで降下すると、すぐさま上昇し左に180度ターン。先頭付近だと、上り切った直後に東山ジェットのような体が突き上げられるポン浮きが体感できる。逆に最後尾付近だと大人しめの挙動。

角度変化でポンッ
スピード感を保ったままセカンドへ

 カンドドロップ後、一番のエアタイムポイントである長いキャメルバックに突入する。車両が高速で丘を駆け上るおかげか、かなり長い時間浮遊感を感じることが出来た。カワセミのようにドカッと浮くような激しい重力変化ではなく、誰でも楽しむことが出来るやや弱い浮き。また、ここでは終盤のキャメル地帯を潜る様にレールが設置されているため、視覚的効果◎

セカンドドロップでも普通に浮く
ロングロングキャメルバック

 ャメルを超えると中盤戦に突入。再度180度ターンし、元ライドフォトカメラの横を駆け抜けダブルアップ。角度が浅いのか、速度が足りないのか流石に浮かなかった。先頭だと浮くのかもしれないが、2両目に乗車した限りでは風を切るだけで体の重力変化は感じなかった。楽しいけど。

折り返しポイントの180度ターン
ダブルアップ 浮きそうで浮かない

 ワイトサイクロンよろしくこのレジーナⅡでも水平ループセクションが存在する。ホワイトサイクロンでは横揺れとケツへの振動が激しく、ダラダラと走行することも相まって退屈なセクションだったのは否めない。が、レジーナⅡでは走路張替えのお陰か、スムーズな乗り心地と必要十分なスピード感を味わうことが出来た。不快にならないレベルの横揺れと車両からの振動。そしてループ2週目から木組みに突入することもあり、新築の家みたいな香りが一瞬漂う(※4)。このセクション、五感全体で楽しめるので滅茶苦茶面白い。初回乗車時は興奮しっぱなしだった。ほぼイキかけました

 た、旧レジーナよりもループ走行中の速度が上がってるらしく、同行してくれた方曰く、『スピード感は別物』とのこと。周りのマニアの話を総合すると、目安はこんな感じ。

春先のレジーナⅡ>>真夏の旧レジーナ>>>>>冬の旧レジーナ

木製コースターのコンディションがベストになる真夏よりも、現在のレジーナⅡのスピード感は強化されているようなので、春から夏にかけて更に速度が出てくるのではないかと思うと期待値が上がる。

水平ループ
木の中へ突入! 楽しい

 平ループを抜けると、いよいよ最後の連続キャメルバックへ。水面近くまで降下し、小さなキャメルを連続で超えていく。水平ループを終え、ある程度速度が乗った状態でキャメルに突入するもんだから、最後尾付近では吸い込まれるような加速感を味わえる。また、連続して3つのキャメルバックを高速で駆け抜けるので爽快感抜群。しかも、しっかり認識できる浮きも繰り返されるので、ラストスパートの畳みかけ方はスチールドラゴンを彷彿とさせる。

最終キャメル地帯でも例外なくふんわり浮いてます

 ャメルを終えると、スムーズにブレーキが掛かり終了。営業開始一発目の運行ではブレーキが掛かった直後、自然と拍手が発生。あちこちの車両から楽しそうな声が聞こえた。

みんな笑顔だった 俺も笑顔だった
駅舎へ お疲れさまでした

 こまで手放しで絶賛してきたが、個人的に惜しい!と感じるポイントもある。それは車両のラップバーだ。構造上仕方ないのかもしれないが、走行中に重力に負け、ラップバーが太ももに食い込んでくる。いわゆるヴィーナスGP現象みたいなものか。これが無ければもっとエアタイムを感じることが出来たかと思うと、少し残念。

 れたこの日は2回しか乗ることが出来なかったが(※5)、それでも十分にレジーナⅡの魅力を感じることが出来た。比較的長い乗車時間に、万人受けする心地よいエアタイム。同園内のカワセミと対照的な存在ではあるが故、上手く棲み分けが出来ているように思えた。維持コストや管理の難しさから全国的に純木製コースターが減り続ける中で、車両のリニューアルという形で復活させてくれた東武動物公園には頭が上がらない。東武リスペクトの意味を込め、今日も俺は埼玉方面には足を向けず就寝するのだった。

サノヤスだ!

注釈
※1 オープン日までの一週間、毎日会社のPCでウェザーニュースとにらめっこをする日々が続いた。弊社のIT管理部門からは、どうしてコイツ埼玉の天気ばっか気にしてんだよ、と思われていたことは想像に難くない

※2 レールの張り替え、と一言で言っても、かなり大掛かりな工事が行われてようだ。そもそも旧レジーナ時代のPTC車両と今回のGCI車両ではトレッド幅が異なるので、全走路の再施工が実施された

※3 日本初上陸となるGCI製コースター。輸入にあたり、サノヤスライドが東武とGCI間の調整を担当したようだ。詳しい経緯は下記記事が詳しい。

※4 ホームセンターの木材コーナーのアノ匂い

※5 コンディションの上がった午後、3回目の乗車をしようと1時間近く並んだのにお腹が痛くてホームで離脱。エントランス付近のトイレに籠りながら俺が乗るはずだったレジーナⅡの走行音を聴いていた。同行してくれた人の目線が悲しかった。オナカガヨワイノサー


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?