野球の“面白い試合”とは
クソみたいな負け試合を見に行った。
5/1の横浜戦。
年間20試合くらいを観戦していると、5年に1回くらい、こういう始まった途端に緊張感が消え失せる、面白さのかけらもない試合を見ることがある。
私は慣れているし、何点であれひっくり返る可能性がゼロではないと信じているので、最後までいるのが耐えられないだとか、すぐさま帰るという程でもない。
だが、ライト側ドラゴンズ外野応援席にいたおそらくシーズンシートオーナーとおぼしきおじさん方が3回表途中で帰って行った。
「今日はもう帰る、緊張感がないもの。」と。
その通り。
めちゃくちゃ分かる。俺だって心のどこかでは帰りたい。ただ万が一にもここから劇的な展開があったらと思うと帰れんだけなのだ。
この言葉から、野球において、おもしろいという言葉と緊張感はなかなかに近い概念と思えてきた。
こんなクソ試合はおもんないというのは当然として、果してどんな試合がおもしろいのだろうと言うことを考えてみた。それがある程度まとまったので記してみようと思う。その後に、具体的な試合や展開を例示して説明してみようと思う。
1、応援しているチームの勝ち 重要度:☆☆☆☆☆
私は中日ファンで、ほとんどチームの勝利にのみ価値を感じる。完封だとか、ホームランだとか、節目の記録だとか、それこそノーノーだとかに価値を感じないわけではないが、チームの勝利に勝るモノはないと考えている。
どんな退屈な展開も、勝てばよかろうなのだ。
逆に言えば、素晴らしいプレーも、ひいきにしている選手の活躍も、勝ちにはかなわない。
2、勝ちと負けがせめぎ合う 重要度:☆☆☆
勝てそうな所で迎えたピンチを抑えて勝ちきれるかどうか。負けているところを同点、逆転できるかどうか。そういったポイントに野球の面白さがある。
終盤のチャンス、さらに言えば、サヨナラのチャンスなどがおもしろいのは当然だろう。逆に1点差で勝っている時の終盤のピンチ、9回裏2アウト満塁とかを抑えるのは最高に愉快だ。
これこそが緊張感の正体だろう。
大差で勝より、僅差で勝つゲームの方が僕は好きだ。
3、もう負けっぽい...ダメかな…な状態から、勝ちの展開がやってくる 重要度:☆☆☆
感情の落差が大きいとも言い換えられるかもしれない。終盤の逆転がおもしろいのは、負け試合が勝ち試合にひっくり返るからだ。ある意味、2勝分の価値があるともいえる。
これは手前の「ダメかな」がほとんどダメであるほどおもしろい。小さなモノでは、2ストライクからの安打だとか、2アウトからの得点、ノーアウト満塁のピンチを無失点にするとか。
大きいモノでは、4点差以上の逆転だとか、相手の絶対的抑えからの逆転劇だとか、代打逆転サヨナラ満塁優勝決定ホームランだとかだ。
4、よいプレーが見られる 重要度:☆☆
応援しているチームのよいプレーが見られることだ。特大ホームラン、160キロを超える速球は見ているだけでおもしろい。逆に、エラーとか、四球とかを見ているとイライラしておもしろくない。
もっと言えば、相手の好プレーも場面によってはおもしろいと思う。大差で負けてるときにド派手にホームランを打たれたり、すごい守備でアウトにされると、どうせ負け試合だから単純にプロの技を見られてラッキー、すげーなーと思う余裕はある。
神宮でのヤクルト-阪神戦でヤクルトの一方的な展開になったときに、阪神ファンが、2打席連続ホームランを放っていた山田哲人の打席で3打席連続を期待して応援歌を歌い、敬遠に対してブーイングするという動画を見たことがある。どうせ負けるなら良いプレーが見たいってことだね。
逆に、相手のレベルが低いとおもしろくない。
…いや、相手のやらかしはおもしろいか。最高の場面でのタイムリーエラーとか、痛恨のバッテリーエラーとかを見るのはおもしろい。ということは、どちらかというと点差がつきすぎるとおもしろくない、なのかもしれない。
大差の大味なゲームは野球の面白さを失わせるので、ほどほどに締まっているのは大事だ。でも、大事な場面で相手がやらかすのは最高だね。
締まった展開だったのに、相手のエラーや四球から点が入ったりするのは最高に愉快だね。僕はランナーが3塁にいる時に2ストライクに打者が追い込まれると、呪文を唱えがちだ。その呪文とはこれである。
「暴投捕逸ボーク暴投捕逸ボーク暴投捕逸ボーク暴投捕逸ボーク…」
5、珍しいモノが見られる 重要度☆
珍しいモノにはそれだけで価値がある。ノーノーとかもこの部類だと思うが、世の中にはノーノー程ではないけどレアなプレーや、逆にノーノーよりレアなプレーがあふれてる。
投手のホームラン、セーフティーバント、ベースにボールが当たる、ドームの天井にボールが当たる、無補殺三重殺、ツーランスクイズ、ポール直撃のホームランなどなど。
これは見られただけでおもしろいだろうね。ただそのプレーのせいで負けたりしたら話は別だけど。試合結果にそれほど重要でない場面なら歓迎だ。
ex1)2024/4/2(火)中日4x-3読売 面白さ90/100
今シーズンの本拠地開幕戦であるこの試合は、面白さのレベルで言えばかなり高い。
なぜ高いのかというと、負けが勝ちにひっくり返るからだ。
この試合は、6回まで0-3で負けていたところを、6回に1点、7回に2点で同点とし、延長11回で細川のサヨナラホームランという理想の形だ。
先発小笠原がそこそこ試合を作りはした。ただ、4回に1点を失った後、相手ピッチャーの山﨑伊にタイムリーを打たれるなど3失点というのは、なかなかイライラする。そのイライラを晴らしてくれたのだ。
ついでに言うと、1点差で勝っているというのも大きい。あとひとつでもチャンスを逃すことや、無駄な失点があったら勝ちではないのだ。
点の入り方はあまり重要ではない。ただ、ここぞの所で期待する若手のタイムリー、ホームランというのは否が応でも盛り上がらざるを得ない。
ex2)20246/4(火)中日2-3ソフトバンク 面白さ20/100
僅差での逆転負け、おもしろかったけど一番嫌だね。
1点差でも10点差でも勝ちは勝ち、負けは負け。そういう意味でストレスフル。だけど、見に行っていた時の緊張感はよかったね。
何がマイナスかって言うと、甲斐のタイムリーも、清水の暴投も、栗原のタイムリーも2アウトからなんだよね。こっちが抑えられそう、、、って空気から点が入るのはほんとだめだね。
うれしいって書いたことの反対がつまらん要素ってことだね。
さいごに
2024年の僕はナゴヤドームばっかり11試合に見に行って、3勝8敗、目下7連敗中であります。
それでも見に行くのは、負けていても最後まで帰らないのは、野球の不確定な未来に賭けているからってことだね。
1時間後、1分後、10秒後どうなってるか分からない。そういうのがいいね。それで中日はもっと勝ってくれってね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?